見出し画像

10年以上好きなアーティストさんと物販で初めて対面して握手して貰えた話


MOROHA “単独” LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY ※8/16 振替公演
moroha.jp/liveschedule/m…
 行って来た。

午後11:08 · 2024年11月12日


 低賃金の不安定なアルバイトで一人 暮らしている俺は、どちらかと言わなくてもお金がない。
 おまけに今は心身の不調で休職中。収入0。

 そんな中、一番好きなアーティストさんのライブに行くお金を捻出した先で、ライブグッズにまでお金を出すほどのガツガツした物欲もない。

 この日もグッズを買うつもりはなかった……。

 とは言うものの、ライブはチケットが捌けても赤字。よくてとんとん。
 グッズで儲けなければ活動継続はおろか食べていけなくなる。

 なんてよく聞く話で。
 後ろめたさはつきまとう……。

 ましてや相手は、友達の好きなアーティストでも、ちょっと気になるアーティストでもない。
 10年以上も追いかけて来た、長年一番好きなアーティストだ。

 お金に余裕がないと言いつつ、なんだかんだ友人に誘われて遊びに行った先で、ラーメンやらスイーツやらまで楽しんでいる俺が。
 1Kの部屋の収納スペースは限られてるから、なんて言い訳しておきながら、今年 買ったぬいぐるみは1匹や2匹ではない俺が。

 ここで応援をお金に換えることをケチるのはどうなのか、と自分への問いかけはやまない……。

 ライブを聴きながら、小さかった迷いが膨らんでいく。
 300円のステッカー1枚くらい買おう。

 ビックリマンシールみたいなステッカー。
 全9種でランダム販売。

 普通に欲しいし、どれが出ても一番好きなアーティスト。外れはないし、何が出るかのワクワクも楽しい。

 300円では果たして足しになるのかもわからないけれど、買おう。

 ――講演後。
 MOROHAさんのライブにはアンコールがないことを知らないのか、鳴りやまないコールを尻目に、俺はフロアを後にする。

 まだ若干の迷いがありながら、俺は物販へと向かった。

 ……空いている。ステッカーは? ……売り切れてない。
 列に並ぼうと決心が固まったが早いか否か、彼は俺の目に映った。

 アフロさん。
 MOROHAのMC。

 そう言えばそうだ。
 アフロさんはライブ後いつも物販やってたんだ。

 目の前の現実に決心が鈍る。
 たった300円のステッカー1枚でアフロさんと顔を合わせるのか?

 10年以上好きで、長年一番好きなアーティストさん。
 CDは全部 買ってるし、関東でやった大きな単独ライブはほぼ全部行ってる。
 愛媛までタイバンを観に行ったことだってあるし、間違えて長野のチケットを取ってしまい観に行った思い出もある。

 でも、目の前で対面するのは初めてだ。
 その初めてが、たった300円で?

 でも、ここで立ち止まっていては邪魔だ。
 もう、決心も一応した。

 知ったことかと俺は列に並ぶ。

 見たところ、注文やお金のやり取りはスタッフさんとの間で行われ、最後に購入した商品をアフロさんから渡して貰えるようだ。
 はがしなどはおらず、けっこう談笑していたりもする。
 そしてみんな、Tシャツ2枚とか数千円単位で買い物をしている……。

 でも、俺にそんな気はない。
 300円のステッカー1枚。それが俺の決心だ。

 俺はもう揺るがない。腹括った。

 緊張の中、注文、支払い、順番待ちを経て、ついにアフロさんと対面する。

 固い握手。
 目の前にあるのは小さな300円のステッカー。

「応援してます。ずっと。」

 俺はそれだけ言って、その場を後にした。

 300円相応の時間、いや、300円では安すぎる貴重な時間だった。

 応援してます。ずっと。
 ずっと、応援して来た……。

 ――2013年11月。
 ラジオでたまたま耳にした『革命』に心揺さぶられ、それからずっと好きできた。

 10年以上もほぼ全ての曲がここまで胸に刺さり響くアーティストが他にいただろうか。いいや、いなかった。
 これから先はどうなるのかわからないけれど、それでも、今この瞬間まで、応援して来た。ずっと……。

 そんなMOROHAさんと、アフロさんと、俺は300円で握手した。

 アフロさんの胸中はどうだったのだろうか。
 俺はアフロさんにどう映っただろうか。

 「アフロと握手してー」と軽い気持ちで300円のステッカー1枚だけ買ったミーハー野郎に見えただろうか。
 そんな輩に「応援してます。ずっと。」なんて言われて悔しくは、虚しくはなかっただろうか。

 だとしたら、多大な申し訳なさがある。

 反面、知ったことか! 俺は あんた が俺をどう思おうと あんた が好きだ! などという身勝手な思いもある。
 相手が他のアーティストさんならいざ知らず、MOROHAだ。アフロさんだ。
 あの人にはこんな糞みたいな身勝手も含め、ギラギラした気持ちでぶつかりたいと思ってしまう。

拝啓 業界関係者各位
これを聴いているお偉いさんへ
名刺も飯の差し入れもいらねぇ
仕事をよこせ 俺らと踊れ

『米』MOROHA

 なんてお金の曲を歌うアフロさんのことだ。
 「300円で握手しに来たのかよこいつ」「それでずっと応援してるってんなんだよ」と腹立ち悔しく思うところは0ではなかったんじゃないかと勝手な妄想をしてしまう。

現金は人権だ それもリアルだが決して忘れんな
ハートを切ってダイヤを残せば
例え勝ったって味気ないポーカー

『米』MOROHA

 と歌うアフロさんのことだ。
 そんな風に現金なことを思う自分に、もしかしたら葛藤したりもしたんじゃないかと勝手な妄想をしてしまう。

本当のとこはわからない

『米』MOROHA

 し、そんなのは全部 俺の思い上がりで、そんなことはよくあることで、特に何も思われず忘れ去られたかもしれない。
 その可能性の方が高い。

 それでも、俺はこの日の葛藤を胸に刻み決めた。

 もう、MOROHAさんのライブで講演後に物販は買わない。


『米』MOROHA



ファッションアカ


ついーと記録+α

.
 公演後に物販、ステッカーくらい買うかぁと思って(ああいうの好きだし)、ちょうど空いてたし買おうとしてふと見たらアフロさんいて。そういえばそうだよな……300円で顔合わせるのもなと思ったけど買った。
 もう10年以上 好きだけど、対面したの初めてだったな。300円……。

午後11:08 · 2024年11月12日


匿名コメント募集場所