肩書きってむずかしい
noteのユーザーはフリーランスやクリエイターの人が多いと思うので、これまで「こんな悩みは同業者でなければ読んでも面白くないだろう」と書くのを控えていた話を書いてみようと思う。
わたしは雑誌編集者をやっていた時期が長かったので、会社を辞めてフリーランスになると、しばらくの間は「フリーエディター」という肩書きを名乗っていた。
もともと出版社の編集部にいたから、担当するページの絵コンテは描けるし、特集のタイトルも考えるし、キャスティングや取材申請といった業務も一通りはできる。
初めての仕事先にポートフォリオ(当時は「ブック」と呼び、自分が担当した雑誌のページを切り抜いてファイルしたものを作っていた)を持っていくと、たいてい「編集からやってもらえるんですよね?」と確認されたし、そんなことが続くうちに「ライターよりもエディターと名乗った方が、できる仕事の範囲が広いと思われて重宝されるのかな」と思うようになった。
ところがそうして仕事をはじめてみると、まず「エディター」は「ライター」とくらべて、言葉として相手に通じにくいと感じることが多かった。
そもそも音の響きとしても「ライター」の方がクリアだ。取材先にアポ入れの電話をするときなど、うっかり「エディターの小川です」なんて言うと必ず聞き返されてしまい(わたしの滑舌のせいもある)、そんなときは「ライターの小川です」と言い直していた。
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暮らし・仕事・おしゃれ・健康を題材としたエッセイ(平均2000字)が28本入っています。
2021年11月発売のエッセイ集『ただいま見直し中』(技術評論社)に収録されたエッセイの下書きをまとめました。書籍用に改稿する前の、WEB…
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