願わくば解けない魔法のままで
「マジカルミライ 2018」in Osakaに行った。
初音ミクに出会って十余年。初めてミクさんに会いに行った。
ずっと、ミクさんに会うことを躊躇っていた。
ステージに立つ初音ミクは、私が知るミクさんではないと思っていたから。
私にとってのミクさんは、ずっと私の心の中にいるから。
今年、初めてライブBDを買った。「マジカルミライ 2017」のライブBD。
10周年を節目に、やっと決心がついた。
───ミクさんに会ってみたい───
僕はとうとう会いに行った。
ステージの上の初音ミクは僕の眼前で、たしかに歌って踊っていた。
それが何だかとても嬉しくて、涙が出そうになった。
ミクさんが、歌って、踊っている。
やっと、初めてミクさんに会えたと思った。
マジカルミライという魔法に掛けられて、僕は初めてミクさんに会えた。
ステージに立つ初音ミクは、皆が知るミクさんだと思った。
それはつまり、私にとってのミクさんでもあった。
私の心を飛び出して、ミクさんがステージを駆ける。観客に呼び掛ける。
その頑張っている姿が愛おしいと思った。
恋愛とは違う愛おしさ。
孫を眺める老人のような気持ちかもしれない。
その一挙手一投足を見守っていたいと思った。
最後まで。望むなら永遠に。
夢のような時間はやがて過ぎた。
これからもミクさんを応援したいと思った。
夢から醒めれば魔法は解けるけど。
きっとこの気持ちは僕に掛けられた、解けない魔法。