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牧山ひろえ議員(立憲)質疑 2024年5月14日参議院法務委員会

本日の牧山議員の質疑を文字起こししました。

牧山議員
立憲民主・社民の牧山ひろえです。離婚後の家庭法制を中心とした民法改正の質疑を担当いたします。よろしくお願いします。
さて現在、与野党で様々な角度からこの改正法に基づき質疑を積み重ねて、それによって明確になった点や批判を受けて人道修正した内容が数多くあります。
これらの国会審議の内容については、裁判実務において反映していただかないと議論の意味がありません。その認識は当局でも共有していただいており、5月9日のこの委員会での福島議員との討議の中で、大臣はこうおっしゃっています。 「本改正に関わる国会での議論を含めた、立法意思が執行にちゃんと写しとられるかどうか、そこが非常に大事なところでありますので、そういう問題意識をもって法務省も最大限努力したいと思います」と言ってるんですね。
では、具体的に法務省はどのようにして当委員会での議論を裁判実務に反映するおつもりでしょうか。

小泉法務大臣
それはもうひたすら裁判所に、この審議の経過あるいは立法意思、こういったものをひたすらお伝えをして、その理解をしていただきたい、そういうお願いを繰り返していく、それが1番大切な方法だと思っております。

牧山議員
裁判官は憲法及び法律にのみ拘束されるとされていますので、条文修正を行えばこんな心配いらないと思うんですが、政府与党は頑なに拒んでいますので、特段の配慮が必要になってくるわけだと思うんですね。
最高裁も同じ質疑の中でこう述べています。「各裁判所において、改正法の各規定の趣旨、内容を踏まえた適切な審理が着実にされるようになることが重要。最高裁といたしましても、今回のいろいろな議論などを踏まえまして準備を進めていきます、 研修なども含めて裁判所としても対応してまいりたい」と、このように述べておられるんですけれども、問題意識は共通するんですけれども、対策の具体的なイメージが見えないんですね。研修以外の具体策をお示しいただければと思います。最高裁、お願いします。

最高裁事務総局家庭局長
最高裁といたしましても、民法等の一部を改正する法律が成立した場合に、これまでの委員会での質疑によって明らかにされた改正法の各規定の趣旨・内容を、事件を担当する裁判官をはじめとする各裁判所職員に的確に周知し、各裁判所においてその内容を踏まえた適切な審理が着実されることが重要であると認識しております。そのために、例えば改正法施行後の運用に関する大規模庁での集中的な検討や全国規模の検討会の機会を設けて裁判所内部でしっかりと検討を行い、また、裁判官をはじめとする各裁判所職員に対して必要な研修を実施するなどして、各裁判所における施行に向けた準備や 検討が適切に進められるよう、必要な情報提供、サポートを行ってまいりたいと考えております。

牧山議員
様々なシミュレーションを含めて質の高い国会審議を行い、それを軸に執行の質を高めていくことは重要ですし、私たちの使命でもあると思うんですね。
ですが、先ほど述べました裁判官の独立の関係上、裁判所が立法意思通りに解釈し、そして運用し、判断する保証はないですし、法務大臣も最高裁事務 総局も保証することはできません。であれば、重要なところを具体的に条文に書き込んできちんと縛る。本来の筋論で言えばこうしないとですね、懸念は全く払拭されないのではないかなと思うんです。
例えば、共同親権となっているケースで、同居親が自身の行う行為を自身単独でできるのか、それとも別居親と共同でないとできないのか確信が持てない場合に、これらの質問に対応する問い合わせ窓口的な仕組みや手当てを用意するご用意はございますでしょうか、大臣。

法務省民事局長
親権を単独で行使できるか否かにつきましては、婚姻中の父母について現行法のもとでも生じうる問題でありまして、現行法の解釈も踏まえつつ、本改正案では、父母双方が親権者である場合でありましても、子の利益のため急迫の事情があるときや監護または教育に関する日常の行為をするときは親権の単独行使が可能であることを定めております。
各法による親権行使の当否につきましては、個別の事案における具体的な事情に即して判断すべきものであるうえ、現行法の下での婚姻中の父母による対応と異なる対応を必要とするものではありませんが、これまでの国会審議におきましては、具体例も踏まえて、審権の単独行使が認められる場面等について説明をしてまいったところでございます。
また、本改正案につきましては、衆議院法務委員会における審議の結果といたしまして、附則に、政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第824条の2第1項第3号の急迫の事情の意義ですとか、同条第2項の監護及び教育に関する日常の行為の意義その他の改正後の各法律の規定の趣旨及び内容について国民に周知を図るものとする旨の条項が追加されたところでございます。
本改正案が成立した際には、この附則の規定に従いまして、本改正案の趣旨や内容について、国会における法案審議の中で明らかになった解釈等を含め、関係府省等とも連携して適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと考えております。

牧山議員
今私が申し上げたようなサービスがないと、同居親は子どもについて何らかの選択を行うたびに弁護士に問い合わせをしなければならなくなるんですね。
この短い国会審議の中でも、これだけ様々なケーススタディが検討されています。実際に制度が施行された場合、数多くの事案について不安を感じるケースが続出すると思うんですね。 そのような状態は子どもの利益には全くならないと思うんです。
共同親権となった場合には、日常の行為ですとか急迫の事情がある場合を除いて、狭義の親権である重要事項決定権について共同行使をすることになります。 共同親権者の話し合いで一致しない場合の重要事項の決定は、家族にとって今までになかった業務でございます。これに加えまして、共同親権か単独親権かという、これもまた今までなかった業務も加わるわけですね。また、いわば事件が事件を生む、このような事態も懸念されるわけです。
これらを考え合わせますと、確実に家裁の業務量は増加、激増すると思うんです。 法務省そして最高裁は、今回の改正によってどの程度家裁の家事事件数が増加すると見込んでおられますでしょうか。

法務省民事局長
まず、法務省からお答えいたします。
本改正案におきましては、父母双方が親権者である場合の親権行使につきまして、父母の意見対立を調整するための裁判手続き等を申請することとしておりまして、家庭裁判所に申し立てられる事件数が増加する可能性はあると考えておりますが、現時点では事件数を具体的に予測することは困難でございます。

最高裁事務総局家庭局長
裁判所の方からもお答えいたします。
この法律案によれば、父母双方が親権者である場合の親権行使について、父母の意見対立を調整するための裁判手続き等を新設する内容を含むものであると承知しておりまして、法案が成立する前の段階で確たることを申し上げるのは困難でございますが、 この法案が成立し施行となれば、この新たな裁判手続き等の新設に伴い、家庭裁判所に申し立てる事件数が増加する可能性はあるものと考えておりますが、現時点で具体的な予測は困難であるというふうに考えております。

牧山議員
改正案は現行法よりも親権行使など巡って、協議ですとか対立する場面が当然ながら増えると思うんですね。
今までは紛争のきっかけになりづらかったプールですとか、ワクチンなどの何気ない生活の一部が紛争の種になるわけでございます。いわば紛争の多様化、そして複雑化になるわけです。
法務大臣は、 衆議院での審議で「不必要な紛争が増えるとは思わない」と答弁しておられますけれども、要否を問わず紛争自体が増えることは多くの識者が認めるところなんですね。
共同親権制度が主流の欧米では、日本と比べて子の監護に関する法的紛争が非常に多く、格段に多く、裁判に巻き込まれる子どもが大変多いです。ちなみに家事裁判の件数は、日本は2241人に1件、フランスの場合は現在395人に1件、米国ニューヨーク州ですと137人に1件となっております。
米国ニューヨーク州もフランスも共同親権の国なんですけれども、共同親権と子どもが法的紛争に巻き込まれる確率との関係について、どのようなご認識でいらっしゃいますでしょうか。

小泉法務大臣
ご夫婦が別れた後にも共同で親権を行使する、 これはなかなか確かに難しい問題であり、その判断において裁判所の判断が求められるケースももちろん 増えていくということは事実だと思いますが、その目的は何かといえば、子どもの幸せ、子どもの健やかな成長、それに向かっての努力だと私は思います。
増えていくことに対しては適切な対応が必要だと思います。組織の拡充あるいは予算の確保、様々なスキルの獲得、そういったものを積み重ねながら、子どもの幸せのために裁判所にも頑張ってもらわなければいけない、そのように感じております。

牧山議員
共同親権の導入が子どもを法的トラブルに巻き込む可能性も上げる可能性もやはり考慮するべきだと思うんですね。
今回の改正に対応するには、家庭裁判所の抜本的な人的・物的体制の整備が必要不可欠だと思います。裁判官はもちろん、調査官、調停委員などについても増員が必要でしょうが、法務省と最高裁は、今年度も含めて、裁判官以外の裁判所職員の定員増加にブロックをかけているんです。
で、その一方で、今回の改正によって、離婚をめぐる事件が今よりさらに複雑かつ困難になることが想定され、とりわけ当事者対応は困難を極めることが予想されております。 今回の改正の影響を最も受ける職種の1つである調査官などは極めて専門性が高く、そして増員することはすぐにはできることではありません。
今回の改正に対応するために、最高裁は、いつまでにそれぞれの職種をどの程度増員し、またどのように家裁のインフラを強化するのか、そのご本心をお聞かせいただければと思います。

最高裁事務総局総務局長
本法案が成立いたしまして施行ということになりますと、裁判所に期待される役割がこれまで以上に大きくなります。また、新たな裁判手続き等の創設に伴い、家庭裁判所に申し立てられる事件数の増加が見込まれることは、裁判所としても認識しているところでございます。
裁判所といたしましては、裁判所に期待される役割をしっかりと果たしていくためにも、新たに創設される裁判手続等を含め、改正法の各規定の趣旨・内容を踏まえた適切な審理が着実に行われるよう、裁判所全体として適切な審理運用のあり方を検討していくことが重要であると考えており、こうした適切な審理運用のあり方に見合った体制の整備に努めていく必要があると考えているところでございます。
体制整備の詳細につきまして、現段階において確たることを申し上げることは困難でございますが、裁判所といたしましては、このような検討をしっかりと行った上で、本法案の施行に向けて、必要な人的・物的体制の整備に努め、家庭裁判所の事件処理能力の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。

牧山議員
新しい制度、予算成立前だから、そのために必要な準備や計画について回答できないといった趣旨のコメントに聞こえるんですけれども、実際に今回にしてもですね、改正事項に基づいたプランは未作成とのことのようなので、本当に急ピッチでしっかりしたプランを立てて、ぜひ体制をしっかりと整えていただきたいと思います。
行政府は、主権者である国民から政府についての信任を得るために、政策や制度を国民の代表者としての国会に提案します。その場合には、政府や制度を実施するのに必要な費用や対応人員、それから必要装備などについて、ある程度の規模感を伴ったプランニングが、政府提案の妥当性を評価する際に判断要素として必要なのではないでしょうか。
この点について、大臣のご所見を伺いたいと思います。

小泉法務大臣
今年度の話として申し上げれば、今年度予算の要求をする段階でこの法案はまだ形が見えておりませんでした。国会にも当然提出されていませんでした。 しかし、今国会で取り上げていただき、こうしてご審議をいただいている以上は、 これは2年後の施行になると思いますけども、成立した場合には。まあ、最高裁ともよく意思疎通をして、そしてしっかりと予算要求できるように、その規模感も含めて、内容も含めて、細部も含めて検討していきたいというふうに思っています。
行政権と司法権に跨がる案件でございますので、法務省だけで処理できるわけでは到底ありませんけども、最高裁に様々なお願いをする以上、我々もそれを支える、協力する大きな責務があるということは自覚しておりますので、しっかりと取り組みたいと思いますし、この法案が成立すること自体が大きな後押しになります。
財政当局に対して、ぜひ委員の先生方にもご協力を、強力なご協力をいただきたいとお願いしたい。

牧山議員
では、2年後、すなわち2026年に予定されている改正民法の施行までに、裁判所としての対応、準備は間に合うと最高裁はお考えでしょうか。間に合うというのは、しっかりですね、問題が起きないようにするということなんですけれども、いろんな意味で。その準備には間に合うというお考えでしょうか。

最高裁事務総局総務局長
裁判所といたしましては、本法案が成立した場合におきましては、定められた施行期日に向けて、改正法の各規定の趣旨・内容の的確な周知や研修の実施等を含め、必要な準備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

牧山議員
専門性の養成ということに鑑みましても、非常に多くの時間がかかります。 そしてまた、先ほどの質疑からもお分かりのように、現在の法務省も最高裁も、今回の法改正についてどの程度の準備が必要かという全体像も、そしてそれを前提とした現在の状況も、いずれも教えていただけませんでした。把握してないように聞こえました。それでなぜ間に合わないとは思っていないと言えるのか不思議です。しっかりと答えていただきたかったんですが、もう1度お願いします。

最高裁事務総局総務局長
最高裁といたしましては、改正法の趣旨に沿った適切な運用を確保するために、 例えば、改正法施行後の運用に関する大規模庁での集中的な検討や全国規模の検討会の機会を設けるなどして、各裁判所における施行に向けた準備・検討が適切に図られるよう、必要な情報提供やサポートを行ってまいりたいと考えているところでございます。
合わせて、裁判手続きの利便性の向上や事件処理能力の一層の改善・向上に努めることも重要であり、期日間隔等の短縮化に向けた取り組みやWEB会議の活用の拡充などを含む各家庭裁判所における調停運営改善の取り組みを支援するほか、調停委員の研修体系の見直しを図っていくこととしております。このような運用面の取り組みを進めながら、適切な審理運用のあり方に見合った人的・物的体制の準備もしっかりと進めていくことで、施行期日までに必要な体制整備ができるものと考えております。

牧山議員
続きまして、家庭裁判所の審理期間の短縮の必要性についてお伺いしたいと思います。
改正法の施行後、重要事項ないし特定事項の決定につき親権の共同行使の合意ができない場合、すなわち両親権者間で親権行使の判断が割れる場合、その判断は家裁の審判に委ねられることになっています。重要事項の判断を委ねられた家庭裁判所は、どういう判断、どういった判断基準で審判を行うのでしょうか。
先日の委員会で古庄議員も発言していらっしゃいましたけれども、 例えば子どもの進路なんて、何が正解かなんて裁判官だからわかるっていうわけではないと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。

小泉法務大臣
いや、ちょっとその実務の詳細まで私もコメントできませんが、 公平な、そして子どもの幸せというものに大きく焦点を置いた判断を、冷静に公平にしてくださる、そういう期待を我々は持って裁判所に判断をしていただこうという法制になってるわけでございます。

牧山議員
重要事項決定権の共同行使は、必ずしも子どもの利益に適うとは言えないと思うんですね。離婚後の父母に協力関係がないと、実際には子についての意思決定がスムーズにできなくなるからです。
過去の国会の答弁でも、安倍晋三首相や山下隆法務大臣はこの点を強く言っておられました。決定内容の適切さも然ることながら、こういった重要事項の決定に関わる審判は短期間で行われる必要があります。
たとえ家庭裁判所が正しい判断を行ったとしても、その判断が必要なタイミングに間に合わなければ、子どもの最善の利益に適う制度とは言えないのではないでしょうか。法務大臣のご認識を伺います。

小泉法務大臣
ご指摘の通り、子どもの利益を確保するためには、家庭裁判所においてスピード感を持った審理が必要な場合がある、当然考えられることであり、各裁判所において、そのような事情も踏まえて、適切な運営がされるものと理解をしております。
この法案が成立した際には、裁判所において適切な審議が行われるよう対応されるものと承知しており、法務省としても国会審議の中で明らかになった解釈等について裁判所と適切に共有すること、これ繰り返し申し上げておりますけども、共有することを含めて裁判所の取り組みをサポートしたい、協力したいと思っております。

牧山議員
しかしですね、現在の子の監護者指定事件の調停・審判の手続きを通じた平均審理期間は約9.1か月となっております。
特定事項の審判は新しい制度ですので、あくまで参考としての数値となりますけれども、例えば私立ですとか、あるいは転居の決定に9か月以上かかっていたら、下手するとその病人は命さえ失われてしまうかもしれません。
進学などにも当然9ヶ月も経ってしまえば悪影響が出てしまってもおかしくないわけです。印象値ではありますけれども、実社会の要請に到底応じられる審理期間とは言えないと思うんですね。
これ、本当に大問題になる、今後もっともっと大問題になると思うんです。
共同親権の導入に伴って、具体的な親権行使の審判だけではなく、親権者を定める審判、親権変更の審理、面会交流の審判もまた増加が見込まれるばかりです。そのいずれについても、子の意向を十分に確認し、家庭の状況を詳細に調査して丁寧に判断をする必要があります。
現在の家裁の審理機関の現状は、実社会の要請に応え、子どもの利益を確保し得るものと大臣は評価されますか。現在の家庭裁判所の業務の繁忙状況で審理期間の問題が生じないと、そのように言えるでしょうか。大臣、お答えください。

小泉法務大臣
ご指摘の審判手続きに要する時間、期間については、個別具体的な事案によって異なる上に、様々な要因が影響すると考えられます。そのため、現在の監護者指定事件の審理期間についての評価、これをお答えすることや、仮に本改正案が公布後2年待たずに直ちに施行される場合といった仮定の質問にお答えすることは困難であります。
しかしこのスピード感、おっしゃるように非常に重要なポイントであります。日々の生活がもう動いていますから、日々の営みというのは途切れませんので、その中で刻々子どもは成長します。そういう大事な時間を無駄にできない、ご家庭にとって本当に重要な問題だと思います。
そのことを我々もよく理解し、裁判所にも理解していただいて、財政当局にもお願いをし、できる限りスムースに結論が出せるような審理体制を目指して、本当に力を入れてしっかりと取り組んでいきたいと思います。

牧山議員
最高裁はいかがでしょうか。

最高裁事務総局家庭局長
家事事件の審理期間の長期化につきましてご批判があるということは最高裁としても承知しておりまして、各地の家庭裁判所でも、この審理期間の長期化については従前より問題意識を持っており、適正迅速な紛争の解決に向けて、期日の持ち方の工夫、評議等を通じた裁判官の効果的な関与などを含む調停運営改善の取り組みを進めてきておりまして、最高裁判所としてもそうした取り組みを後押ししてきているところでございます。
また、最高裁におきましては、先日、各家庭裁判所における調停運営改善の一層の取り組みを支援するため、家事調停の期日間隔の長期化の点に焦点を当て、その長期化要因の分析や、ありうる対策を提示するなどの情報提供を行っております。
これを踏まえて、今後、各地の家庭裁判所におきまして、それぞれの長期化要因に応じた実効的な対策を検討・実践していく取り組みが一層進展していくものと考えており、最高裁としても、こうした取り組みを後押ししたいと考えております。
加えて、この改正法案が成立すれば、特定の事項にかかる親権行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定める手続き等が新設されることとなり、親権行使の内容、時期その他の状況に応じて、スピード感を持った審理が必要になる場合があることも考えられ、法の趣旨を踏まえた審理のあり方を検討する必要があるものと認識しております。事務当局といたしましても、施行までの期間におけるこうした各庁の検討をしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。

牧山議員
努力目標の言葉を並べるのは非常に簡単だと思います。でも、今ですらこういう状況ですよ。 これからもっともっと家事事件増えていくわけです。こういった状況にあることを、本当に真剣に認識して、急ピッチに何とかしなきゃいけない問題だと思うんですね。
この課題について、最高裁は、適正迅速な紛争の解決に向けて取り組みを進めていると強調されておりますが、では、改正法の施行時に、どこまで迅速化進んでいれば、実社会の要請に応えて、そして子どもの利益を確保しうるものと評価することはできるんでしょうか。審理期間の短縮、迅速化の達成状況の目安を教えていただきたいと思います。
それがどこまで進めば改正法記載の制度設計が問題解決の実効性を持ちうるのか、ご判断をお伺いしたいと思います。大臣、お願いします。

小泉法務大臣
裁判所の体制については、裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえ、最高裁判所において適切に判断されるべきものであり、ご指摘の審理期間の短縮、迅速化の達成状況の目安について法務大臣としてお答えすることは困難であることをご理解いただきたいと思います。国会審議の中でこうした問題提起をいただき、様々なご議論をいただいていることを裁判所とはしっかりと共有をしていきたいと思います。協力もしたいと思います。

牧山議員
続きまして、木村参考人から指摘のあった論点ですが、法務省は、法案817条の12第2項に、父母の互いの人格尊重・協力義務が定めてられているから、 適時の決定を邪魔する共同親権の行使はできないと言い続けています。
では、この義務違反があった時、誰がどうやって、どのくらいの時間で是正するのでしょうか、大臣。

小泉法務大臣
本改正案では、父母相互の人格尊重義務や協力義務の規定を新設するとともに、親権は子の利益のために行使しなければならないことを定めております。そのため、離婚後の夫婦双方が親権者となった場合においても、父母の一方が単独の親権行使について他の方が不当な妨害行為をすることが許容されるものではなく、個別具体的な事情によっては、そのような行為が人格尊重義務や協力義務に違反すると評価されることがあり得ます。
このような本改正案の趣旨・内容が正しく理解されるよう、十分かつ適切な周知・広報に努めてまいりたいと思いますが、その上で、あくまで 一般論として申し上げますと、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、裁判所が行う親権者の指定、親権者の変更の審判等においてその違反の内容が考慮されることがありうると考えます。
裁判所がこれらの裁判をするのに要する期間については、個別具体の事案における当事者の主張や資料にもよるため、一概にお答えすることは困難であり ますが、子の利益の観点から適切な審議がなされるものと期待をしております。

牧山議員
時間となりましたので、また後ほど質問ささせていただきたいと思います。


以上
誤字脱字がありましたらすみません。

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