憧れのあさかぜ(ボクと夜行列車①)
ボクは鉄です。
名前でも素材でもありません。
鉄道が好きということです。
幼い頃、「ヤマケイのレイルシリーズ」を隅から隅まで見尽くしていた中で、私の心を強く射抜いたのは寝台特急ブルートレイン(ブルトレ)でした。
当時、東京圏発着だけでも、東京発東海道、山陽方面の列車と上野発東北方面に各7本ものブルトレが走る全盛期とも言える時代。
寝ているうちに目的地に辿り着けるとか、いつもは乗ることのない時間帯に列車にいることとか、そういう特別感が心を揺さぶったのです。
そんなボクが初めてブルトレに乗ったのは、1988(昭和63)年小6の夏、博多の父方の伯父を訪ねる旅で乗った、東京発博多行の寝台特急あさかぜ1号でした
あさかぜは、寝台特急のグレードアップを図った最初の列車で、ブルトレの元祖であり、殿様とも呼ばれる人気列車。
当時でもすぐ完売する切符を、父がなんとか取ってくれました。
インターネットどころか携帯電話もない時代。間違いなくみどりの窓口で並んでくれたんだろうと思うとありがたいでは言い尽くせぬ感謝。
あさかぜ用にグレードアップされた24系25形(金帯)の開放B二段寝台の上段。下段と向かいの上下がご両親と兄妹の4人家族でした。
一人で乗車のボクを家族の一員のように受け入れていただきました。
当時珍しかった車内のシャワーも使いました。決して快適とは言い切れないけど、列車の中でシャワーを浴びたという特別感は最高でした。
深夜にふと目覚め、通路の簡易イスに座って眺めた車窓は運転停車の京都駅。ビルのデジタル時計が「1:50」くらいの時刻を示していて、妙に大人になった気分だったり、そんなボクに「寝なきゃダメよ」と声をかけてくださった相席のお母様の優しさだったり、いろいろ味わえた素敵な鉄路でした。
防府駅で降りた相席のご家族。兄がウエストポーチを忘れていたのに気付いたのは防府駅を出発して少し経ってからでした。車掌さんに届けたけど、無事返ったかな?
※下関駅で機関車交換の間に撮りました。トップ画像も同じです。実はここでしかあさかぜの写真を撮っていません。もったいない。
定刻に博多駅に着いたあさかぜを降りた時、なんだか一つ大きくなれたような気がしました。
今思えば、小6でのブルトレ一人旅、贅沢だし、思い切ったなと。
させてくれた親にも感謝です。
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