訪れたのは鎌倉の路地裏 思い出すのは沖縄の貴女
ベンチでクッキーとコーヒーを食べている
僕らに地元のおじさんが言った。
その人が向かう先には
忘れられた財布が落ちている。
恐らく数分前にいた若い男子学生が落としたのだろう。
「僕が代わりに交番へ届けておくよ」
そう言って、通りすがりのおじさんにお財布を託した。
去り際に、
「君たちどこから来たの?」
「東京です」
「今日は人が多いでしょうに…
でもね、鎌倉は裏路地が面白いんだよ」
そう言い残して、落とした財布を警察に届けるついでに
奥さんに頼まれた洗剤を買いに行った。
なんか似たようなこと昔言われたような…
ふと、中学時代の恩師を思い出す。
沖縄のBarでそう言う彼女は、中学時代の恩師だ。
「私は貴方達で最後、終わったら沖縄に住むの」
そう言い放った先生に、
当時の僕らは頭の上に?マークが浮かぶ。
その数年後に、クラスの3分の1で沖縄に行くとも知れず。
クラス単位で沖縄へ行った後も、
なんだかんだで毎年沖縄へ行くようになる。
さっきの言葉は、何度目かの沖縄の夜に言われた。
まさか鎌倉の一駅手前で降りるようになるなんて考えてもいなかった。
北鎌倉は鎌倉と比べても人の流れが早くなく、
住宅街が多いせいか観光客は少ない。
北鎌倉の面白さは
単に観光客が少なくてゆっくり観光できるところではなく
お寺の建物としての見応えと
草木の色付きによる表情の変化だ。
写真をよく撮る自分はその表情の豊かさに
惹かれていった。
もちろん、駅前のスイーツや玉子焼き屋さんも大好き。
それもいいが、
僅かな四季を愉しむのがお決まりとなっていた。
今朝出会ったおじさんの言う通り、
路地裏を通るためにいつものルートではなく
裏道を通って鎌倉から北鎌倉まで目指した。
寿福寺や英勝寺などのお寺に寄り道しながら
切り通しの坂道に息を切らす。
世界一周をした時に現地で調達してきた
アクセサリーなどを展開するセレクトショップ、
女性1人が切り盛りする洋服のブランドを発見する。
白いシャツとフランスで見つけたというネックレスを
連れて帰る。
感染症は色々な状況を様変わりさせたし
今更その状況を悔やんでも仕方ない。
この状況下で何が出来るかが大事だと
沢山の媒体や書店で目にして耳にした。
確かに約2年間で不安でいっぱいなのは間違いない。
その不安に打ち勝って行動し続けるしかないのも
間違いない。
そんなメンタルが不安定な状態で行動を促されても
自分を見失いそうになる。
「何かやらなきゃ」「チャレンジしなきゃ」
というような焦りが先走る。
鎌倉を訪れて、
"自分の好きなことを追求している人は魅力的"
だということ。
洋服のデザイナーさんやセレクトショップのオーナーさん
鎌倉が好きで住んでいる人々
皆さんのそれぞれの好きを追い求めながら
頑張る姿勢はとても素敵だ。
そういえば、沖縄の貴女も
人生を愉しんでいたな。
当時は分からなかったけど
今となっては貴女のライフスタイルに憧れる。
鎌倉に行ったはずなのに
思い出すのは沖縄の貴女とのことばかり。
読んでくださってありがとうございます。
この話は、GW中に鎌倉へ訪れた際の内容を
まとめたものになっております。
恩師は数々のパンチラインを残していきました。
当時は何のことかさっぱりでしたが
色々なことを経て何となくわかるようになってきました。
この鎌倉の話も、
ご自身が営むBarで教えてもらったもので
物事の本質を知ることの大切さ、
知的好奇心を持って思考することの大切さを
教えてくれたと勝手に解釈してます。
自分の好きなものを追求して
それで誰かが喜んでもらえるように
自分も楽しみながら行動する。
そんな大人になりたいなと思わせてくれる
とても素敵な方です。
正直、世の中は暗いニュースが多いです。
いつから、こんなネガティブな空気にさせるのが
得意になったのかと、呆れることがありますが
せめて、自分が関わる方々には少しでもハッピーな気持ちで過ごしてくれるようにと願うばかりです。
この記事を読んだ方が
少しでも、"好きな街"尊敬する人"のことを思い出して
気持ちが少しでも温かくなっていただけると嬉しいです。
コロナに限らず
「自分が大切にしていること」を明確にしておいて、
それをもとに日々暮らしていく積み重ねが
いつか自分をとんでもないところへ連れて行ってくれる。
そう信じて過ごします。
おわり。
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