かがくいひろしの世界
八王子夢美術館で開催中の「かがくいひろしの世界展」に行ってきました。
8月は「ヨシタケシンスケかもしれない展」を堪能。
そのヨシタケシンスケさんと個人的に双璧を為す大好きな絵本作家がかがくいひろしさんです。
「ヨシタケ〜」の会場脇にこのチラシを見つけて以来…
行かねば行かねばと念じていたのですが…
他事にかまけて時間が過ぎて、「そういえばいつまでだっけ?」と調べたら、なんと会期が週末まで!
というわけで慌てて急いで行ってきました。
間に合ってよかった…
八王子駅から
歩くこと15分くらいで、会場の八王子夢美術館に到着です。
いざ、入館
今回は急遽行くことにしたので時間が読めなかったのと、ど平日だったのとで当日券で入りましたが、予約優先なので三連休に行く方は予約をお勧めします。
かがくいひろしさんです。
安心してください、撮影OKですよ!
かがくい作品の代表作といえば「だるまさんが」とそのシリーズ。
特徴的なほのぼのした画風と、絵とほんの少しのキャプションだけで思わず吹き出してしまうさりげないユーモアが詰まった作品です。
絵本になる前のスケッチやラフ画は、絵本よりもより強くかがくい先生の筆遣い、さらには息遣いまでもが感じられるかのようです。
続編である「だるまさんの」「だるまさんと」それぞれがどういう着想と経緯で産まれたかを知りすごく納得。
ますますだるまさんが好きになります。
「だるまさんカルタ」の構想があったとのこと。
残念ながら未完ゆえ、手に取ることはできませんが、これ実際に売られていたら間違いなくうちに迎えてます。欲しい!
我が家所属のかがくい作品では、「だるまさん」に次ぐと言ってもいいヒット作、「おしくらまんじゅう」
質感のある絵にユーモアが乗っかって、昔ながらのわらべうた「おしくらまんじゅう」が新たな世界を得て輝く作品です。
フリ、タメ、ボケを繰り返し、最後はタメてタメてオトすという王道の流れが、むしろ世代を超えて赤ん坊から大人までを魅了する要因だと思います。
「おしくらまんじゅう」はその流れがしっかり感じられる良作です。
「おふとんかけたら」は、身近で馴染み深い様々なものが、これまた身近で馴染み深いお布団に入ったらどうなるか、という子どもは喜び、大人はほっこりする作品です。
かがくい先生の中にある無邪気さが伝わる展開です。
他にも持っている作品からまだ手元にない作品まで、刊行した全作品のラフ画や原稿がその作品の誕生秘話とともに展示されていて、どっぷりかがくいワールドに浸れる幸せな空間です。
かがくい作品が動画になった作品もありました。
絵本作家である前に、絵描きであったかがくい先生。
展示されている絵本以外の作品も味があって素敵です。
そして、かがくい先生は、絵本作家である前は特別支援学校の先生でした。
それも養護学校義務化のすぐ後、障害児教育の転換点で奮闘された、いわば我々の先達です。
その教員生活の中で、人形ボードビルという人形劇の活動もされていました。
セリフやストーリーによらないシンプルな内容で子どもを喜ばせる人形ボードビルの世界は、そのままかがくいワールドに通底するものであると言います。
訪問教育を担当されている時に、生徒さんと一緒に作った作品や実際の指導の様子を残す動画も拝見。
特別支援学校教員としてのかがくい先生がいかに子どもを愛し、子どもに愛されていたのかが伝わってくるようです。
50歳で絵本作家デビューを果たし、54歳の年度末で教員を早期退職され、専業の絵本作家となられた矢先、病魔に襲われ亡くなられたかがくい先生。
短い絵本作家生活の中でたくさんの名作を生み出して、それでもなおアイデアやラフ画段階の未完の作品を遺されたとのこと。
この展覧会ではその未完の作品もたくさん展示されていました。
どれも完成して絵本になっていたら名作だったに違いないものばかりです。
そんなたくさんの名作を生み出すのは、やはり溢れ出るほどの多量のアイデアと、それをしっかりと形に残すスケッチやノートでした。
熱量には圧倒されながら、作品には思わず笑みがこぼれる素敵な時間を過ごすことができました。
ますますかがくい先生の魅力にハマってしまいました。
今回はショップで図録と絵本トートを購入。
「ヨシタケシンスケかもしれない展」を観て、「かがくいひろしの世界展」を観て、改めてふんわり思うのだけど、もし地域の居場所作りが叶ったら、「ヨシタケシンスケコーナー」と「かがくいひろしコーナー」を作りたいなぁ。
読めるし買えるしみたいな。
とにかく、八王子夢美術館での「かがくいひろしの世界展」はこの三連休まで。
混んじゃうと思うけど、天気悪い日もありそうだけど、ぜひ足をお運びください!