はじめての親友、そして別れ、再会
文章を書く勉強中のnaoです。
今回も良かったら読んでください。
前回のnoteで『サバカン SABAKAN』というオススメの映画をご紹介させていただきました。
こちらは2022年公開の映画で、1980年代の長崎を舞台に、2人の少年のひと夏の物語です。
『僕にはサバの缶詰を見ると思い出す少年がいる。』
そう主人公が語るところから物語が始まります。
オススメした理由の一つに、私自身映画のような出来事を実際経験したことがあったので大号泣したのですが、そんな私の経験談を今回は書こうと思います。
それは、私が小学校4年生のときの話です。
一人の転校生が私のクラスにやってきました。
その子は、おかっぱの普通の女の子した。
当時の私はとくべつ、転校生に話しかけるような性格でもなく、
朝の会で先生から紹介された時も「ふーん」って感じでした。
転校生のその女の子は大人しく自分からお友達を作る感じでもなく、
どこか寂しそうでした。
すると、次の日からその転校生は学校を欠席するか途中から登校するか
とにかく学校に馴染めないという感じでした。
時には、母親と一緒に学校にきて、少し泣いているようでした。
先生からは、
「前の学校のお友達と離れて寂しいらしいのでお友達になってあげてね」
という説明をしていました。
その顔を見た日、学校が終わってから家に帰り私は、サンタさんからプレゼントでもらった一輪車を練習するということにハマっていて、一人でマンションの廊下で練習してました。
私の家は、マンションの一階で目の前に駐輪場があり、マンションの入り口が見える位置の部屋だったのですが、そこで一人、手すりを持ちながら一輪車に乗っていると・・・
マンションから勢いよく妹らしき小さな女の子を連れた”女の子達”が走っていくのが見えました。
「え、あれ転校生?…えっ、今日泣いてたやん。笑ってるやん…」
そう、転校生が引っ越してきたところは私が住んでいるマンションだったのです。
ジーっと目で追っていたらパッとこっちを見て目が合ってしまい、
お互いなぜか会釈をしたのを覚えています。笑
私が彼女をずっと見てしまったのには理由がもう一つあって、それは彼女も”一輪車”を持っていたんです!
軽く会釈した私たちはそのときはそれだけでした。
でも私の中では、いつも一人で一輪車の練習をしていたので頭の中では、
「あの子も一輪車持ってたっ!てか一輪車乗れるんかな〜」
そう思ってちょっと気になり始めました。
次の日、学校に来ると彼女の席は空席で登校していませんでした。
「昨日あんだけ笑ってたのに・・・」
結局その日、彼女が来たのは3限目の授業途中で、その時もお母さんと一緒に登校していました。
授業が終わり、掃除当番だった私。
名前の順で組まれた掃除当番のグループが、彼女と一緒だったので、
話しかけれるチャンスができました。
「話しかけようか・・どうしようか・・一輪車乗ってるの?って聞けばいいのか・・」
心の中で悩みまくったのを今でも覚えています。
それまで転校生に自ら話しかけるなんてしたことなかったのでこちらも緊張していました。
そして意を決して!!
「あのマンションに住んでんの?」
そう聞くと、
コクっと頷くだけの返答・・・
あんまりリアクションがなくてちょっと不安になりながら続けて、
「・・一輪車乗れるの?」
「うん・・」
これが初めて聞いた”彼女の声”でした。
返事を返してもらったことが嬉しかった私は、
「そんなんや!ウチも一輪車乗るねん!」
そう言って引き吊りながら笑顔で言ったあと、
なんとなくまた会話が止まってしまって、、
それで・・・
「・・・・明日から一緒に学校行く?・・」
「・・・うん。」
どうして自分から”一緒に学校行こう”なんて誘ったんだろう?
って当時子供ながらに自分でびっくりしたことを覚えていますが、
なんか気になっちゃったんです。
マンションで会ったときはすっごい笑ってたのに、
学校では笑ってないその子のことをどうにかしたいって思って。
その日から毎日マンションのエレベーター前に集合して一緒に学校へ行くことになり、学校から帰ったらお互い妹を連れてマンションの小さな公園に集合し、”一輪車”の練習しながら遊ぶというのが日課になっていました。
小学校5年生の10月頃、5年生になっても同じクラスになれ、安堵して毎日一緒にいる私たちでしたが”それ”はいきなり彼女の口から報告を受けました。
「また転校するかもしらん。…てかすると思う…」
それは朝一緒に登校している道の途中で彼女から言われました。
「え…、いつとか決まってんの?」
「多分11月ぐらいやと思う」
「そうなんや…どこ?近い?」
こっちに転校する前に住んでいたところも今の場所から近かったので学校が変わっても近ければいいと思ったんです。でも・・・
「…九州…やと思う。」
「え…めっちゃ遠いやん…」
嫌でした。
私にとってはきっと初めての「親友」でした。
毎日一緒にいたのでいなくなった後、私は誰と一緒にいればいいのか、
女の子特有のグループにどうやって参加していったらいいのか・・・
「でも、11月やし、全然先やん!」
そう言って笑ってごまかすのが精一杯でした。
そこからの1日1日は私にとっては大切な日で、
彼女がいなくなってしまう日が近づくにつれて悲しくて…
とうとう、彼女が最後の登校日、その日の終わりの会が終わったあと、
クラス半数の女子と一緒に教室に出ました。
廊下でみんなが泣きながら彼女にさよならをしている中、私は、
(泣かない!絶対。)
そう思いながら耐えていました。
「ウチでも泣いてないのに〜、皆んな泣きなや〜!」
そんな風におどけてみせたりしていました。
「さ、みんなもう遅いから帰ろうっ」
そう言ってちょっとずつ校門へ向かっていると、下校の音楽が流れてきました。
〜🎵
いつもまでもたえることなく 友達でいよう
明日の日を夢みて 希望の道を
〜🎵
”今日の日はさようなら” が下校の音楽だったのですが、
それが流れてきました。
(やばい・・泣きそう)
下を向いて涙を堪えているとふと校門先を見ると一人の先輩が立っていました。
私たちは実は少しこの先輩と喧嘩をして揉めたことがあり、
ちょっと目をつけられていたのですが・・・笑
(やばい・・今捕まったら・・・)
すると、先輩が私たちに、
「転校するの?」と聞いてきました。
コクっと頷くと、先輩は、
「そっか、元気でね」
そういうと先輩は去っていきました。
その瞬間、我慢していた涙がドバっと出てしまって、もう止まらなくなってしまいました。
あんなに私達のこと嫌いで追いかけてきてた先輩が、
わざわざ下校時間まで残ってくれて”さよなら”を言うのに待っていたこと、
下校の音楽、今までの思い出が頭の中に走馬灯のように流れてきて、
溢れでる涙ってこんな感じっていう涙を経験しました。
帰り道、無言で下校し、いつものエレベーター前でお別れし、
私は家に入るとすぐさま自分の部屋に駆け込んで机の上で大泣きしました。
それを陰から見ていた私の母親も泣いてました。
どうしようもなかった。
とうとう彼女が九州へ行ってしまう日、母親に新幹線のホームまでお見送りするために連れて行ってもらいました。
(もう行ってしまうのか〜…これで最後か…)
そんなことを思っていると、新幹線の出発の時間になり、
私はどうしても彼女に伝えたかったことを伝えました。
「もう向こうの学校で泣くなよ!笑」
「分かってる!笑」
そう言ってバイバイした時、"彼女のお母さん"が私に近寄ってきました。
「ありがとうね、⚫️⚫️ちゃん(私)のおかげであの子は学校行けるようになったんよ、ありがとね」
そう、声をかけてくれました。
嬉しかった。
あのとき、勇気出して声かけてよかった。
勇気出して言った「学校一緒に行く?」で感謝されて、
辛いお別れになるけど、大人の人に初めてちゃんと感謝されてそれが嬉しくて・・・
20年後・・・
それからしばらくは、当時携帯電話もなかったので手紙のやり取りと家の電話で連絡を取っていた私たち。
実は一度も会うことはありませんでした。
もう少し大人になってからのお別れだったら会ってたのかな…
お互い、中学生になって高校生になってなんとなくそれぞれの道に進んで・・・
私はなんとなく人生で新しいことを始めるタイミングで彼女のことを思い出します。
会ってはなかったけど、純粋に意識なく「親友」だったのは彼女だけです。
友達がいなかったわけでもありません。
どちらかというとこのお別れを経験してから広くお友達を作るようにもなりました。
けど、やっぱり私にとっては特別な子でした。
実は、数年前(コロナ禍前くらい)、小学校の同窓会をきっかけに連絡を取り会うことになりました。
全然変わってなかった彼女と会った時、咄嗟に抱き合ってしまいました。
泣きそうだったけど、我慢した。
だって、「泣くなよ!」って私から言ったから。
これが私が経験した”はじめての親友”の話です。
--ここからネタバレあり!--
映画の中では、少年たちは離ればなれになります。
けど、お互い泣くのを我慢するんです。
子供時代、どうしても自分たちの意思ではない別れをしないといけない苦しさがとてつもなく共感してしまって涙が止まらない映画。
この映画も最後は”再会”するですよね。
だから、映画の中である”またね”って言葉はすごくいい言葉だなって思います。
また、この作品が映像化される前、実はラジオドラマとして一度収録してたそうです。
つよぽんは笑いながら言ってたのですが、新しい地図として活動し始めた頃こちらの作品をラジオドラマで草彅剛一人芝居ということで一度読んでいたそうです。
つよぽんは、この作品をえらく気に入って収録途中で感情が入ってしまい涙が止まらくなって中断したり、またお仕事も事務所を退所してすぐだったのでかなり気合を入れて取り組んだそうです。
ですがなぜかこのお仕事はとんでしまったそうです・・・
でもつよぽんは言ってました。
「あの時の仕事が一回はダメになってしまったことで今、映像化になって僕はよかったと思う」
そう、草彅剛はいつも強いんです。
ほんとはきっと、泣くくらい感情入れて挑んだお仕事だったのに、
気にもしてないように見せて前向きで・・・
ちなみに、載せたYouTubeの予告編『サバカンSABAKAN』380(サバ)秒予告Ver. でのつよぽんの語りがラジオドラマで収録した声の一部だそうです。
スタッフさんがもったいということで特別編として予告で使用されました。
以上、私の経験談とおすすめの映画情報でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
₊⁎♡nao♡⁎₊