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声が聞こえる
あの頃、家にも会社にも楽しいことなんか何もなくて、先もちっとも見えなくて、未来も希望もあったもんじゃない。ああ、ぽっと消えてしまいたい。リセットボタンを押すように、まるでその世界には最初から存在しなかったかのように。
毎日そんなことばかり考えていた。
唯一の支えは子ども達の存在で、あの子達を置いてはどこへも行けないって思いだけが、本当は弱くてどうしようもないわたしを、ちょっとだけ強くしてくれていた。
あれから少しだけ時が流れて。今は、そんなことは考えない。
会社を辞めて、新しい世界に飛び込んで、たくさんの新しい出会いがあった。人とも、それ以外とも。目の前にはこれまで見たこともないような景色が広がっていて、この先にもどんな未来が待っているのだろうと、ドキドキ、ワクワクする。
たまに怖気づいて後ずさりしたくなることもあるんだけど、それでもなんとか踏ん張っている。やっとわたしも、まともに生きられるようになってきたかなって感じているから。もう少しだけ、ここで頑張りたいって思えるからだ。
変化を求めて、行動して、お金を使って、後悔なんか一つもない。
やって後悔したことなんて、一つもないよ。思いつくのは「もっと早くやっておけば」「もっと積極的になれれば」……つまりは、やらなかった後悔ばかりだ。
こんな感じで、仕事はまあまあ、順調だ。いや、順調という言い方はどうだろう。適切ではない気もするけれど……。まぁ、いいか。この際。あくまで自分軸として、順調に推移している、ということで。
もう一つ、変化させるべきかどうか悩んでいることがある。ずっとずっと。こっちは難しい。すごく難しい。
でも、もうこのままではいられないよ、という自分自身の声がすぐ近くで聞こえる。耳をふさいで聞こえないふりをするのも、そろそろ限界みたい。
来年は、どうなるんだろうなぁ。