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説明可能AIの概要と実装

はじめに: 説明可能AI(XAI)は、特に健康や金融などの分野での機械学習モデルの不透明性に対処するために、人工知能の重要な分野として登場しました。AIをより解釈可能で説明責任を持たせる必要性が、この研究領域を推進しています。

XAIの進化: XAIの概念は新しいものではありません。専門家システムの時代にさかのぼり、その説明可能な意思決定プロセスで知られていました。しかし、2017年頃にDARPAのXAIプログラムで注目を集めました。初期の機械学習モデル(線形モデル、決定木、ルールベースのシステムなど)は、現在のディープニューラルネットワーク(DNN)のような複雑なモデルよりも透明性がありました。

XAIの主要な概念:

  1. 透明性と解釈可能性: XAIの核心は、AIモデルを透明にし、その決定を解釈可能にすることです。これには、モデルの意思決定がどのように行われているかを理解し、それを人間が理解できる形で伝えることが含まれます。

  2. モデル依存と非依存: XAIの技術は、モデルの内部メカニズムを活用するモデル固有のものと、モデルの内部動作にかかわらず入出力関係に焦点を当てるモデル非依存のものがあります。

  3. 局所的および全体的な説明: 局所的な説明は、モデルによって行われた個々の決定を明らかにすることを目指し、全体的な説明は、モデルの一般的な意思決定プロセスの概要を提供します。

実装技術:

  1. 透明なモデル: 線形回帰や決定木などの単純なモデルは、パフォーマンスを犠牲にしながらも透明性を提供します。

  2. 事後技術: これらの方法は、モデルのトレーニング後に適用され、LIME(Local Interpretable Model-agnostic Explanations)やSHAP(SHapley Additive exPlanations)などの技術を含み、特定のインスタンスで複雑なモデルの決定を理解するのに役立ちます。

  3. 可視化技術: ディープラーニングのサリエンシーマップなどの方法は、データの異なる部分がモデルの予測にどのように影響を与えるかの視覚的解釈を提供します。

説明可能AI(XAI)技術の実装にはいくつかの方法があります。ここでは、代表的な実装方法をいくつか紹介します。

  1. 透明性を備えたモデルの利用:

    • 予測性能が高いが透明性が低いモデルを事後的に説明するのではなく、透明性を備えた予測性能の高いモデルを探求することが重要です。

    • 例えば、If-Then-Else形式の規則モデルCORELSやプロトタイプ画像を利用する画像タスク向けモデルProtoPNetといったモデルが提案されています​​。

  2. 一般化加法モデル(GAM):

    • GAMは、入力特徴量に対する線形の重み付けを行い、特徴量間の相互作用も考慮に入れることができます。

    • これにより、特徴量が予測にどのように貢献しているかをより理解しやすくなります​​。

  3. 感度分析に基づく手法:

    • 説明対象の事例の一部に摂動を与え、予測の変化を観察する局所的な手法です。

    • この手法は、特定の特徴量が予測にどれだけ影響しているかを理解するのに役立ちます​​。

  4. 代理モデルに基づく方法:

    • 透明性の高い代理モデルを用いて、複雑な元のモデルの挙動を近似します。

    • LIME(Local Interpretable Model-Agnostic Explanations)などの手法では、説明対象の事例の近傍の事例を生成し、それらに基づいて線形回帰モデルを学習します。

    • この方法は、特に複雑な分類境界を持つモデルの説明に有効であり、事例の周辺の境界が比較的簡単な形状である場合に透明性の高い代理モデルでよく近似できる可能性があります​​。

結論: XAIは、技術と倫理の交差点に立っており、AIシステムが単に強力であるだけでなく、理解可能で説明責任があることを確保しています。AIがさまざまな分野に浸透するにつれて、XAIの重要性は増すばかりであり、AIの意思決定における信頼と透明性を保証することになります。

吉武佳高さんの「説明可能AI技術のこれまでとこれから」を参考にしました。

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