実はやばい日本の住宅環境
こんにちは
建築家のなおです。
家づくりの温熱環境に興味を持ってから、次の関心が向かった場所は・・・
「環境問題」です。
その前段の話になります。
家づくりに関わっている中で最近よく思うことが出てきました。
おそらく一般の消費者まで届きにくいことが多くあると思っているので
少しでも多くの人に、この現状を知ってもらいたいと思っています。
ものづくりにおいて、「日本の印象は?」と聞かれるとどんなことを思いますか?
「日本のモノ作りはすごい!」「日本の職人は技術が高い!」なんて印象はありませんか?
僕も同じように思っています。少々漠然としていますが、その印象はすごく強いです。
■住宅の印象は?
それでは日本の住宅は如何でしょうか?(賃貸住宅でもいいです)
それぞれ思うところはあると思います。
僕の実家の印象は、「夏暑く、冬寒い」です。
リフォームなどで現地調査へ行った際も同じで、冬場の廊下の寒さは応えます。
ではなぜ、古い住宅の断熱性能がは低いのか・・・
■日本には断熱性能に関する基準がない
日本には断熱性能に関する基準がありません。
全てが努力義務です。なので断熱材を入れない家も今でも建てる事ができます。(流石に今時の家づくりでそれはないとは思いますが・・・)
2020年に義務化されるはずだった基準も無期限で延期になりました。
先進国の中で、基準がないのは日本だけです。
物作り大国の日本がそれで良いのでしょうか?
基準がないので、住宅ストックはひどいものです。
2020年に義務化するはずだった基準は努力目標であり、その中の「等級4」と言われる一番上の基準でも、ストック住宅のわずか1割のみです。
残りの9割は、無断熱だったり微々たる断熱材が施工されているのが現状です。
これは、義務化の基準や規制が遅れたことにより、日本住宅の温熱環境が致命的にやばくなった原因です。
■2050年に向けて最速で取り組む必要がある
これからの家づくり・リフォームで最低限、取り組むべきことはいろいろあります。
その中でも、新築住宅では
・断熱による冷暖房の負荷削減
しっかりと断熱施工に取り組み、等級4以上の断熱性能をしっかりと確保する事で、使用する冷暖房負荷の削減し、結果的にお財布にも環境にも優しい家づくりをする。
・高効率設備による省エネ
導入する設備機器は、高効率の設備機器を利用し、使用する電力を抑える取り組みをする。
・太陽光発電による創エネ
系統から電気を買うのではなく、可能な限り太陽光を使い発電させ、自家消費をしていく。
リフォームでは、
・断熱による冷暖房の負荷削減
しっかりと断熱施工に取り組み、等級4以上の断熱性能をしっかりと確保する事で、使用する冷暖房負荷の削減し、結果的にお財布にも環境にも優しい家づくりをする。
・高効率設備による省エネ
導入する設備機器は、高効率の設備機器を利用し、使用する電力を抑える取り組みをする。
・可能なら太陽光発電による創エネ
太陽光設置は後付けとなると、検討しないといけないこともあるので、むやみやたらに付けましょうとは行きません。ですが、可能であれば取り付ける事で、売電もしくは自家消費として使用していく。
■これからの家づくり
これからの家づくりは、「健康で快適な暮らし」を「可能な限り少ないエネルギーコスト」で「すべての人に届ける」事が必要になってくると思っています。
そのためには、まずは作る側の人の意識を変えなければいけません。
作る側の意識を変えるには、義務化は必須だと思います。
そうする事で作る側の意識を変える事で、消費者の意識が変わっていきます。
ヨーロッパなどの一般消費者の環境への意識と日本人の環境への意識の差は間違いなく違うと思っています。
ですが、それは日本のゆるゆるのぬるま湯が原因だと思います。
だから1秒でも早く義務化が必要だと考えます。
そうしなければ、日本中の人の意識なんか変わらないと思うからです。
2050年脱炭素化に向けて、猛スピードで舵を切らなければいけない状況です。
そんな現状を1人でも多くの人に知って欲しいです。
今日はこの辺で、じゃまたね!