運気を上げるそうじ術
noteに投稿した記事のどれだったかは忘れてしまったのだけど、自分が書いたエッセイの下に「これもおすすめ」と表示された関連記事のなかで、ふと気になったものを読んでみたら、その内容と、そこで紹介されていた本に、ググッと興味を引かれた。
家事のなかでわたしが最も苦手とする「お風呂そうじ」と、「金運アップ」の関係性に、ナニナニ?と気になって、すぐに本も入手。面白くて、あっという間に読んだ。
*引用先の記事や、Amazonの商品ページにも本の内容がわかりやすく書いてあるので、くわしく知りたい方はそちらを読んでみてください。
『月の浄化術』の著者の方は占星術師。
正直言うと、わたしは占いにはあまりくわしくないし、スピリチュアル系と呼ばれるカテゴリーにも疎い。けれどもけっして懐疑的というわけでもなく、聞いて響く話は、素直に受け入れる姿勢は持っているつもりだ。
今思うと、育った家はパワーハウスだった
いきなりだが、わたしは幼い頃から「家がきれいだと運気も上がる」と肌で知っていた気がする。
原体験は、たぶん3歳くらいのとき。
当時まだ同居していなかった祖父母の家が、最初の舞台である。
祖父母は、東京の下町・町屋にあった工場の舎監として、事務所の2階に住み込みで暮らしていた。
その住まいを訪れると、和室2部屋に台所とトイレがついた古い貸し部屋にもかかわらず(もちろん当時はそんなことはまったく意識していないが)、そうじが行き届いていて、幼心に「ここはきれいで気持ちがいい」と感じていた。
3歳の記憶なんてあるのか、と疑わしくもなるけれど、祖父母とはわたしが4歳のときから同居がスタートしたため、それ以前という計算になる。
「おばあちゃんの家は小さな水色のタイルが敷き詰められた和式便所までピカピカだった」という記憶が、そのとき自分の目で見た風景とともに今もはっきり残っているのだ。
父は長男で一人っ子だったから(姉と弟を戦時中に病気で亡くしている)、わたしが4歳のとき、当時35歳の父が建てた一軒家で祖父母との同居が始まった。
わたしが小学校に上がると同時に母が働きに出たため、祖母は毎日のごはん作りを、祖父も庭の手入れや家のそうじなどを、忙しい両親に代わって引き受けていた。
末っ子のわたしは、学校から帰ってくるのがきょうだいの中で一番早く、毎日帰宅するたびに、「きれいにそうじされた家の気持ちよさ」を五感で味わっていた。
玄関ドアを開けたとたん、祖母が生けた生花が下駄箱の上に飾ってあり、レンガ色のタイルも、祖母が毎日雑巾がけをしてすべすべだった。
リビングに入れば、応接セットのテーブルの上には、父のための空の灰皿が置いてあるだけ。もちろんその灰皿は毎日ちゃんと洗ってあった。
祖父が毎日2階の廊下から1階まで、階段を1段ずつほうきや掃除機をかけてくれていたから、個室はともかくパブリックスペースに関してはいつもそうじされていたし、そんな家で幼少期を過ごしたことが、わたしのなかの「家とはそういうもの」という基準をつくったと思う。
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2022年12月発売のエッセイ集『すこやかなほうへ』(集英社)に収録されたエッセイの下書きをまとめました(有料記事はのぞく)。書籍用に改稿…
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