無意識を大切に
ひさしぶりに仕事部屋の本棚の入れ替え作業をした。
わたしの仕事部屋、夫の仕事部屋、児童書ばかりをあつめた納戸の図書室、娘の部屋にも本棚があるが、わたしの仕事机のすぐ横にある本棚は、今取り組んでいる仕事の資料や、イメージとして参考になる書籍をまとめて、すぐ手に取れる位置に並べることにしている。
たとえば、家の本をつくっているときなら自分が愛読する住宅本を集め、旅の本、暮らしの本をつくるときもそうしてきた。でも、実際に本をつくっている間、それらの本をお手本にめくっていたかと振り返ってみると、たぶんやっていない。
それでも、好きだと思う本の背表紙がずらりと並んで、すぐ手に届く場所から自分を見つめている、その環境が心地いい。好きな本と自分の位置関係のなかで、たしかにわたしは大切な何かを受け取りながら、目の前のやるべきことに強い気持ちで取り組めている、と思っている。
このたびの本棚の入れ替え作業では、おそらく10年以上ぶりに、いちばん目立つ場所に村上春樹単行本コーナーをつくった。村上作品は文庫で持っているタイトルの方が多いのだけど、当然、単行本のほうがかさがあるので、並べたら幅は80センチ以上になった。
これまでは、村上作品を自分のなかで特別扱いしたい気持ちから、扉付きの本棚のなかに入れていたのだけど、そうすると背表紙を直接、また無意識に目にすることがなく、逆に距離感が生まれてしまった。
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