【詩】宝石の音色
街行くひとを眺めてた
歩きスマホをする男性
「前向きに生きたい」とつぶやいて
顎と視線は下がってる
姦しく騒ぐ女子高生
「人を助けたい」と笑いあい
塾帰りの少年にぶつかった
どこもかしこも 雑音だらけ
純粋な声は 雑音のなかに消えている
周囲はどこも雑音だらけ
否が応でも 聴こえちゃう
だから 僕はヘッドフォンをした
純粋な声を 聞きとるために
必要な声に 耳を傾けるために
街行く人を眺めてた
青空を仰ぐ大学生
「今日も前を向こう!」とつぶやいた
瞳を青く輝かせる
花壇を眺める女の子
「赤いこの花 キレイだね!」と笑いあい
頬をほのかに染めている
雑音だらけの 街中に
小さな純心が散らばってる
暗くよどんだ街だから
明るい音色が見つかった
絶望するにはまだ早い
ノイズに隠れたその奥に
きらきら 輝く宝物
おもちゃ箱のような世の中に
楽しいものは確かにある
おもちゃ同士がぶつかって
辺りに雑音を振りまくけど
その奥に隠れた宝物を
大切に
大切に
僕はヘッドフォンを外してみる
やっぱり雑音が飛び交ってる
だけど 以前と景色が違ってる
小さなやさしさが見えている
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見出し画像には、『にくわれ』様のイラストをお借りしました!
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