友人・知人と一緒に起業するときの注意点(1)
こんにちは。今日から新しいシリーズです。
なお、本記事は、小職が参加する士業団体「南森町スタートアップ・ラボ」(MSL)が2020/10/20 18:00-に開催する無料ウェビナー
「MSL#3_友人・知人と一緒に起業するときの注意点〜創業者間契約ってなに?〜」
の伏線にもなっております。よろしければウェビナーも覗いてみてください。
それでははじめていきます。
共同創業と結婚は似ている?
友人や知人と一緒に起業をするというケースは非常に多いです。
そして、一人で起業するよりも、複数人で起業した方が起業の成功率が高いともいわれています。
特に、世界を変える意気込みで急速な成長を目指す「スタートアップ」と呼ばれる企業の共同創業者は、文字どおり「寝食をともにして」創業期を乗り切ることもあります。
これをもって、共同創業と結婚は似ている、などと言われたりもします。
結婚と似ているということは・・・?
結婚と似ているということは、お互いの関係がうまくいっているときは勿論問題が無いのですが、人間関係が壊れてしまったときに、重大な問題が生じる点でも同じです。
そうです、離婚です。
離婚をするときには、親権、財産分与など、様々な問題を話し合いで解決しなければなりません。ときに話し合いで解決できない場合には弁護士や裁判所のお世話になることさえあります。
共同創業も同じで、途中で共同創業者の一部が離脱するとなった場合に、きわめて困難な問題が発生することになります。
事例設定
共同創業の問題を考えるにあたり、次のようなケースを設定してみます。
カツオ、ワカメ、タラの3人は、大学のクラスメイトでした。上場企業の営業職だったカツオが、業務経験を通じて革新的なE-sportsアプリのアイデアを思いついたため、エンジニアとして中堅企業に努めていたワカメ、デザイナーとしてフリーランスで働いていたタラを誘い、3人で株式会社イソノを設立することにしました。資本金は100万円で、カツオが49万円、ワカメが31万円、タラが20万円を出資し、それぞれ49%、31%、20%の株主になりました。代表取締役はカツオです。
3人は行政の補助で格安で入居できるインキュベーション施設の一室に構えた事務所に昼夜問わず引きこもり、毎日超ハイテンションで過ごしました。
そして株式会社イソノは、満を持して中規模ピッチイベントに出場し、β版プロダクト「TAMA」をPRしました。カツオのピッチは大好評で、さっそくシード投資を得意とするベンチャーキャピタル数社から声がかかりました。
そして1ヶ月後、株式会社イソノはマスオキャピタルからプレ4億評価で5000万円の出資の提案を受けました。
ところが、マスオキャピタルからの提案を3人で検討する中で、カツオとタラの間で口論をすることが増えていきました。タラはデザイナーとしてこだわりが強く、カツオの指示どおりなかなかアプリのデザインをしてくれないことがあり、もともとギクシャクすることが多々あったのですが、出資という大きなお金の絡む話をする中で、ふたりの様々な価値観の違いが先鋭化してしまったのでした。
そんなタイミングで、タラには、ほかのベンチャー企業のデザイナー職のヘッドハンティングがありました。かなりの年俸を提示されたこともあり、タラは、さっさと株式会社イソノに見切りをつけることにしました。
しかし、マスオキャピタルからはプレ4億円という評価を提示されており、単純に考えると、タラの20万円20%の株式の時価評価は、4億円*20%=8000万円ということになります。
タラは、これまで寝食を忘れて命がけで株式会社イソノの仕事をしたのだから、ちゃんとその対価を支払ってほしいと思いました。
そこで、タラは、カツオとワカメに対して、自分の株式を8000万円で買い取るように要求しました。
さあ、カツオ、ワカメ、タラの運命やいかに?!
今日も1万回の失敗と挑戦を繰り返す起業家の皆さんを応援しています。