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嘘
嘘には大きさや、重さがあるみたい。
「大きい嘘」「小さい嘘」「重い嘘」「軽い嘘」軽い嘘なら許されて、大きかったり重かったりする嘘は一発退場で、けど小さい嘘も積み重ねればやっぱり退場だったりする。
わたしはあまり、嘘をつかない。べつに自分は正直者だぞ!と威張りたいわけではなく、ただ不器用なだけなんだけど。
嘘がへた。気持ちを隠すのがへた。だから軽いものならすぐに言っちゃうし、重くなりそうな行動はなるべくしない。
けれど世の中には、呼吸をするくらいナチュラルに嘘をつける人がいて。彼らは自分のついた嘘に、それほどの重みがあることを理解していないことがほとんどだ。なんなら、ついたことを忘れてることだって頻繁にある。
わたしは滅多に嘘をつかない。それが相手への誠意だから。だからこそ、つかれた嘘はよく覚えている。
つかれた嘘が足元に積もり重なり、それがレベル10に達したとして。わたしがいきなりレベル10の嘘をついたなら、それはおあいこと呼べるだろうか?
「嘘の重さが違うだろう」
と、責められるのだろうか。それとも、「嘘をつき続けてきた方が悪い」と擁護してもらえるだろうか。
ある人にそう尋ねたら「えっ、なに、それ」と面食らった顔をしていた。片方だけが嘘をついても許容される関係なんて、理不尽以外のなにものでもない。ねえ、そうでしょう。
なら、嘘をついてもおあいこじゃない?あなたにわたしを責める資格なんてない。たとえ世間がなんと言ったって、あなたにだけは言わせない。
舌を出す。そっと、胸の中で。