Goodpatchがクライアントワークを続ける理由
先日、あるイベントで対談した若手スタートアップ起業家からこんな質問をされた。
おそらくこの質問の背景として、出資を受けたら受託は止めて(もしくはVCに止められて)、自社サービスにフォーカスする会社がほとんどだし、スケールしないのに出資を受けているのになぜ受託を続けているんですか?という意味合いだろう。
昔はよく聞かれた気がするが最近はあまり聞かれる事がなかったのだけど、久しぶりに質問をされたので、それについてnoteに書いてみたいと思う。
ちなみにGoodpatchでは基本“受託”という言葉は禁止していて、クライアントワークもしくはデザインパートナー事業と呼ぶようにしている。理由は日本では受託という言葉が言われたものを作るだけの下請けのようなイメージになってしまっているから。
さて、出資を受けても、なぜクライアントワークを続けているのか?
大きな理由は3点ある
1. クライアントワーク(受託)を舐めるな!😤
まず、言いたいのがこれだ。多くのスタートアップや事業会社で働く人たちにクライアントワークを舐めるな!と言いたかった。
自分が起業した2011年当時は、受託を舐めているなと感じる人達がまあまあ多くて、自社サービスが上で、受託が下みたいな空気感があった。
- 受託は止めた方がいい
- 受託はスケールしない
- 受託で食いつなぐ
- ラーメン代稼ぎ
という話が色んなところでされていて、25歳からこの仕事をやっている自分としては 「クライアントワークを舐めるなよ」 と、ずっと思っていた。
クライアントワークは、クライアントが自社内でできない仕事をプロである自分たちにお願いして、ユーザーの課題、クライアントの課題、様々なビジネス課題、社会課題をクライアントのパートナーとして一緒にチームとなって解決し、ビジネスを成功に導くとても尊い誇り高き仕事なのである。
しかも、成功したらユーザーとクライアント両方の喜びを感じられる、1度で2度美味しい仕事だ。
学生や中途半端にクライアントワークやってる人達が「まずは受託で〜」とか言ってると、「こちとらプロフェッショナルとしてプライド持ってやっとんねん!!食いつなぐためにやる程度の気持ちで受託やるんだったら、こっちに仕事寄こさんかい!😡」 と常に思ってた。
なので、創業3年目にデジタルガレージから1億の出資を受けたときも「Prottは作るけど、クライアントワークは止めません。これはGoodpatchの立派な事業であり、デザインの力を証明するために必要なので」と言って、それを当時の担当猿川さんも共感してくれて、その後もVCからクライアントワークを止めろと言われたことは今まで1度もない。
そもそも、自社サービスをやってる会社が事業会社で、クライアントワークをやっている会社が受託会社とか言われるのおかしいなと思ってた。
クライアントワークも立派な事業ですから!!
という事でGoodpatchがクライアントワーク(受託)の捉えられ方を変えれると良いなと思ってた。
ちなみにGoodpatchの社員はクライアントワークに誇りと覚悟を持って働いているメンバーがとても多い。これくらいの覚悟でクライアントワークやってるんですよ。
2. クライアントワークは人を成長させる 💪
自分は最初から会社もプロダクトだと思って経営をしているので、会社というプロダクトを成長させるために一番重要なのは人の成長だという認識を最初から持っていた。
持論だが、自社サービスとクライアントワークだと短期間で人材が圧倒的に成長するのはクライアントワークの方だと思っている。自社サービスは会社によって納期がゆるい場合も多く、期限については甘い。しかし、クライアントワークは決められた納期の中で、今まで出来なかった事を必ずやり切る事を求められ、クライアントの期待値を超えるアウトプットを出さないといけないというプレッシャーがある。
この強烈なプレッシャーが人を育てるのだ。
さらにクライアントへの説明も必要になるので、言語化力も鍛えれる。
ちなみにGoodpatchという会社で働く醍醐味はクライアントワークで対峙する人間がスタートアップだと創業者か役員、大企業でも役員、事業責任者、プロダクトオーナーで、とんでもなく戦闘力がある人達と働き、その期待値を超えていかないといけないというプレッシャーがある。これが人を成長させる。
なので、Goodpatchの社員は成長が早い。
俺は最初からGoodpatchは人が成長する会社にしたかった。せっかく働くのであれば、ぬるま湯に浸かって数年仕事をするのではなく、プレッシャーがあったとしても人が成長し、人材としての価値を高められる会社にしたかった。
クライアントワークは人の成長を加速させる機会なのだ。
3. 様々なビジネスの課題や色んな会社の文化に触れられる🤓
この仕事の醍醐味は一つの事業だけではなく、色んな事業に関われるということだ。デザイナーとしては、自分のポートフォリオが増えるし、自分の中で様々な事業のパターンを貯めることができる。自分は元々好奇心が強いタイプなので、一つの事業だけをやり続けるのは厳しいと思ってた。だから、色んな事業に関われるクライアントワークは性に合ってたし、楽しかった。
あとは、色んな事業に触れる事で新たな事業アイデアが生まれる可能性がある。ProttやBaltoやReDesignerなどの自社サービスもクライアントワークをやっていたからこそ出てきたアイデアだ。
他の会社の文化に触れられるのも醍醐味だろう。Goodpatchでも過去長くコミットした案件にコミットしたメンバーはGoodpatchの社員でありながらも半分クライアントの社員にも近い感じになっていたと思うので、そこの文化も学べるし2度美味しいのだ。
そして、社外に友(とも)ができる。
深い友になるには一緒に仕事をするというのが一番だったりする。苦楽を共にした仲間というのはかけがえのないものだ。そこに所属の会社は関係ない。一緒に目標達成に向かった戦友なのだ。
個人的にはクライアント先に友達ができるというのも良い事だと思う。仕事相手だからわきまえろという意見もあると思うが、友達になるくらいの深い関係を築けると仕事もやりやすくなる部分があるし、そのプロジェクトが終わった後でも飲みにいけるような仲間ができるって人生を豊かにすると思っている。
クライアントワークで会社を成長させるという覚悟
たしかにクライアントワークは人に依存するモデルだ。ビジネスモデルとしては急成長は難しい部類でVCなどは好まないモデルかもしれない。
しかし、裏を返せば社員の成長がダイレクトに会社の売上に影響する事業でもある。それなら、それでも良いかなと思っている。社員が自分のやった仕事が会社の成長にダイレクトに貢献していると感じられるのは素晴らしい事ではないだろうか。だからこそ、会社としても社員が成長できる環境と仕組みづくりに投資する。人が直接的な資産だからこそ、人数が増えるとマネジメントが難しいし経営力が鍛えられる。
もちろん、経営としてはクライアントワーク事業の1事業に依存しないように自社サービスも立ち上げてはいるが、Goodpatchのコアはクライアントワークにあり、これから他の事業がいくら成長しようともクライアントワークを止めることはないだろう。
Goodpatchのクライアントワークは、言われたものをただ作る受託でもなく、上流の戦略だけ関わるコンサルでもなく、広告に紐づくクリエイティブを作るエージェンシーでもない、クライアントの本質的なプロダクト課題にコミットし、パートナーとして並走しながらモノと体験価値を作り上げていき、そしてモノを作るだけではなくクライアントの社内にデザインを文化として根付かせるところまでをやる新しいタイプの仕事だと思っている。
いくら内製化が進もうとも、社外だからこそできる価値があり、その価値は残り続けると思っている。
海外では、事業会社と受託会社のような括りで分けられる事はなく、デザイン会社に対しプロフェッショナルワークとしてのリスペクトがあり、就職先としても普通に選択肢に入ってくる。
日本では「受託でしょ」と揶揄される風潮もあり、そんなクライアントワークのイメージをうちが結果を出して変えていきたい。
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これは元々社内のブログに書いた内容なのだが、そのブログには社員から沢山コメントがついた。
みんな誇りを持ってクライアントワークやっている。
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そんなGoodpatchは随時仲間を募集しています!
Goodpatchの採用スライドが出来ました!😎
弊社のデザイナーとPRチームが気合を入れて作った採用スライドぜひ見てください!スマホでは見づらいのでPCの全画面で見てください!
9月19日追記
この記事をキッカケにエンジニアTypeさんから取材されました。弊社のエンジニアの働き方が分かると思います。ご参考までに。
あなたのやりたいことはデザインかもしれない
Goodpatchに入社する人材は美大・芸大出身に限らず、総合大学出身、営業、事業開発、コンサルなど多岐に渡ります。 私たちのバリュー「Go beyond」を体現する、多様なデザイナーたちを紹介するムービー