見出し画像

たさきんとタサキン

あだ名は有能なコミュニケーション・ツールになり得る反面、誹謗中傷の端緒にもなり得る諸刃の剣である。

あだ名がイジメやトラブルに繋がるとして“禁止”している学校もあるほどだが、そんな馬鹿げた話もないだろうと思う。

イジメやトラブルに繋がるのなら、それはもうあだ名ではなく悪口ではないか。

とはいえ、自分の経験上、“あだ名”で嫌な思いをしたこともある。

私は姓を田﨑という。

一時期、あれは小学生の頃だったが、突如「たさきん」と呼ばれて、それがイジメに繋がったことがあった。
まあ、元よりイジメられっ子だったので、それがエスカレートしたということだ。

「たさきん」の何がイジメかというと、漢字で書いたら「たさ菌」ということだ。

当然、イジメなくらいだから、ビフィズス菌とか乳酸菌ではなく、バイ菌扱いされたということだ。

どんな風にイジメになったかは想像が容易だと思うのであえて書かない。

イジっている方に大した悪気がないのも今ならわからないでもない。
だからといって、あの頃のアイツらを許すかといえば許さない。
やはり名前(姓であろうと名であろうと)で遊ぶというのはアイデンティティへの攻撃になるから、決してしてはいけない。

さて、時は過ぎ。

特別支援学校の寄宿舎指導員として関わった生徒に、何年振りかで「タサキン」と呼ばれた。

さすがに「タサキン先生」ではあったが、これには腹が立たなかった。

大人になったからではない。

明らかに“HIKAKIN”さん由来だからだ。

ユーチューバーでもなんでもなく、単に「たさき」という名前からの連想だが、HIKAKINさんって若者の人気は絶大だし、さして悪い噂も聞かないし、全く悪い気がしない。

文字面ではさして変わらないのに、時代や背景で随分と印象が変わるものだ。

何が言いたいかって、文章にも必ず言いたいことがあると思わないでほしいけれど、まとめればこんなところかな。

・あだ名には善悪の両面がある。
・イジメやトラブルに繋がる“負の”あだ名は、最早ただの悪口である。
・単に語呂だけで名前をもじって誹謗中傷するのは、許すまじき最低の行為である。
・同じあだ名であっても背景や由来が異なると意味や印象が全く変わってしまうものだ。

だからなんだというのだ。

とりあえず、もしあの頃のヤツらに「たさ菌」呼ばわりされたら、「Hello,BOON-BOON!」って返してやろうかな。

何言ってんだか。

いいなと思ったら応援しよう!