愛をくらう
いつの頃からか、もしかして昔からなのか、特別祝ってもらうとか、感謝されるとか、なんとなく苦手意識が芽生えている。
祝うのは好きなんだけど、それすらうまくできない。
なんだか申し訳ないのだ。
こんな私を祝っていただくなんて…
私ごときに祝われてもきっと…
ここまでくるとやや重症な気もするが。
〜〜
今日は長男が遠征で練習試合に出かけていて、帰りに車で拾ってあげることになっていた。
所用を済ませ、買い物してくれていた妻と合流し、待ち合わせの駅に向かう。
乗り込んできた長男が、「はい」と言って唐突に缶コーヒーを差し出してきた。
「ありがとう。どうした?」
「いや、今日父の日だから。お迎えの感謝も」
母が同乗していると知って、母のレモンティーも買っていた。
我が子にさえ引け目があって、あえて父の日には触れないでいたんだけど、友達同士の会話で気付いたらしい。
そこで、「何が欲しい?」とか聞いて用意するとかじゃなく、サッと気遣いの缶コーヒーを持ってくるとは。
こんな粋なことするなんて、親の顔が見てみたい。
どう育てればこんないい男になるんか。
歪んだ世界も真っ直ぐ生きていけそうだ。
息子よ、ありがとう。