『詠み人知らず』
『歌だけが詠み人知らずとして残っていくことが理想』
そう語ったある人の言葉が、僕の中で常にこだましています。
作詞家としてお仕事をさせて頂くようになって8年。今でも初めて詞を書いた時の感覚を覚えています。
自分がどう感じたか。どう思ったか。それも大切なのかもしれませんが、僕はその瞬間をどう切り取るか。そしてどうデザインしていくか。そのことをいつも考えています。
また、一見すると、作詞って自由に書けていいじゃないって思うかもしれないんですけど、歌詞にはメロディーがあるので、そのメロディー(音律)にしかない言葉ってあるんですね。
藤原ナオヒロW/JOMI.Kのユニットは、JOMI.Kが作曲、編曲の全てを担っているんですけど、彼が紡ぎ出す音律に合う言葉を持ってくるというより、その音律にしかない言葉を掘り出すというニュアンスが近いのかもせれません。
もちろんプロットから先というケースもありますが。
言語は常に変化し続けますし、失われていく言葉も沢山あります。
いつかは日本語も駆逐されてしまうかもしれません。
が、作詞家として、作品の作り手として、詠み人知らずとして歌だけが残っていくこと。
それは、本当の意味での最終到達点なのかもしれません。
音楽が誰かの思い出に刻まれて、また新しいストーリーが生まれていく。
そんなことを想像しながら、今年も作品を作っていけたらと思います。
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