エンタメはエンタメとして楽しめ
僕は同性愛者である。
「苦しんだでしょ?」「大変だったでしょ?」とよく言われるが、正直同性愛者だからと言って困ったことはさほどない。さほど、なのであることにはあるのだが、それ以外に苦しんだことや大変だったことの方が多い。
そんな僕は12-13年前、大学一年生の時に初めてカムアウトをした。演劇部だったからかなのか、それとも純粋に腐女子だったからなのか、引く人はそこまでいなかった。
今では少し話して「お、言えるな」ってタイミングになったら話すようにしているし、恋愛の話になったら話すことにしている。引かれることもあって、それっきり会話もロクになくなるとかもあるが、「所詮その程度の人だったんだ」と思い気にしない。
そんな僕はエンタメ好きでもある。
漫画・アニメ・ドラマ・小説・演劇・ライブ・映画・イベント。そのどれもが好きだ。たまに自分で作ったりやったりすることもある。詩・詞・小説・台本を書いたり、友人のライブを撮り編集したりもする。そのどれもに憧れ、その作品1つ1つに敬いを感じている。苦手なものや嫌いなものもそのなかにはあるが、作れるということ自体が私は上手く出来ないので、それができること自体が本当に羨ましくもあり、妬ましくもある部分である。
エンタメが好きな理由。
それは、自分が自分ではなくなる瞬間があるから。たとえ自分で描いていても、撮って編集をしていても、自分ではなくなっている。主役が自分ではないのだ。
フィクションの世界が好きだ。
エンタメにノンフィクションの世界もあるが、それも自分にとって関わりのないものであれば正直フィクションだと思ってしまうし、ノンフィクションはノンフィクションでまた観方が変わるので面白い。
フィクションはフィクションだ。
「この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。」と書いてあるので、今いる自分の世界とは全く違う「世界」なのだ。
そりゃあツッコミどころある作品も多くはある。原作との違いに対してのツッコミなどはまた別のお話だが。でも「所詮フィクションじゃん?その世界ではそうなんだよ」って考えで落ち着けない人が、最近多い気がする。
実在の人物や団体「など」。この中に、性に関することもその「など」に含まれるのではないだろうか、いや含まれる。
その性に対して、最近話題になっているのが今回観た「バイバイ、ヴァンプ!」である。
どんな内容か、以下あらすじである。
中世のルーマニアから永遠の命で密かに人間と共存し生きながらえている美貌のヴァンプたち。何百年の時を経た今、新しいヴァンパイア王国建設の場所に選ばれたのはルーマニアではなく、ここ日本の茨城県にある学園、私立野薔薇高校だった。この高校に通う2年生の小日向京平(寺坂頼我)は、同級生の宮田知基(平松賢人)、田中亮一(橋本祥平)、小倉勇気(瀬戸啓太)、館野吾郎(とまん)、荻野七生(私市夢太)と毎日仲よく過ごしていた。
ある日のこと、京平の小学校からの親友である吾郎が何やら怪しい人影に襲われてから状況は一変する。翌日、女好きの吾郎が、突然女装した同性愛者となってしまい、クラス中で大騒ぎになってしまう。巷では「この町にヴァンパイアが出現している」と噂されている中、京平たちは、吾郎を噛んだのがヴァンパイアで、ヴァンパイアに噛まれると同性愛になってしまうのではないか?と考え始める。
そんな中、ハーフっぽい顔立ちのイケメンで、文武両道の海外育ちというエリート黒森大牙(高野海琉)、妹の黒森夜弥(マーシュ彩)が転校してきた・・・
同性愛としては、おかしいところだらけであると思う。
でも、これエンタメでしょ?フィクションでしょ?
そういう世界があるんだ、程度に観ればいいんじゃないの?
炎上している中で、色々と読ませてもらっているなかで、そう思っていた。
なんだか公開中止を求める声があるらしいけどどこも大抵1週間ほどしか上映していないので中止にしようがなんだろうがすぐ終了するから放っておけばいいんじゃないかな?…と、調べたら27日公開終了予定のを20日に早めたのだか。それでも元々2週間やん…。少ないわ、上映させてあげてくださいよ。
こういう感じで、エンタメに対して色々言うから、日本の映画はつまらなくなっていくんだよなあ。
もっと作品は自由に作ってほしい。作れる環境がほしい。
エンタメはエンタメとして楽しめ。その映画の世界はお前の今いる世界とは別物なんだ。
と思いながら、実際に観てきましたよ、っと。
(ここまでは映画を観る前に書いた文章)
以下感想
観た結果、普通に楽しめた。うん、面白かったと思うよ?全体的に幼稚な演出、演技が下手というのは大前提にあったけれども。
「同性愛」というのがかけ離れすぎていて「同性愛」の話には思えなかった。簡単に言うと「原作レイプ」だな、と思った。「同性愛」という原作をおおまかに変えた感じ。僕は観てないけどドラゴンボールの実写あったじゃん?もうね、あの批判と一緒。「それ」は「それ」。「これ」は「これ」で観ると普通に観れる。区切れないのかな?区切ろうよ。むしろなんでそうまで言うかなあ、あそこまでかけ離れているのに。え、これ観て「同性愛ってこんな感じなんだー」って思う人がいるのかね?逆に差別じゃね?って思うんだけども。
僕は正直リアリティのある「同性愛」物よりは好感が持てたな。よくぞここまでやってくれた、と。ちゃんとエンタメだったよ。エンタメとしては成功だよ。まあ、ただ変に「ホンモノ」さんを出しちゃったがちょっと難しかったところなのかね。そういうのもいなかった方がもっと片寄れて楽しめたかも。やるならやるでもっと突っ走ってほしかった部分もちょっとある。
そーゆー風に描くのはよかったと思う。ただね、上にも書いたけど演出方法やカメラワーク、芝居がダメだった。何言ってん?っていう人多すぎ。とくに大牙役の高野海流くんと姫子役の美月音寧さん。滑舌がんばれ。
裸はまあ、堪能させていただきました。むしろそのためにいったと言っても架言ではないww寺坂頼我くんの乳首がピンクでキレイだったなあ…w唯一橋本祥平くんだけキャストで知っていたんだけど橋本くんの乳首黒かった…(´・ω・`)橋本くんハイキューの西谷でしか観たことないんだけどもっと上手い人なのかなあって思ってた。演出が悪いのかな?
なんか愛がなんだって言っていたけども「同性愛」がフィクションすぎて「愛」についても薄まってしまってのは残念なところ。そういうとそもそものテーマがダメってことになるから駄作になるってことか…?うぅん難しいな。
まあ途中からこっちが慣れてきたのか、観やすくはなってきていたと思うし、ぶっちゃけちょっと泣いちゃったんですけど笑 その辺ののめり込みやすさはベタな作りだからこそあった部分かな、と。そこは上手くはないけど下手でもなかった気がする。ん、いや、下手だった?うぅん、判断が難しい。
うん、これ1~2週間公開はもったいないなあ。炎上商法感あったけどその割には楽しめた。
そしてやはり、エンタメはとことんやってほしい。コンプライアンスなんて気にしないでやってほしい。あ、『コンプライアンス』観たい。
てな感じで、2020鑑賞感想021 バイバイ、ヴァンプ!でした。
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