アートメモ 分節ー性質ー機能、そしてハードパステル
分節ー性質ー機能、そしてハードパステル
・分節ー性質ーマチエールというのが、パウル・クレーの絵画の考え方だったが、分節ー性質ー機能、というように、より最初単位を汲み出せたように思う(これは進化的発展ではなく、退化的発見であるので、この点は、パウル・クレーに勝ったといえる)
・さて、では、絵画における、その機能、とは何か、と、最前線である、その後に控えるであろう、視覚的無意識について、が気になる
・絵画における機能、とは、絵画の機能、のことではない
・なぜ紙がザラザラしているのか、や、なぜ色鉛筆は乾いているのか、といったときの、その機能である
・紙のザラザラや色鉛筆が乾いているという、その機能は、分節と性質を、重ねる、ためにあるのだろう
・重ねる、とは何か(絵の具がキャンバスの表面につくことを言っている)
・別々のパーツ、部材と部材が、一致、すること(理解が難しいのなら、一致、を、接着、接合、固定、一体化と考えたうえで、一致という言葉にすべての本質があることを理解願う)
・驚くべきことに、絵画の製作工程では、接着剤が使われない(絵の具に含まれていようが、あの接着剤は使われない)
・つまり、重ねる、とは、一致、のことなのである
・〈一致〉こそ、機能、なのである
・〈一致〉=〈機能〉
・逆説的に、われわれが、普段、魔術の全景をなんとなく〈機能〉と呼ぶが、実は、〈機能〉とは〈一致〉のことだったのである
・たとえば、バウハウスでは、パイプ椅子が、その結晶として発明された(発明とは一致である/これは言い過ぎか?)
・椅子の前足と後足を、ある点で、〈一致〉させただけ、なのである
・重要なのは〈一体化〉〈固定〉〈接着〉〈接合〉ましてや〈類似〉させても、パイブ椅子は、椅子のままだったろう
・〈一致〉があったからこそ、パイプ椅子は椅子のまま板になることができた。可動性などのこと
・垂直に仮固定させたものが、水平方向にゼロ距離で動くときに、回転、という
・回転は、〈一体化〉その他では不可能で、〈一致〉によって可能なのである(ある一位相の可動性を完全に捨てることで、仮固定し、そこを中心に、別位相が最短距離で全ベクトルに動き始める)
・絵で言うと、ハードパステルがケント紙に、吹きかけられたときに、〈一致〉が起こっている。接着でも一体化でも類似でもない
・これはすごいことに気がついてきたのだが、ハードパステルこそ、すべての画材の始原性を宿している可能性がある
・ハードパステルはカッターで削って、自由に紙の表面に拡散する(スパッタリング、ステンシル)
・これを固定"しよう"としたときに、ハードパステル自体を紙に突き立て、それ自体で描く、と、途端に筆、幅や分節自体を描く能力になる
・たしか、人類最古の洞窟壁画は、スパッタリング、ステンシル(まさに、ハードパステルをカッターで削って吹き付ける/実際には、口に含んだ塗料を壁に当てた手に吹き付ける)だったはずだ
・分節自体、を取り扱い、描く能力ではなかった
・だが、ほぼ、同時かその後に、幅、線、を描く能力を獲得している
・吹き付ける、から、描く、が誕生したのだとおもう
・つまり、描く、とは、垂直に仮固定して、水平に動かす、だったはずだ
・(たかだか、ハードパステルを使うだけで、人類の最古層の記憶にアクセスして想起する自分に驚く/おそらく、バウハウスのパイプ椅子やその他の発明や表現は、この最古の記憶の再燃なのだろう/芸術的である)
・つまり、垂直か水平か、というベクトルの迷宮において、結実されないにも関わらずの固定への意志、つまり、一致ということが起こったということになる
・そして、この始原の「固定への意志」は、接着や一体化や接合ではなく、やはり、動的な均衡、つまり、一致、によって担保された動的固定なのである
・まさに、"ともに"、であり、"愛"、である(それ以外の力学は、飲み込んで性質をごった煮にしたり、片方から片方の性質を奪ったり、可動可能性を抹消したり、という支配や一体化の混濁なのである)
・ハードパステルはもっとも純粋な画材なのである。一致、によって、ついてもはなれてもよい、その一致によってのみ、分節と性質が、ともにあるときにのみ、紙とハードパステルが、絵になるのである
・美しい
・引力と斥力の狭間の一致から、すべてが生まれる
・あとの画材はすべて派生形である(子供に教育をするのなら、ハードパステルからがおすすめである)
・つまり、機能とは一致のことであり、一致とは愛であり、愛は美しいのである
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