長野探訪記.1 「ReBuilding Center Japan」
7月に家族と長野県を訪れました。
大学院時代に長野県小布施町にて、かつてそこにあった建築技術や生活の掘り起こし調査をしていたことや、亡き父が研究者として晩年を過ごした諏訪市に何度か行ったことがあるなど、馴染みのある県です。
4日間の旅行の中で、これはと思うものを順不同で書き残していきたいと思います。
2日目に訪れた通称「リビセン」。地域資源としての古材、古道具
2016年に長野県諏訪市にオープンした建築建材のリサイクルショップ。古い建物(主に民家)の解体現場へ行き、家具や建具や木材などを一つ一つ丁寧に取り外し(「レスキュー」と呼ばれる)、販売していくことで古くて美しいものを求める新しい場所で活用し、次世代に繋いでいくことをなさっています。
本家は、アメリカ・オレゴン州ポートランドにある「ReBuilding Center」。ここの理念を踏襲しつつ、上諏訪エリアでリビセンを立ち上げたそうです。
ちなみにポートランドのReBuilding Centerについては、スクール同期生の木曽さんがnoteにまとめてくださっています。(ReBuilding Centerに限らず、ポートランドで見聞きしたことを豊富な文章と写真にてまとめておられるので、ぜひご一読を。)
RC造の3階建てで、1階は古材を活かしたユニークなインテリアのカフェ、2・3階は古い家具や建具や古道具などなど、かなりの物量が陳列されていました。一部工房のような場所もあり、ワークショップなども開催しているようです。
店の外部には、角材、面材、端材など、ものすごい物量の古材達が積み上げられていたり、棚に整然とおさまってたり。レスキュー後には、古材の情報を目録化するそうです。なので売られている木材にも、ナンバリングや寸法、値段、どこからやってきた木材なのかが細かく記されていました。
どこの現場でも良いからレスキューするわけではないそうで、次につなぐ価値のあるモノかどうかを考えて、場合によってはレスキューを断ることもあるとのこと。ここにやってくるモノそれぞれにモノが背負ってきた歴史というかストーリーが乗っかっている感じで、ただ眺めているだけでも面白かったです。
ReBuild New Culture:古いモノを掬い上げ、再構築し、次の世代につなげるという文化
リサイクルショップは、安く(場合によっては0円)モノを仕入れて、クリーニングして、利益を乗っけて売る、というサイクルをひたすら回すことでビジネスが成り立っています。
レスキューしたものをそのまま売れると判断したものはすぐに店頭に並びますが、そのまま売っても現代の生活からして誰も買わないよね、というものは加工して売っていたりします。(例えば古タンスを改造して現代風キャビネットに変容させるとか)そのまま売れるだろうか?売れなければ、再構築・デザインして売ってみせる、というように売る手前で古いモノに向き合うプロセスがあります。こうして、レスキューされたモノが捨てられずに地域内で再活用され、循環していくと、まちの景色も面白くなっていきそうだなと想像します。
また、リビセンには、サポーターズ制度というものがあります。リビセンのスタッフと一緒になって、古材を清掃したり、釘を抜いたりして古材に触れ、スタッフと一緒に汗をかいて、一緒にお茶して、一緒にご飯をたべる、ということを通して、リビセンの理念を共有することにつながるのだそう。
リビセン周辺にも面白そうなスポットありな上諏訪
結論から言うと、知れば知るほど滞在時間が短すぎてもったいなかった!です。リビセンだけでなくその周辺のエリアには、リビセンの古材を利用した飲食店があったり、レトロな雰囲気が味わえるみたいで、もっとぶらぶらできる時間を設けられたらなお良かったなと思いました。これは、もう一度訪れる価値ありです。