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「知っておいた方が良い」事は埋もれやすい

2018年の夏、エストニアに法人を作りました。
そして今日閉じようと思います。

エストニア法人設立

会社設立の目的はヨーロッパの企業のサービスを使いたかったけれど、当時その企業のサービス提供がEU圏のみという事で、EU諸国での法人設立の道を探りました。

当時、エストニアのe-regidency(電子国民)が流行っていました。安倍元首相も取得していたとかで、私も流行りに乗っかって取得していました。(面談したエストニア大使によると当時1,500人ほど日本人の取得者がいたらしい。)

軽く調べてみると、エストニアの法人の登記はすごく簡単らしいという事が分かりました。日本語の記事も1,500人しかいない割には結構見つかって、すぐに法人登記に取り掛かりました。今はSet Goという日本人の起業家の方が作られたというサービスで15分ほどで法人登記ができる (参照:DIME_わずか10分でエストニアに法人を設立できる「SetGo」、起業の新たな選択肢として浸透するか?) みたいですが、私は 1Officeというヨーロッパのサービスを使いました。それでも1日掛からずにオンラインで簡単に法人設立できました。かかった費用は登記費用や現地のアドレスを合わせても数百ユーロでした。(現地への送金は TransferWiseが手数料安くてオススメです。)

そして今日法人を閉じようと思います

2年前に設立したエストニア法人ですが、不要になりました。理由としては、設立時に使いたかったヨーロッパ企業のサービスが日本進出してしまったからです。(ありがたいけどね!!)エストニア法人の維持には現地住所の使用や現地代理人の登録が必要なので、毎年数百ユーロですが一定のランニングコストがかかります。(これは日本に登記してもアメリカに登記しても何かしらのランニングコストが同じぐらいかかりますが。)

で、調べた所、驚愕の事実を目にしました。

"The liquidation of Estonian company takes at least 7 months and must be performed by a local liquidator. " 「エストニアの会社の精算には少なくとも7ヶ月かかり、現地の精算人が手続きを行わないといけない。」
(参照:https://1office.co/estonia/product/liquidation-of-estonian-company/)

とあります。ちなみに日本は通常2ヶ月程度で、売上がなかったり、取引先などがなければ登記や株主総会とか諸々含めて1ヶ月ぐらいあればできたりします。

設立登記に比べると圧倒的に面倒臭そうです。

結論

「簡単」「楽しい」「早い」は共有されやすく、
「面倒」「辛い」「遅い」は知られない。

この世の中は人が「知りたい」事で溢れてます。でもその知りたい事に付随する「知っておいた方が良い」事は中々見つかりません。

例えば、スタートアップの話でいくと、起業家の成功は世の中に溢れていて、成功体験記事や本が大量にあります。一方、成功と表裏一体である失敗の体験などは表にあまり出てきません。成功よりも失敗の確率の方が明らかに高いのにも関わらず。

自戒も込めて、物事を見る時は、楽な部分だけでなく、それに紐づく大変な部分に目を向けていきたいですね。


エストニアの法人設立&精算に関しては、ニーズがあるか分からないけど、諸々のプロセスが終わったら備忘録として改めて共有しようと思います。そして海外で会社作るにはSetGoという素晴らしいサービスも出来たし、エストニアはオススメです。


このポストをベースにポッドキャストで少し話しました↓


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