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【歌詞考察】Aぇ! group Gotta Be - 時空を越え夢を形にする'歌'と'声'の表現

待望のセカンドシングル「GottaBe」発売もいよいよ間近に迫ってきました!
この曲、大好きです。
歌詞も歌割りもサウンドも振り付けも!

自己紹介も兼ねたグループの現在・過去・未来を力強く語った前作≪A≫BEGINNINGに対し、今回のGottaBeは過去・現在がいりまじり呼応し合う構成、と私は見ている。

具体的に最初から追って考えていきます。※読むのに10分ほどかかると思います。ごめんなさい。


歌い出し:世界観・構成の提示

きっと空言はいつか正夢を超えてく
名もなき夢を奏でよう
とめどなく響け、Melody!

「浮遊感」を持つとされるサブドミナントコードから始まるため、映像で言うとふわっと高いところから地面に降りてくるようなイメージが浮かびます。空言とは、噂や根拠のないことを示す言葉。「空言オーケストラ」でもそういう表現でてきますね。

まずここに曲全体の世界観の枠組みが示されている気がします。

作図が雑ですが、横軸は時間の流れ、縦軸は理想のレベル感(?)と捉えてください。


「空言」の過去(現在)と、「正夢」を越える現在(未来)という対比の構図、があり、その2つの架け橋となり得るのが「歌」。過去(現在)目線で言うと、空'言'はメロディと合わさって歌になり、名も無き夢が奏でられます。


1番サビ前まで:過去への問い・軌跡の定義

「どうせ…」物知ったる誰かが
挑戦者の背、指差すだろう
振り返んな 昨日の答えで
Ah-ah 明日を語るなよMyBro

笑われてばかりの夢をまた見てたろ?
大丈夫さ、一寸先は
Blank-Blank未知なるはずだろ?

昨日と明日の狭間、自らの夢が'空言'の状況でもがく主人公の様子からこの歌は始まります。担当するのはリーダー小島健。続く正門くん、佐野くんが「夢をまた見てたろ?」「未知なるはずだろ?」と問う。過去の自分に対して言っていると考えると、正門くんパート「また」の存在感が増しますね。今でも・何度でもきっと彼らは'笑われてばかりの夢'を見ている。これをバンドトリオが表現しているのがいい。


ラップ部分はあまり掘り下げないつもりですが、言葉の端々からデビュー待ちの日々が伝わる気がします。止まない外野の「Not yet:まだ」を蹴散らし「限界値、自ら問え」と吐き捨てる彼らは、まさに'運命へのRevenger'。

そして、好きすぎてもはや全国の学校の黒板の上に標語として飾りたいこちらのフレーズ。

折れない、譲れない
道を選んできたんだね

彼らは、昨日の答えで語られる明日を選ばなかった。誰かに諭すように歌うリーダー小島くんは、舞台の台本を書きつけるかのごとくグループの軌跡を歌う。「力を抜いて歌うといい」という正門評は本当にその通りで、自然体でいながら彼本来の力強さ、優しさ、聡明さが歌詞とマッチしているね。

君は強い 歌え!痛みすらも 
君のロックナンバーだろう

ようやくここでメインボーカル末澤誠也!満を辞して、な歌割りがね…。またその最初の言葉が有無を言わさずサラッと歌われる「君は強い」。苦悩する過去の自分(君) を肯定し、今の自分を奮い立たせる素敵フレーズです。


「空」を握りしめる痛みを歌う彼らのロックナンバー、あるじゃないですか。
今までで一番、ロックなナンバーP R I D E


切実な痛みを歌うロックナンバーが、多くの人を感動させ彼らを新しい運命へと押し上げるひとつの原動力になった。そしてきっとこれからもそうであるだろう。

私はそう解釈しています。


1番サビ:響く音、運命への到達

響け、Distortion
遠吠えの歌が確かに聴こえたぞ
名も無き者の叫びよ 
止めどなく夜を突き刺せ!

技が繰り出されそうな気迫と勢いの「響け」。サブドミナントの浮遊感あるコードで足の着くような着かないようなメロディーがサビの疾走感を生み出します。

なんだろう…「君の名は」的な、奇跡的な時空の歪み(Distortion)を私は想起してます。重ならないと考えられていた空言と正夢が、歪んで混じりあった。だから過去からの「遠吠えの歌」が現在の自分にも「確かに聞こえたぞ」。歪むほど響いたロックナンバーが、響け!と願う切実さと勢いが、多くの人に伝播し、歪みと夢と現実の混じり合いを加速させたと考えてもいいんじゃないでしょうか。

ちなみに遠吠え(イヌ)・叫べ・夜でこの曲も思い出されますよね。そうですよね。


あとちなみにもはや歌詞考察じゃないんですが「突き刺せ」の振り付けで2回突き刺さってるのが個人的に好きです。止めどない感じがして。

BPM, 限界の先へ鼓動が聞こえただろう?
抗え!枯れたその声は運命にさえも届くさ!
"Gotta Be!"

BPMは、Beats per minuets(1分あたりの拍数)で音楽や鼓動(心拍数)のテンポを示します。音楽とともに自らを追い込んでいる様子が感じられる。

最後肝心の「Gotta Be」ですが「have got to be」の略で「そうでなければならない」の意。「枯れたその声が運命に届く」いう状態への確信なのか、はたまた「そうでないとやってられない」という願いなのか。いずれにせよ「未確定」の未来に対し自分の期待や希望をどこまでも100%に高めている。不安に負けじと肩を組む5人という構図も振り付けから見て取れる気もしなくない。


2番:過去との決別、創作への誇り

Alright 有りもしない退路に
後悔も未来もないよな
臆病風に背向ければ
"God bless" 道は開くだろう

2番のこの部分の役割って「過去との決別」だと思うんです。
私もBTS 'EGO'という曲で知った考え方なのですが、「無意識下の自信のなさや葛藤をなくすには、その原因となる過去へのこだわりを捨てる」というプロセスが有効らしいんですね。BTS(j-hope)も、デビューを一旦諦めかけた過去の挫折を思い起こし、今の自分の存在の紙一重さを噛み締めつつ、とはいえ/それでも実際に諦めるってあり得んかったよな…と確信することで今の自分を肯定していきます。

デビュー後の彼らの中にも葛藤臆病風があり、それゆえに悔しかった過去に思いを馳せる必要があったかもしれません。最終的な成功/失敗は神のみぞ知るG o d b l e s sかもしれなくても、「退路」の存在を否定することが道を開きます。

その後のラップはちょっと陽キャな感じですね(雑)。爪や牙って言われたら、嵐の「研いだ爪隠し牙を剥く」を思い出します。


途切れない五線には
夢を描いた点と線
なぞれば君の歌は響く
涙の向こうへ

いやぁここも美しいですね。
1番で同じBメロを担当したのが、夢を言葉にする小島くん。2番では佐野くんが五線譜に書きつけて歌にします。それを「なぞれば…」と歌うのがボーカル末澤誠也。たまらんですねえ。

その後のラップパート全部含めて、この辺りには彼らの創作意欲、自信、誇りみたいなものが並んでます。ABC...とコードが並ぶところはバンドを彷彿とさせ、1番でロックナンバーといいながらロック以外のジャンルを羅列(佐野くんの登場もジャズ調だし)。「壮大なTRY 絶対なTRACK」と歌われるように、自分たちの音楽を自分たち主導で作っていくという矜持が伺える。歌わされない、自分たちで選び取って歌う。

ラップ後半のYouはファン、オーディエンスのことを表していると捉えるのが自然かな。そう考えると最後リチャくんの「will be there...」は「夢に向かって行くよ」だけでなく「あなたが音楽を聴いてくれたら、僕たちはそこにいるよ」と読み取ってもいいかもしれません。

ラスサビ、そしてまとめ

きっと空言はいつか 正夢を超えてく
果て無き夢を語ろう
終わりなき歌を歌おう
続けよう、君の物語を!

呼応し合う自己のコアのコア、いちばんピュアなところに到達するような美しい佐野ちゃんのソロパート。そこから年の順に畳み掛けられる怒涛の流れ、それぞれ異なる声の個性に鳥肌が立ちますね。

響け、Distortion
遠吠えの歌が未来(あした)を変えるだろう
名も無き者の叫びよ
泡沫の夜を突き刺せ!

気になったのは1番サビにはない「泡沫の夜」と言う言葉でした。泡沫:泡のつぶのように儚いものを、わざわざ突き刺すだなんて不思議だなあと。泡がほとばしる激流のように夢を追いかける中で壊れそうな自分を見つける儚い夜が何度もあって、消えて無くなることを怖がるくらいなら自らの声で突き刺してやろう…そんな感じですか?そんな感じにしとこう。

名も無き夢を歌ってよ
止めどなく響け Melody!
夢すらも超え "Wanna Be!"

声を張り上げる切実な思いG o t t a B eを歌い、さらにその夢を超えたらいいなW a n n a B eと望む。

最後にふと、大倉くんのポストを思い出しました。



ここまでお付き合いいただいたかた(いらっしゃるかな)ありがとうございました!
いやいい歌ですねガラビー。

アニメの主題歌という憶測が飛び交っていましたが、結局他でもない物語の主人公は彼らだったということですね。
癖がなく素直な、優しさと勇気を含んだ声で主題をリードするリチャくん、自然体な佇まいでThe・主人公を地でいく小島くん、とにかく進み続ける意志を一貫して歌いあげる正門くん、表現の幅を誇りグループの繊細さと品を担保する佐野くん、たとえ今回ソロパートが少ないとしても声を外に伝える核はやっぱり末澤くん。
みんないい、それぞれによすぎる。 

夢は叶う、と明るく熱く繰り返すだけの曲じゃないからこの歌がとても好きです。自分にしかない夢だからこそ空言と周りから評価され、それでも折れられない。その痛みを言葉とメロディにして歌い続けるという創作と表現、止めどない努力が彼らを特別にし、夢を掴ませ、多くの人を幸せにしていった、…そんな彼らの姿勢に私は共感しているからいいなあと思うし、Aぇ担でいたい理由でもあります。

しんどいこともあることは折り込み済み・それこそ自分たちの存在をスペシャルにして行く、そんなAぇとAぇ担の日々がこれからも続きますように。Gotta Be!

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