見出し画像

気になる - SLL (Sustainability Linked Loan)

本日の日経に掲載されていた気になる記事

"ツナ缶大手タイ・ユニオン、環境対応融資400億円調達 (日本経済新聞 2/16)
ツナ缶世界最大手のタイ・ユニオン・グループは環境対応型融資「サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)」で400億円超を調達する。トレーサビリティー(生産履歴の追跡)強化などの目標を達成すると金利が下がる仕組み。水産資源保護の達成度を基準に含むSLLは珍しい。" 

初めて聞いたこのワード。サステナビリティへの取り組みに対して、意欲的な目標を設定し、その目標を達成すると金利が下がるという仕組み。企業も金利という分かり易いインセンティブにより、取り組み意欲も上がるのではないだろうか。

そもそも、ESG/SDGsを経営に取り込もうとする潮流の背景には、
①業績向上(←誰が言わなくても経営者の努力指標)
②カバナンスの向上(←遵守しないと企業として成り立たない)
という、企業であるならば誰しもが目指す事業運営の中で置き去りにされがちな環境や社会への配慮・貢献という視点を、目標や第三者からの評価の指標としてきちんと盛り込もうという考えにある(非常にざーっくりとですが)。

その為、昨今では会社の業績説明やAnnual Reportの中で、どれだけESGを意識した事業運営をしているか、SDGsの何番目の項目に自社の事業のどれが対応しているか等、苦心しながら記載している。本当にコミットしている企業もいれば、実態に乏しいものもひねり出して、、、という企業もいるという実情はあるようで、一朝一夕で達成するのは難しい。CSR活動もしかり、本業の努力目標に直結させない限り、活動を徹底させるのはなかなかの根気と胆力が必要、となる。

そういった中でSLLは、借入金利の減額(金利の引き下げ)という、事業運営にとっては重要なコスト低減とESG/SDGsを結びつけるという、面白い取り組みであると思った次第である。

尚、欧州を中心に2017年頃からSLLの組成額は急速に増加し、2018年時点で320億ドル、2019年にはその2倍以上の713億ドルに達しているという。日本は、当初はそういった海外のシンジゲートローンの片隅に参加していたところ、最近は日本の銀行がアレンジャーとなってSLLを組成するケースも出てきているらしい。

素晴らしい!と食いつきそうなところ、一方で日本はそもそも借入金利が低いので、金利を下げよう、というインセンティブが働きにくいという別の課題はあるらしい。なるほど。(今回のケースはタイなので異なるが)。

今日の話題は
① SLL (Sustainability Linked Loan) 
② ESG/SDGs 

でした。おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?