第24号(2024年4月19日)米軍のドローン戦はウクライナやロシアよりも時代遅れと複数の米軍幹部が批判(3月期)
第24号では3月期の最新のドローンにまつわる現代戦の話題と論文をご紹介します。
英国が新しい軍用ドローン戦略を発表
概要
BREAKING DEFENSE が2024年2月22日発表(記事本文)
原題 "UK launches military drone strategy backed by $5.7 billion funding and Ukraine analysis"
要旨
英国は新しい軍用ドローン戦略を発表し、その中で今後10年間で新たな軍用ドローンに45億ポンド(57億ドル)を支出し、無人システムの軍隊への迅速な配備を約束した。
この戦略は英国をドローン生産の「世界的リーダー」にすることを目指すものだ。ドローンを生産・開発するカテゴリーとして①機雷除去②自爆攻撃③運搬④ISRが挙げられている。
この戦略にはウクライナにおける戦訓が反映されている。例えばウクライナにおいて高価値な兵器の損耗が相次いだことは「商業部門向けに大規模に開発された技術を活用した、新しいタイプの能力」を要求していると指摘しする。
英国はウクライナに対して、ドローンを提供するための新しい取得・支援モデルを確立しており、各種ドローン企業と協力して24時間365日の支援サイクルを立ち上げることができた。
このドローン戦略は、敵国が「急激にドローン能力を開発している」ため、技術的な競争力を維持することが英国にとって必須であると指摘する。そのため、イノベーション、研究開発、産業界とのパートナーシップにより重点を置くことを求める「新しいアプローチ」を追求していく予定である。
また製造基盤の確保にも取り組む予定である。具体的には、「主要部品とプラットフォーム」のための強固なサプライチェーンと、「規模に応じた調達」能力を優先し、より「弾力性のある」産業基盤を提供することを計画している。国内外のサプライヤーには、紛争時に(生産を)急増させる能力を備えた弾力的な備蓄を提供することが求められる。
コメント
本戦略文書の策定の背景にはRUSIの提言や、DSEIの場における英政府からの予告があり、ドローンの重要性を訴え続けてきた研究者等の積み重ねの成果が出つつある印象があります。
また、この舵の切り方はNATOの他の国へも影響していき、近い将来のNATO圏でのイノベーションの進み方は劇的なものになるのではないかと思います。現在のNATOは米国主体ではないかという批判がありますが、トルコの無人機技術、ドイツ軍のAI開発、バルト三国のサイバー技術等を踏まえると、これらの技術革新は今後のNATOのあり方にも変化を及ぼすかもしれません。 (以上S)
今回の記事にあるように、英国は野心的な戦略を立てているが、その戦略が足に地のついたものなのか実施面で見ていく必要がある。例えば英空軍のドローン実験部隊が2020年の結成以来一度も試験をしていないという報道さもある。ウクライナ支援でおそらく調達関連についてはノウハウがあると思われるが、それ以外については不透明だ。ドローンは実際に試してみてわかることは非常に大きい。実際の実験で得られた発見と、ウクライナの戦訓を生かして英国も日本も戦略の実施をしていくべきだろう(以上NK)
米海軍無人機部隊が示す、あるべきイノベーションの実像
概要
The Defense News が2024年3月8日に発表(記事本文)
原題 "To achieve Replicator, the Pentagon should mirror Unmanned Task Force"
要旨
2023年、米国防総省は数千機の自律型無人機を配備するというレプリケーター計画を発表した。国防総省がレプリケーター計画で行わなければならないのは破壊的イノベーションーつまり新しい概念や技術を急速に導入し、戦争の作戦レベルを大きく変えるイノベーションーだ。
その点で言えば、2022年から活動を開始した海軍の無人機任務部隊 "Task Force 59" の取り組みは非常に参考になる。この無人機任務部隊は数々のイノベーションを起こしてきた。ではその成功の鍵とはどのようなものなのか。その答えは以下の4つである。
①要件を満たすことではなく、問題を解決すること
要件を満たすことを考え始めると、問題そのものを解決しようとするのではなく、解決策から始めることになる。その点、無人機任務部隊は上級司令官が特定した問題に焦点を当てて、作戦コミュニティと共にその詳細を洗練した。
②イノベーターを保護し、インセンティブを与え、定着させること
現状を打破しようとする破壊的イノベーションを、組織は組織にとって不適合なものだと見なす。したがって組織は破壊的イノベーションを排除し、そのリソースを同化させようとする。
こうした取り組みに対して、イノベーションを起こすグループを分離させることが解として挙げられるが、それは間違いである。なぜならイノベーションの成果を活用できなくしてしまう障壁を築くことになるからだ。
その点、無人機任務部隊は国防総省内にとどまり、管理上海軍の調達・要求組織の指揮下で活動した。この一見直感に反する行為が成功の鍵である。
③実験は早期かつ段階的に、実際の仮説に対してのみ行うこと
実験とテストは似て非なるものである。テストでは、失敗が望ましくない成果であり、失敗を支持する者は信用とリソースを失う。しかし実験では失敗は望ましい学習経験であり、失敗から学べた組織が勝利する。
NASAのアポロ計画では、すべての打ち上げが明確な学習目的に対して行われ、次の実験を形作る予期せぬ教訓の数々を生み出した。無人機任務部隊はは、このアプローチを模倣し開発を開始する前に、ユーザー、既存技術、明確な仮説を用いた実験を実施していた。
④効率や規模ではなく、発見とスピードに最適化すること
破壊的イノベーションとは新しいビジネスモデルを模索することである。このプロセスにおいては、ディスラプション(新技術を用いた製品などが既存のものに取って代わる現象)を目指すことになるが、その終着点は未知数である。この終着点を見つけるためには異なるプロセス、リスク許容度、組織構成、文化が必要となる。
無人機任務部隊は画一的なイノベーションアプローチを取らなかった。ある例では、無人機任務部隊の仕事は、漸進的な実験を監督し、資金を提供することで、最終的に他者に引き継ぐことであった。
また別の例では、業務上の問題から知見を抽出し、他の業務コミュニティで関連する解決策を見つけ、マッチメイキング・プロセスを取り仕切ることを行った。それぞれの例が抱える問題やユーザーの性質に沿って柔軟にアプローチを変更していった。
コメント
ここでの「破壊的イノベーション」とは、能力破壊型イノベーションとも言うべきでしょうか。例えば携帯電話の普及は、ポケベルを即刻社会から追い出し、公衆電話、家庭における固定電話の役割を大きく陳腐化させました。一般に、 大きな技術革新が起こる場合、それによって代替される古い技術に強みを持っていた企業は、スムーズに新しい技術に乗り移ることが難しいとされています(延岡健太郎『MOT[技術経営]入門』 p153)。
また、既存のリソースを奪うにもかかわらず破壊的イノベーションの成功は確約されたものではありません(成功したものだけをイノベーションと呼ぶ動きもありますが…)。
もっと細かい話をすれば、無人兵器を有人兵器に代替させるという、ゴールの見えた活動を破壊的イノベーションというのか?という議論にもなりますが、いったん置いておいて、この「イノベーション」成功のコツについては、どの組織でも非常に有用ではないかと思います。
この無人機部隊がどのようなスタイル(官民協同なのか、研究機関との連携なのか、部隊内で完結させていたのか…etc.)で任務を行っていたのかは詳しく分かりませんが、非常にクリエイティブで前向きな組織運営がなされていたのではないでしょうか。官僚機構でもある軍隊の中で、どのようにしてそのような組織を作ったのかが興味深いです。 (以上S)
記事内ではTF59の取り組みについてあまり詳述されていなかったのでここで補足しておきたい。TF59は米海軍第5艦隊内にある任務部隊であり、無人システムの運用を主としている。
こちらの記事では結成から15ヶ月段階でのTF59の様子が取材されているが、イノベーションに関して興味深い記述がある。デジタルホライゾン2022という演習では、TF59は参加している企業と協力することで、演習中では数時間以内にソフトウェアの改修を、数日以内でハードウェアの改修を行うことができたという。
通常であれば、ソフトウェアの変更は数週間後、ハードウェアの変更は数カ月後に行われるものであり、TF59におけるイノベーションのあり方の一端を垣間見れる事例である。(以上NK)
海兵隊歩兵のための統合精密射撃シミュレーション
概要
U.S. Naval Instituteが2022年6 月に発表(記事本文)
原題: Organic Precision Fires for Marine Infantry
要旨
本論考の著者は2017年夏、イスラム国のロケット弾による攻撃を受けたものの、グリーンベレーによる発射地点の特定と徘徊型兵器での反撃により撃退できたという経験をした。ここから著者は作戦分析と海兵隊支援のための研究を行っている。
著者は、徘徊型兵器の数や火力支援制御方法などの要因が戦闘結果にどのような影響を及ぼすかを調査するため、海兵隊歩兵中隊が、水陸両用機械化部隊から後続の海兵隊沿岸連隊を防衛する戦闘シミュレーションを実施した。
シミュレーションのから得られた知見は以下の通り。
1. 海兵隊歩兵中隊は中隊規模の水陸両用機械化部隊に対して分散作戦(海兵隊暫定マニュアルが示す、部隊を集結させずにOPFに頼ることで敵に発見されず遂行する作戦方針)を成功させるために、有機的戦闘力のみに依存する場合は少なくとも10発の対装甲徘徊型兵器を保有しなければならない。逆に、18 個を超える対装甲徘徊型兵器はシミュレーション結果の改善にはほとんど寄与しなかった。OPF システムを半自律的なスウォームとリンクさせると交戦の速度が向上し、勝率が向上した。
2. 海兵隊が徘徊型兵器を安全に使用するためには、新しい火力支援方法が必要である。
3. 青軍が勝利したある戦闘シミュレーションの例でも、30%以上の死傷率を被る結果が出た。敵味方双方が精密徘徊型兵器を使用する今後の戦場では、高い死傷者が予想される。
4. 特に水陸両用歩兵戦闘車は統合精密射撃能力を持つ徘徊型兵器に対し脆弱であることがシミュレーションで判明した。徘徊型兵器を使用する敵を相手にする場合には早期に敵を発見し、出来るだけ防衛拠点から離れた位置で交戦に持ち込むべきである。
5. シミュレーションにおいて海兵隊歩兵中隊は、UASによる敵勢力の探知と撃破に大きく依存していたことから、敵のキルウェブも同様にこの部分が核となると考えられる。拠点から離れた遠征先でのシミュレーションは本モデルでは検討されていないが、前線の防衛にも適合すると予想される。
コメント
プログラムによるシミュレーションはかなりメジャーな作戦/戦術研究の方法になってきましたね。勿論プログラムでなくとも「ウォーゲーム」を使うような方法もありますが、プログラムの良いところは起こり得る可能性を時間と機材(ハード/ソフト)のスペックの限り検討することができる点だと思います。囲碁や将棋と強化学習の相性がいいのも納得です。
私が興味深く感じたところは以下の部分です。
(抄訳)特に交戦の決定的瞬間には、敵味方の双方の徘徊型兵器で中隊周辺の空域が込み合っていた。火力支援コントロールの観点からすると、戦場で何が起きているのかを追跡し理解することは非常に困難だった。前線や主要交戦地域にどれだけの無人航空機(UAS)があったかを考えると、敵味方のUASを積極的に識別することは、それらの移動速度ではほとんど不可能である。適時性の確保と戦場での効果を同調させることも重要な課題だった。
ウクライナではロシア、ウクライナの双方が陸海空それぞれの領域で無人アセットを使用し、以下―ロシア軍のUGVをウクライナ軍のFPVが自爆攻撃―のように叩き合っています。
各国で技術や予算状況によりどのようなものが投入されるかは変わりますが、開戦端緒から双方の無人アセットが入り乱れるという状況は、今後のスタンダードになると考えられます。物量が乏しくなればウクライナのもう一側面である「数日に一度、敵陣を奪う任務が課せられる」状況 (NHKスペシャル「戦場のジーニャ~ウクライナ 兵士が見た"地獄"」)が発生するものと考えられますが、誰だって自分や周りの人がこんな状況に追いやられたくはないはずです。
だからこそ爆発的に無人アセットや省人アセットが開発、投入され、予算の割当や防衛産業の構造に変革をもたらしているのではないでしょうか。
無人兵器に関する論争はまだ続いていますが、例えばFPVドローンが敵陣に突っ込むような、戦術的要素の変化だけを見ているとそこから波及する大きな流れを見誤ると危惧します。 (以上S)
水陸両用戦闘車両が自爆ドローンに脆弱という分析は納得である。装甲も薄く、上陸中はスピードを出して回避することもできないからだ。したがって自爆ドローンに対する防空が課題となるわけだが、そこで活躍するのもやはりドローンであろう。こちらの記事ではドローンスウォームによる上陸部隊防護について触れられている。
加えて相手の上陸に対抗するという視点で考えると、自爆ドローンは相手の上陸部隊に対して有効な手段となりうる。こうした理由から台湾が自爆ドローンを自主開発したのだろう。(以上NK)
時代の変化に取り残される米軍
概要
Stars and Stripes に2024年3月7日掲載(記事本文 )
原題 ”Soldiers need abundant, cheap drones for training to adapt tactics, report argues"
要旨
ウェストポイントの現代戦争研究所が発表した報告書は、米国は下級兵士-無気力な軍官僚機構に取り残され、ロシア軍とのキャッチアップに追われている-の手に、小型の既製ドローンを即座に渡す必要があると述べている。
元陸軍砲兵将校で、現在はワシントンの戦略予算評価センター(CSBA)の研究員であるタイラー・ハッカーは報告書において、陸軍は自らを革新的な組織だと自負しているが、中国やロシアと比べると小型無人機の領域における動きは緩慢であると指摘する。
この例として、ドイツで訓練を受けていたウクライナ軍は、米軍がドローン戦の戦術にあまり詳しくないことに衝撃を受けたことが挙げられている。ウクライナ兵は、アメリカ兵がDJI Mavic3を持っていないことに驚いたとのことだ。
報告書によれば、米国はドローンがもたらす戦場の変化については知っているものの、適応するための反応が遅くなっているようだ。その結果としてウクライナが行っているような、安価で使い捨てのドローンを大量に調達することができていない。この原因は制度的惰性と軍における官僚主義であると指摘されている。
陸軍は教育機関を設置し、小型ドローンや対ドローン技術を開発するための調達活動を開始するなどその取り組みを加速化させてはいるものの、部隊レベルで小型ドローンを使ってどのように攻勢を行うかについては検討されていないと指摘されている。報告書は、陸軍は小隊や分隊レベルの部隊に手頃で消耗可能な値段の民生用ドローンを大量に供給し、部隊が実験することを検討すべきだと提案している。またドローンを損耗しても兵士に責任を負わせないことも提案している。
コメント
これまで米軍のドローン導入は官僚主義はびこる制度的民主主義国家では早い方かな、と評価していましたが、やはり「きちんと民主主義が機能している国」の弊害からは免れられないようです。この問題は現役海兵隊幹部も後述の有料部分で批判しています。
しかしイノベーションサイクルがより高速回転していく中で、とても旧来的な、X-2(下っ端の準備からするとX-2.5くらい?)年前から予算要求に向けた準備をして、もうさらに2国で調達して…なんて間に合わないんですよね。個人的にはすぐ必要な装備品が急に現れたときのために、あるいは部隊での戦術研究支援のために、方面隊単位くらいで使える予算があるといいのになと思います。
一方でこれは「国民に諮らずに勝手に軍備増強を行う」「必要十分以上の予算と権限を自衛隊に与える」と解釈されかねませんから、突き詰めていくと…軍と国民の関係性の問題にもなると考えられます。
防衛調達について研究しようとしている身としては、各国がこの辺の問題と、不安定化する国際情勢への対処能力とのバランスをどのようにとっていくか非常に興味深く感じています。恐らく他の国でも、他の装備品においても噴出することであり、もうすでに日本にも迫る問題です。 (以上S)
米軍の小型ドローンへの取り組みがよくわかる記事であった。米軍は最新で世界の最先端を走っていると思っていたが、必ずしもそうではないという現実を突き付けられた。同志Sが指摘するように、平時における軍隊のイノベーションがいかに難しいかということを再確認した。
しかし軍事におけるイノベーションというのは必ずしもメリットだけがあるものではなく、リスクがあるということも指摘しておくべきだろう。I
Internainal Securityに掲載されていたこの論文は非常に参考になる。戦間期のイギリスの装甲技術革新と、それがWW2における北アフリカ戦線でのイギリス軍の苦戦に及ぼした影響について事例研究を行った論文である。
事例研究の結果として、イノベーションの過程で失われるものはイノベーションによって生み出されるものと同様に重要であるかもしれないため、イノベーションによって生み出された新しい能力に賭けるのはリスクがあると指摘している。この議論に興味がある方は是非ともご覧いただきたい。(以上NK)
「ドローン戦争」の裏側—―ウクライナは数千人の兵士に操縦訓練を実施
概要
Defense Oneに2023年12月3日掲載(記事本文)
原題: Deadly but tricky to fly, suicide drones have Ukraine putting thousands of soldiers through pilot training
要旨
ウクライナではドローン操縦者の養成が急ピッチで進んでいる。操縦者養成の中心となっている民間のドローンスクールでは、数千人もの操縦者を戦場へ送り出している。
現在自爆ドローンに主に使用されているFPVドローンの操縦は一般的な撮影用ドローン(DJI Mavicシリーズなど)に比べて非常に難しく、「安価で戦術的効果が非常に高い」反面最低数週間の訓練が必要となっている。
操縦者養成に携わるドヴォレツキー氏は「文字通り、1960年代のセスナ(飛行機)のようにこのドローンを操縦しているのです」と語った。操縦技量が最低限で済むよう、戦場では撮影用ドローンとFPVドローンがセットで行動することが基本となっている。
このように操縦者養成が課題となっているFPVドローンであるが、中には1か月ほどで操縦から組立、整備に至るまでをマスターする者もいる。最も才能のあるパイロットはコンピューターゲームをプレイすることに慣れている、とドローン操縦講師のフロロフ氏は言う。「PlayStation の経験」を持つ人の方がよく上達する、とドヴォレツキー氏も同意した。
ドローン知識のハブとして多くの知識や情報を提供するVictory Droneの創設者であるベルリンスカ氏は「理想的なのは、すべての兵士がライフルと同じようにドローンを使用できるようになること」と語る。
一方で資金面での困難があり、多くの民間ドローンスクールでは運営が寄付頼みとなっている。ベルリンスカ氏は、より多くの資金があればVictory Droneは訓練を拡大し、電子戦に焦点を当てた訓練を追加できると述べた。撮影用等一般的なクワッドコプタードローンの操縦訓練費用は約35ドルだが、FPVドローンの操縦訓練費用はその6~7倍だという。
コメント
「ドローン戦争」の裏側で人的戦力を支える存在をクローズアップした秀逸な記事です。ウクライナがあまり充実していない本来の軍事力と国力の中でもロシアの侵略を何とか抑えている背景には、間違いなく民間企業や団体の支援があると思います。
取材にもあったようにFPVドローンはアクロバティックな動きやとんでもないスピードでの移動を実現する代わりに姿勢制御等の安全機能が撮影用ドローンに比して弱い(又はない)作りになっており、操縦は非常に難しくなっています。恐らくFPVドローンの操縦訓練費用にはシミュレーターや実機の消耗が含まれているものと思いますが、こうした費用や組織も戦争遂行に必要となると、現代の戦争は総力戦にならざるを得ない、あるいは何とか平和な生活を維持するためには民間人も「勝手にやってくれ」と言える状況になく、何らかの形で協力しないわけにはいかないのだと考えます。この態勢がないと思われる日本の、ある種無責任な状況が有事にどのように影響してくるか(特に災害では普通の人は協力すると思いますが、戦災では?)についても考えなければならない状況に来ているかもしれません。
また、新しい装備品を導入するには人的戦力の確保が言わずもがな必要不可欠になっています。今日本にいるFPVドローン操縦者は非常に少ないと思われますし、自衛隊に存在するのか?といった問題もありますが、そもそも論として、積極的に普及させようとしていない上、自衛隊の活動すら規制している法規制は有事の枷となっていくと危惧しています。今の状況が続く前提ならば、次に目の前に訪れる有事が、レガシーな戦力だけで何とかなるものであることを願わずにはいられません…(以上S)
どうもPSシリーズでゲーム歴15年で最近PCでもゲームするようになったNKです。記事内でゲームに慣れている人がパイロットとして優秀だとの発言があったが、これには同意する。
先日実機のFPVを操縦する機会があったのだが、初めて実機を操縦したにもかかわらず初めてとは思えない感覚があった。考えてみるとゲームにおいて、1人称視点でドローンを操縦することが日常茶飯事のようにあった。もちろんゴーグルでみる景色と画面で見る景色の違い、ドローンの反応速度等違いはあるが、確かに共通する点が多い。
ちなみにsteamではFPVドローンを操縦して攻撃するゲームが購入できるので、興味がある人は試して見てほしい。(以上NK)
【全訳掲載】劣勢のドローン戦:米軍は現代の機関銃に乗り遅れている
概要
War on the Rocks に2024年3月6日掲載(記事本文)
原題 ” OUTGUNNED IN THE DRONE FIGHT: THE U.S. MILITARY IS FAILING TO ADOPT THE NEXT MACHINE GUN "
全訳
WW1開戦時のイギリス陸軍歩兵大隊には、大隊あたり2挺の機関銃しか配備されていなかった。地上戦闘の技術的性質の変化を把握できなかったことにより、1916年のソンムの戦いのように、イギリス軍が多大な損害を被ることになった。
米軍における小型ドローンの配備状況は、この機関銃の採用の状況と酷似している。 小型ドローンが世界中で急増し、現代の戦場での使用が増えていることを観察しているにもかかわらず、米軍は依然として歩兵に十分な数を装備していない上、影響を与えるほどこれらのシステムの所有率を高めていない。
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