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64才BESTY・腎移植へのMasterplan④2023年10月18日~ドナーは夫~


移植というのは、脳死された方と何かがマッチしてやっとできるもので、
その確率は極めて低い……というのが、少し前までの私の認識だった。だからほとんど無縁の話だと思っていた。
ところが身近に実際に腎移植をした人がいたのである。よさこい仲間のあおちゃんは、1年半前、ドナーとなって息子さんに腎臓を移植した。彼女が言うのには、アメリカより移植医療が遅れている日本でも、夫婦間ならたとえ血液型が違っても、腎移植がやれるようになったのだとか。
私が「クレアチニン値が上がってきた」と告げると、「できるだけ早く腎移植をしたほうがいい」とアドバイスしてくれた。レシピエントである息子さんもそう言っている、と。経験者の言葉は強い。
そんな話を聞いていたから、医師から「腎移植」という言葉が出たときも何の抵抗もなかった。あおちゃんから話を聞いていなければ、きっともっと動揺したはずだ。それを考えると、私があおちゃんと出会えたのも何かの縁を感じる。運命からの招待?

とはいえ腎移植は、私ひとりでできるものではない。昨日から、いつ夫に切り出そうかと考えあぐねていたら、朝食のトーストを食べながら、夫がふいに「昨日どうだった?」と受診について水を向けてきたのである。
根本的に嘘やごまかしのできない私は、スルーするわけにもいかず、医師やあおちゃんに言われたことを正直に告げた。
すると夫はまるで「そのパンちょーだい」と言われたような軽さで「いいよ」と言うではないか。「それでなおちゃんが長生きできるなら、僕の腎臓あげるよ。なんかちょっと気が楽になった。やっと人のためになることができるんだなって……」そういや彼はよく「世のため人のため」って言葉を口にしていたな。

そのときから私の、いや私と夫の腎移植への道、すなわちMasterplanがはじまった。これからどんなことが待っているのか。怖いけど、正直言って少しワクワクもしている。♪怖くても進めー、なのだ。

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