【或る高校教師の苦悩1】出会い
俺の名前は、村上亮太(むらかみりょうた)。
31歳の高校教師だ。
そこそこ有名な国立大学を卒業し、数学の教師になって7年目だ。
高校教師といってもこれまでは非常勤として働いてきた。
知らない人も多いと思うが、高校教師にも非常勤講師というものが存在する。
教師だけど期限付きで、クラスの担任とかにはなれないとかいろんな制約がある。
会社で言う非正規雇用みたいなものだ。
気は楽なんだけど、特に給料の面で物足りなさを感じていた。
そんな節に、いい知らせが舞い込んできた。
今年の秋から常勤教師として赴任することになったのだ。
春から赴任するのが普通だが、なんでも前職の教師が病気で退職し、その代わりということらしい。
だから、その教師が担任だったクラスを急遽俺が担当するということになる。
生徒には申し訳ないが、仕方のないことだ。
ちなみに赴任する高校は「安川西高等学校」という地元では偏差値の高い進学校だ。
離れた地域からも多くの生徒が通学しているような有名な高校だ。
俺は、進学校の真面目な生徒の担任をできるということにワクワクしていた。
というのも、これまで俺は工業高校など偏差値の低い学校ばかりで教鞭をとってきたからだ。
いつも周りにはヤンチャな生徒ばかりいた。
生徒がうるさくて授業にならなかったり、注意すると生徒から殴られたり、散々な経験もしている。
今思ってもひどい話だ。
だから、転勤が嬉しいという気持ちも強いのだ。
これには、俺のハンデも関係していると思う。
ハンデというほどでもないのだが、俺の身長のことだ。
実は俺は、身長が154cmしかない。
おそらく、女子生徒ですら俺より背が高い生徒が多いだろう。
男子生徒については言わずもがなだ。
また、体重も43kgとガリガリだ。
例に出して悪いが、お笑い芸人のカラテカ矢〇のような体形だ。
運動経験もほとんどなく、痩せてメガネをかけたオタクって感じ。
こんな体だから、注意しても生徒が言うことを聞くはずもなく、苦労してきたというわけだ。
これからは、こんな思いをすることはないだろう。
俺は、赴任が楽しみでならなかった。
夏休み中の8月20日から俺は出勤することになっていた。
初めての校舎、初めての職員室。
こういうときは結構緊張する。
でも、先生たちの雰囲気はかなり良好だった。
前の学校では、生徒の素行不良などで職員室がピリピリしている感じだった。
そんなのが全くないのだ。
俺が前で挨拶すると、温かい拍手で迎え入れてくれた。
「ここでなら、前みたいな苦労は無さそうだ。」
俺は期待に胸を膨らませた。
迎えた9月1日。
夏休み明けの始業式だ。
この後半の着任式で、生徒たちは俺が来ることを知らされるらしい。
ちなみに俺が担任になるクラスは1年3組だ。
多分1年3組の生徒たちは、自分たちの担任が何やら退職して、新しい担任が来ることは知っていると思うが。
着任式になると、体育館の扉の外で待機していた俺が呼び出された。
校長の後ろについてステージに上がる。
その間、生徒たちの方に目をやったが、全員が静かに体育座りをしており、いい子そうだ。
「やっぱり、いい学校だ!」俺の期待は確信に変わった。
ステージに上がると用意されたパイプ椅子に座る。
そして、校長が壇上に立って挨拶を始めた。
校長「今学期から、着任される村上先生です。先生には〇〇先生の代わりに1年3組の担任をしていただきます。それでは、先生からご挨拶をいただきたいと思います。」
そして、俺が壇上へ上がる。
俺「えーっ、今学期から着任することになりました、村上です。えーっ、こういう挨拶には慣れていないので、とても緊張しています。僕はー、…」
まあ、こんな感じで用意していた文章で挨拶を済ませた。
正直、こういうのは苦手だからあまり内容を覚えてないが。
俺「…。それでは、これからよろしくお願いします。」
俺が礼をするとパチパチパチパチと生徒から拍手が送られた。
楽しい教師生活が始まる。そう実感した瞬間だった。
式の最後に校歌を歌うらしい。
司会の先生が、「生徒、起立!」といい生徒が立ち上がった。
俺もステージの上でパイプ椅子から立ち上がる。
校歌はまだ覚えていないけど、なんとなくで歌った。歌い終わりだけ合わせる。
俺「…の西高ー。」
そして、何気なく生徒たちの目を向ける。すると、、
俺「ん、、?」
俺は一瞬目を疑った。
生徒たちの中で明らかに上半身だけ飛び出している女子生徒がいるのだ。
何度見直しても、やっぱり上半身だけ飛び出している。
最初は台に乗っているのかと思った。
でも明らかに肩幅とかのパーツが桁違いに大きい。
違う!めちゃめちゃ背が高いんだ!
俺「で、でかい、、!」
俺は声を出してしまった。
というのも、実は俺は大の長身フェチだ。
おそらく、僕の体の小ささも関係しているのだろう。
本能的に背の高い遺伝子を求めているのだ。
しかも、とにかく背が高ければ高いほどいいという性分だ。
もちろん毎日のオ〇ニーのおかずも長身女性、街でちょっと背の高い女性を見かけると目で追ってしまう。
そんな感じだ。
だから、明らかに背が高い女子生徒が目に入り、一気に興奮してしまったのだ。
しかも、普段は165cmとか170cmとかで興奮していたのだが、その比ではない。
改めて、その子をよく見る。
ロングヘアーで、清楚だけど少し気の強そうな雰囲気だ。
生徒たちは学年クラスごとに身長順で並んでおり、もちろんその子は一番後ろだ。
横に男子の一番背が高い生徒が並んでいるのだが、サイズが全然違う。
男子生徒の頭が、その子のへそあたりに来ているのだ。
その男子生徒も野球部みたいな風貌で、170後半から180cmくらいありそうな感じだ。
俺「どれだけでかいんだ、、230cmとかありそうだぞ!」
俺の興奮はマックスに達していた。
しかし、そんなことを思っていると校歌斉唱は終わっていた。
司会「それでは、2学期の始業式を終わります。礼!」
その号令とともに生徒たちはぞろぞろクラスに戻って行ってしまった。
その最中でも、俺はあの女子生徒を目で追っていた。
他の生徒と同じ夏服のセーラー服、しかしそのサイズは絶対特注品だ。
足元に目をやると、とてつもなく長い膝下。
でも細いわけではなく、程よく筋肉のついたふくらはぎだ。
その先に、明らかに巨大な足がついている。
白い靴下を履いているが、そのサイズは周りの生徒と比べると歴然だ。
大人と赤ん坊の足くらいの差がある。
俺「すごすぎる、、」
俺は茫然としていた。
すると、校長が話しかけてきた。
校長「お疲れ様でしたー。1年3組はいい子たちなので、すぐ受け入れてくれると思いますよ。」
俺「あっ、ありがとうございます。がっ、頑張ります。」
俺は、動揺を隠しきれず変な受け答えになっていたと思う。
職員室まで戻り、少し仲良くなってきた同僚の山口先生に話しかけた。
ちなみに山口先生は1年2組の担任だ。
俺「あっ、山口先生。なんかステージからすごい背が高い子を見かけたんですけど。先生知ってます?」
山口先生「あー、岩倉さんでしょ?有名ですよ。それこそ、先生の1年3組の生徒ですよ。」
俺「えっ!そうなんですか!」
俺は、山口先生との話そっちのけで、生徒の名簿を見始めた。
すると、確かに「岩倉玲奈(いわくられな)」という名前を見つけることができた。
俺「こっ、この子か、、」
その名簿にはもちろん身長とかは書いていないが、かなり成績優秀で隣町から電車で来ていることが分かった。
その隣町というのは、俺も住んでいる街なのだが。。
この後に、初めてのホームルームが予定されていた。
そこで、まじまじと対面することになるのだろう。
つづく…