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磨くべき強さについて

「強さの磨き方」を読みました。

まず、これからこの本を手にする方にお伝えしたいのは、この本の著者が“格闘技医学”を提唱されるスポーツドクター、二重作拓也さんであるということ。

決して糸井重里さんの著作ではありません。

出版業界には、「糸井重里さんに帯文を書いてもらったら、著者並みに糸井さんの名前を目立たせる」というルールやマナーでもあるのでしょうか。

たとえば…

それにしても、著者のネームが控えめすぎないだろうか。
それだけ著者が控えめな方なのだろうか?

この本は田中泰延さんのTwitterで知り、作者の二重作拓也さんは稲田万理さんの出版記念に開店した「スナック コスモ・オナン」に出演されたのを拝見して知りました。

格闘家然とした体躯でありながら滲み出る優しさを感じました。

さて、「強さの磨き方」です。

今まで“いかに強くなり得るか”というテーマの本を何冊か読みました。
いわゆる自己啓発系です。

自己啓発系の本では、どれもどこかで(あるい随所で)いかに他者より上へ、前へ出るかが書かれているという印象を受けます。

つまり、相手や周囲と比較して自分が優位であるという“相対的な強さ”をどうやって手に入れるかを、しかも著者の個人的な経歴を基に説いているように感じてしまうのです。

そのような本を読むたびに、自分には到底こんなふうにはなれないなと下を向くばかりでした。

一方、本作では、医学の見地も踏まえ、強さとは何かを、対極にある弱さも検証しながら紐解いた上で、“強く”あるために必要な要素が提示されています。

そこに提示されているのは、筋力的な強さでも、より高いとされる社会的地位の確立でもありません。

いかに自らのもつ力を見極め、いかにその力をよりよく正しく発揮するか。

つまり、本著で示されている“強さ”とは、他者との比較や対決の結果で測る“相対的な”強さではなく、どんな環境や状況においても折れずに進むための内なる“絶対的な”強さなのです。

最終章に示されるロールモデルも、その誰もが折れない軸や芯をもち、時流や周囲に流されない強さを発揮し続けた(し続けている)人たちです。

自己啓発系の本では、強くあるために必要なものを外に求めることが多いように思います。

しかし、この本で提唱される強さを磨くために必要なものは、全てそれぞれが内に持っているといいます。

そして、内にある強さをより発揮するために必要なのが、学ぶこと、語ること、記すこと

そして、自分の弱さに負けそうな時には、感謝することが大切と説きます。

そこには相手があるのですが、対峙し対決するための相手ではなく、自らを見つめ、互いに高め合うための相手なのです。

本当の“強さ”を磨き上げる時、生まれるのは優しさなのかもしれません。

改めて、そして正しく、強くなりたい、強くありたいと思ったのでした。

二重作拓也さん、素敵な一冊をありがとうございます。

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