【或る高校教師の苦悩8】更衣室

(前話「水泳部」の続きです。)

岩倉の水着姿に衝撃を受けた俺は、ダッシュでプールへと向かっていた。
とにかく岩倉の水着姿を近くで見たいという一心だった。
今考えると不審者の行動だ。
普段運動を全くしないヒョロヒョロの俺が家路につく生徒たちの間を全力で走る。
だが、やはり少しすると息が上がってしまい、歩き出してしまった。

「ハー、ハー、ハー」
校門付近で苦しそうにしていると、近くを通りかかった教頭に声を掛けられた。
教頭「村上先生、どうしたんですか?」
俺「いや、、ハー、ハー、、ちょっと忘れ物を、、」
とりあえず適当な言い訳をする。
教頭「あっ、そうですか。そんなに急がなくてもいいのに。ところで先生、明日の〇〇の件ですが、…」

教頭が天然だから、怪しまれずに済んだ。
だが、教頭の無駄な雑談に巻き込まれてしまい、結局15分くらい時間をロスすることになった。
「くそ教頭が、、」
そんなことを思っていた。
こんな状況だから、口が悪くなるのは許してほしい。
教頭の話に適当に聞き流し、なんとかその場を離れる。
そして、プールの方へまた歩き出す。

そこから3分くらいかけて、やっとの思いでプールの近くに到着した。
この辺りは校舎から離れているので、一般の生徒や教師と出会うことはない。
それは、俺みたいなストーカーにとって重要なことだ。

かなり古びた更衣室とトイレらしき建物が並んでいる。
そして、この奥にプールがあるのだろう。
周りを見渡すが、水泳部の部員らしき気配がない。
やはり、俺がもたもたしている間にみんな帰ってしまったのかもしれない。
教頭のあの雑談がますます憎たらしい。

だがここまで来て、また引き返すのも癪である。
もしかすると更衣室の中に岩倉の私物があるかもしれない。
可能性は低いが、俺はそんなことを考え始めた。
キョロキョロと周りを見渡し、更衣室のボロボロのドアを開けようする。
だが、無情にもそのドアは鍵がかかっているようで、開けることはできなかった。
「まあ、そうだよな。」
俺は諦めつつも落胆した。
結局ここまで来た意味はなかったのだ。

その時だった。
ふと足元に目を向けると、何やらたくさんの跡がついている。
「ん?これは、、」
そう。そこには水泳部員たちの足跡がペタペタついていたのだ。
おそらく、5分くらい前にそこを通った水泳部員たちが残したものだろう。
「ということは…」
もちろん、すぐに岩倉の足跡がないか周りを見渡す。

「あった!で、でかい、、!」
探さなくとも少し離れたところに、ひと際異彩を放つ巨大な足跡を見つけることができた。
他の水泳部員の足跡は結構乾いてきて色が薄くなっているが、岩倉の足跡はまだくっきりと残っている。
面積が大きい分、それだけたくさんの水分を蓄えているということだろう。

おそるおそるその足跡に近づく。
外反母趾気味でギリシャ型の女性らしい足跡。
だが、そのサイズは桁外れだ。
俺はすぐさま近くの水たまりで足を濡らし、岩倉の足跡の隣に自分の足跡を付けた。
幅狭でガリガリな22cmしかない俺の足を、チョコンと岩倉の足跡の隣に寄せる。
「なんだこれ、、(笑)」
あまりの大きさの違いに笑いがこみ上げてきた。

まず幅も長さも2倍以上違い、足の裏の面積で言うと5倍くらいの差があるはずだ。
かかとを揃えると、俺のつま先は岩倉の土踏まずの真ん中あたりまでした届かない。
誇張抜きで大人と子ども、いや赤ん坊みたいな差だ。
また、よく見ると指の付け根から指の跡までがかなり離れており、足指が相当長いことが想像できる。
本当に絵に描いたような巨人女性の足型だ。

俺は、筆箱から15cm定規を取り出し、おもむろに長さを測る。
まず指についてだが、一番長い人差し指は10cm以上ありそうだ。
俺の人差し指は3.5cmだからその3倍近い。
また、親指の跡だけでも直径7cmくらいはありそうで、俺のかかとのサイズとあまり変わらないように見える。
いかに桁違いかが分かるだろう。

次に、定規を継ぎ足し継ぎ足しして幅と長さを測る。
だから厳密ではないだろうが、幅は18cm、長さは49cmと分かった。
「ヨンジュウキュウセンチ、、!?」
俺は理解が追い付かなかった。
先ほど確認した岩倉の上履きのサイズは46.5cmだったから、岩倉の足はそれよりも大きいことは間違いない。
確かにあの上履きは、ゴムがデロデロになっていたから、かなりキツキツの状態で履いているのだろう。
足型も外反母趾気味なのを見るに、小さめの靴(俺たちにとっては巨人の靴だが笑)を日常的に履いているのは間違いなさそうだ。
加えて、足型は実際のサイズよりも一回り小さくなるから、実際はもっと大きくて、、
想像すると頭がおかしくなりそうだ。

そして忘れてはならないのが、この足の持ち主はUMAみたいな化け物ではなく、清楚な15歳の少女なのだ。
そんなことを妄想し、俺の股間はパンパンになっていた。

だが、ここで時間を取るわけにはいかない。
時間をかければかけるほど、見つかる確率が上がってしまう。
そう考えた俺は、名残惜しいがプールから離れる。
少し歩いてチラッと振り返ると、岩倉の巨大な足跡が鎮座しているのが見える。
その堂々たる佇まい。
それは、神秘さすら覚えてしまう。
あの巨大な足の実物を見てみたい、堪能したい、、
俺の欲求はさらに高まってしまった。

まあ当初の目的は達成できなかったが、俺は大満足で家路についたのであった。

つづく…

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