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【10】「当たり前」とは?

こんにちは。みずたま なおです。
今回は「当たり前って何?」ということについて書いていきたいと思います。


1. 精神疾患に罹った日

 私は精神疾患に罹って、はや十数年が経ちます。

発症してからまず直面したのは”布団から起き上がれない”という現象でした。

”起き上がる”という行動さえも「思い浮かばない」状態…

もしかしたら「思い浮かべることができない」という表現の方が適しているのかもしれません。

健常者の方に説明するために分かりやすく、限りなく平たく言えば”無気力”でいいのかもしれません。

ですが、実際に体感した私にとって、うまく表現できませんが

「何も考えられない…ということ自体が考えられない」

というような感じでした。


2. できていたのに…

布団から起き上がることができないということは、何もできないということと同じです。

布団から出て、顔を洗って、朝食を食べて…といった行動がとれないのです。

30分くらいかけてようやく布団から出ます。

食欲はありませんでしたが、トースターに食パンを1枚入れて焼きます。

ですが、それだけでもう限界。
すぐ布団に戻ります。

普段なら、焼けたら温かいうちに食べますが、やはり布団から出る気力が湧かずそのまま。

トーストは手を伸ばせばすぐに届きそうな場所にあるのに…。

結局トーストを食べたのは、焼きあがってから約4時間後でした。

寒い部屋に放心状態で一人、冷え切ってカチカチになったトーストを食べた記憶は、今後も忘れることはないでしょう。


これも私の場合で恐縮ですが、発症する前日までは「精神的にきついな」とは思いながらも、出社し業務をこなしていました。

ですが、その翌日から全く動けなくなってしまいました。

もしかしたら、ある時に緊張の糸がプツンと切れてしまい、うつ状態に入ってしまった方もおられるでしょう。

あるいは、また別の形でうつ状態に入ってしまった方もおられるでしょう。

いずれにしても、普通にできていたことが、ある時を境に何ひとつできなくなってしまうのです。


3. 「当たり前」って?

精神疾患に罹ってしばらく経ち、少し落ち着いてきたころ、いろいろなことをぼんやりと考える時間が増えました。

するとあるとき「当たり前」って何だろう?
と思うようになりました。

みんな「当たり前の日常」とか「当たり前の~」とか言っているけれど、
私のように、当たり前なことが当たり前にできなくなるようになって、
「当たり前」という言葉に違和感…というか嫌悪感を抱くようになりました。

自然災害や事件・事故など、ついさっきまで「当たり前」だと思っていたものが一瞬にして当たり前ではなくなることもあるのです。


4. 当たり前はない

スケールの大きな話ですが、「当たり前」なんてものは何一つないのではないかな…と私は思います。

普段何気なく生活している今、また、この記事を読んでくださっているこのときも決して当たり前ではないのです。

くどいようですが、「当たり前」は一瞬のうちに崩れる可能性があります。

何かのきっかけで当たり前ではなくなってしまうのです。

当たり前にできていたことができなくなってしまうこと。

精神疾患に止まらず、日常生活に不便を強いられている方々がたくさんおられます。

その方々が被っている当たり前でない現実を、「当たり前が当たり前」だと考えている健常者の方々に広く知ってほしいと私は思います。





最後まで読んでくださりありがとうございました。
Xもやっているので、よかったら覗いてみてくださいね。
 
みずたま なお(@nao_mizutama)

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