遅咲きの青春よ
「あれやりたい、これやりたい」
と言い出しては手を出して、続いたり続かなかったり。そんなことをここ数年、よくやっている。
本当なら10代20代の頃に言い出せばいいようなことでも、平気でやりたがる。のでなかなか「よし、一緒にやってみよっか!」と言ってくれる人がいないのが、ちょっぴり寂しいところだけれど。それでも、わたしはわたしで好き勝手にやっているので、そんなに悲しくはない。
もともとわがままし放題に生きてきたのかと問われれば、そんなことはなかったと思う。むしろ周りを気にして、自分の考えを口にするのは苦手なタイプの人間だった。今もまあ、そういう部分は十分あるのだけれど、若い頃よりはだいぶ図太くなったとは思う。
振り返ればわたしの10代20代は、なんというか、あまり自由じゃなかった。
10代になる前に両親が離婚し、そこから家庭環境は混迷を極めた。子どもがのびのびすくすくと育つ土壌だとは、お世辞にも言えない状況だったろう。
そんな、あまり居心地が良いとは言えない家の空気からわたしを守ってくれたのが恋愛パワーだった。けれど、今度はこっち方面でも大きな爆弾を抱えることになる。そしてそのまま20代へとかけて、わたしの人生はまたも大きく混迷していくこととなった。
この間、自分の好きなことを好きなようにする自由は、あんまりなかった。ゼロとまでは言わないけれど、あんまり。
…とまあ、そんなこんなのまま青春時代をそこそこ棒に振って過ごした。そして時は流れ、自分を縛っていた呪いめいたものから解き放たれたのが30代になった頃。
わたしはやっと、好き勝手に生きられるようになってきた。
家族がいるから、もちろん身軽ではないのだけれど。それでもわたしは今が人生で一番自由で、楽しい。まるで遅咲きの青春を謳歌するかのように、日々日々そこそこウキウキと生きている。
まあ、それでいいじゃないかと、最近はそんなふうにも思えるのだ。