道下大樹議員(立憲)2024年4月9日衆議院法務委員会
本日の道下大樹議員の質疑を書き起こしました。
質疑の中で、立憲民主党が法案の修正要求した内容が明らかになりました。
道下議員
立憲民主党の道下大樹でございます。
私からもまず、今回の民法改正案の審議において、今、寺田委員がおっしゃいましたけども、離婚協議中もしくは離婚後の同居親、別居親、どちらか一方の立場に立って我々議論することは十分にあると思いますけども、どちらかを犯罪者扱いして議論する傾向が残念ながら散見されております。
私どもは、そういう認識は捨て去って審議しなければならないというふうに思います。本委員会全体で確認したいというふうに思います。
4月3日にですね、参考人質疑が行われました。
これについて、当時、その時は法務大臣いらっしゃらなかったんですけども、 どのようにご覧になったんでしょうか。リアルタイムで、院内放送なのか、後でご覧になったのか、議案書、速記録ですか、未定稿の速記録をご覧になったのか、それとも後で担当の職員の方からご報告があったのか。
小泉法務大臣
速記録をゆっくりと読ませていただきました。
道下議員
特にですね、速記録でしたら大体イメージはつくと思いますけども、私どもがお招きした斉藤参考人、追い立てやボイスチェンジャーを使用するという特別な措置を講じたことに感謝をおっしゃっていらっしゃいましたけども、そうした特別な措置を講じても、「元夫から居場所を突き止められることや SNS等での誹謗中傷、犯人探しの恐れがあり、この場に立つことはとても怖いです」と語られながらも、同じ状況にあるDV被害者の代表として意見陳述と質疑応答されたこの斉藤参考人についてどのように思われたでしょうか。
小泉法務大臣
身体的な暴力、精神的な暴力、あるいは性的暴力を含むDVによって、 本当に傷ついていらっしゃる、また様々な生命に対する不安もある、そういう厳しい状況であるにも関わらず、国会の場にお越しをいただいてご意見を述べていただいたこと、本当に勇気のある、大変敬意を表するべき行動であるというふうに思いました。また、お話しされてる内容も、そのDV被害の厳しさ、またそれによって傷つくことのその苦しみ、そういったものが直に伝わってくるのを感じました。
道下議員
そうした思いを受け止められた大臣であればご理解をいただけると思いますが、今日、私、資料配布させていただきました。我が党がこの民法等の一部を改正する法律案に対する修正項目案というものをご提示して、今与野党間で協議をさせていただいております。
この中には、斉藤参考人や、他の参考人、今回の民法改正案に賛成する立場の方も、また慎重、反対の方の立場の方もですね、それぞれおっしゃってるようなことも非常に網羅したものだと私どもは思ってます。
本則の修正としては、離婚後の父母双方が親権者となる場合における監護者の定めの義務付けや、離婚等の場合の親権者の定めに関する修正として、父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めないこと、 親権者変更の厳格化、意見聴取等により把握した父母及び子のそれぞれの意思の考慮の明記、それから親権の行使方法等に関する修正としては、共同親権が原則でないことの明確化、それから共同親権行使の例外の拡大。ここにはですね、例えば、今「急迫の事情」ということは対象としては非常に狭められてしまうんではないかということなので、必要かつ相当である場合というふうに文言を修正すべきではないかというもの。 それから、不足に関してはですね、今、交付の日から起算して2年というものを、5年を超えない範囲において政令で定める日とかいうことを書いてますし、家庭裁判所の人的体制の整備、親権者の定めの規定の趣旨及び内容の周知、配偶者からの暴力にかかる加害者の更生のための措置、それから協議による親権者の定めの信意性の確認措置等についての検討を我々としては修正項目として出させていただきます。これ、事前の通告はないんですけども、これ事前にご覧になりましたでしょうか。どのようなご意見お持ちでしょうか。
小泉法務大臣
全く拝見しておりません。国会で検討されるべき事項だと思います。
道下議員
ぜひですね、もしお時間ありましたらご覧いただいて、多くの参考人や我々の議論、そして国民の多くの意見が含まれているものだというふうにご理解をいただきたいというふうに思ってます。
この修正項目案についてですね。我々としては、特にアメリカの心理学者であり、離婚が子どもや当事者に与える影響について長年研究された本当に大きな権威でいらっしゃいます、ジュディス・ウォラースタイン博士、この方の考え方も盛り込まさせていただいてるんですが、この博士は、離婚後も父母が協調、協力して子と継続して交流を続けることができれば、離婚は必ずしも子の生育にとって悪影響を生じさせるものではないという研究発表※をしたことについて、大臣はご存じでしょうか。また、その見解を伺いたいと思います。
※ジュディス・ウォラースタイン「それでも僕らは生きていく: 離婚・親の愛を失った25年間の軌跡」
小泉法務大臣
このご指摘のウォラースタイン博士の研究発表があることは承知しておりますけども、ご指摘の研究内容についての詳細は存じ上げません。
道下議員
このウォラースタイン博士の研究結果を出された後ですね、欧米は、その研究結果を受けて、父母で面会交流の実施などにおいて、均一的、平等的な共同養育を積極的に推進する法改正を実施してきたのですけども、実は、それによって、 子と同居親の生命身体に深刻な事態を生じさせることが実際多発したわけであります。葛藤的なコペアレンティングは子と同居親に悪影響を与えたということはご存じでしょうか。また、その見解を伺いたいと思います。
小泉法務大臣
ご指摘の欧米諸国の法改正の経緯については、詳細は存じ上げておりません。最も、法制審の家族法制部会の調査審議においては、心理心理学分野の先行研究に関する報告がなされたほか、児童精神科医からのヒアリングも実施されたと伺っております。
その中で、離婚後の父母の葛藤が高い関係性、葛藤的コペアレンティングは子どもの環境への適用を直接低下させることが知られており、これをいかに協力的な関係性に転換していくかが重要であるということが指摘されたと承知をしております。
道下議員
今、大臣からの答弁で、あの海外の法改正については承知していないという答弁はちょっとびっくりしました。ある程度ご理解なさってるのかなというふうに思ったんですけども、 詳細はご存じないということで。はい、大体はご存じだということですね。はい、わかりました。
で、そのウォラースタイン博士が この研究結果で最も訴えたかったのは、裁判所の命令のもとで厳密なスケジュールに従って行われる親と子の交流などについては、子の成長に有益どころか有害であるということなんですね。
子どもの心身に取り返しのつかないような事態を生じさせることになるというふうに、この研究結果の発表の後段でそういったことを訴えてるわけです。そういった、そういった点があることはご存じでいらっしゃいますでしょうか。また、その見解について伺いたいと思います。
小泉法務大臣
法制審の家族法制部会では、ご指摘の研究結果についてのご指摘の点が同部会の委員から紹介されたほか、児童精神科医のヒアリングにおいても、親子交流の実施が子に悪影響を与える場合もあることが指摘されたと承知しております。
道下議員
そういう法制審家族法制部会等での議論もご承知ということであれば、なおさらこうしたことはご理解いただけると思いますけども、民法改正で共同親権が導入された場合、子どもと父母双方が柔軟に受け入れて、協力強調して面会交流等が行われることは私は良いと思いますけれども、ウォラースタイン博士が警鐘を鳴らしたような、共同親権を理由に厳密なスケジュールに従って強制的に行われる親と子の交流などが実施されることにより、子と同居親の生命、身体に深刻な事態が発生し得る可能性が増える恐れがあるのではないかというふうに、非常に多くの皆様が不安に、また恐れを持っていらっしゃいます。そんな深刻な事態は発生しないというふうに言い切れますでしょうか。ぜひ言い切っていただきたいと、そのための様々な法制度や今後の様々な対応をしていくというふうにおっしゃっていただきたいと思います。
小泉法務大臣
離婚後の親権者、これをどのように定めるかという問題と、親子交流の頻度や方法をどのように定めるかっていう問題は別のものとして基本的には捉える必要があると思います。
その上で、親子交流の頻度や方法は、子の利益を最も優先して定めなければならないとされており、この点は本改正案による改正後も変わらない。こうした本改正案の趣旨が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと思います。
道下議員
これは国民に対する周知、広報もそうですけども、やっぱり家庭裁判所の裁判官や調停委員、また調査官という皆様でもですね、そうした点はしっかりと認識をしていただかなければならないというふうに思います。
前回の参考人招致の時に、この家裁における調停または調査官から、本当にそういうDV被害を説明しても、とにかくこの親子交流をするのが当たり前なんだというような認識をずっと持っていらっしゃる調査官だとか調停委員、参考人の質疑でそういった方がいらっしゃるということを発言されたわけでありますので、やっぱりそういった点は今大臣がおっしゃったようなことがしっかりと家裁の関係者の方々にまで行き渡るように、浸透するように、最高裁判所とも連携して取り組んでいただきたいというふうに思っております。
次に、親権の行使方法等について伺いたいと思います。まず、ちょっと大きな話なんですけども、政府参考人に伺いたいと思います。
離婚後共同親権の一方の親が、自治体の行政手続きで、民法改正案第824条の2、3項、「子の利益のため急迫の事情がある時」の急迫であるとして手続き申請した場合、自治体は急迫をどのような基準で判断し、手続きの受理、不受理を決めるのか、法務省はその基準を設定していますか。伺いたいと思います。
法務省民事局長
地方自治体における行政手続に関しまして、子の親権者や保護者が行うべき行為につきましては、第一次的には当該行政手続の根拠となる法令を所管する各府省庁において検討されるべき事項ではありますが、当然のことながら、法務省といたしましては、この法案提出に至るまでの間に関係府省庁等と検討を行ってきたところでございまして、その際には、法律関係が類似する婚姻中別居の場合の各法令における取り扱いを参考にして、離婚後共同親権を導入した場合にどのような取り扱いがされることになるかについて検討してもらうよう協議を重ねてきたところでございます。
そのうえで、親権者が行う行政手続きを検討する上でも、親権の行使方法に関する民法の規定の解釈を明らかにすることは有益であると考えておりまして、例えば、お尋ねのあった急迫の事情につきましては、父母の協議や家庭裁判所の手続きを経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害する恐れがあるような場合を指すというふうにされております。今後も、本改正の趣旨が正しく理解され、離婚された方々が各種手続きにおいて困惑することのないよう、関係府省庁と連携して、地方自治体の現場などに対し、適切かつ十分な処置をするよう努めてまいりたいと考えております。
道下議員
今、政府参考人が急迫における説明をしていただきましたけども、かと言ってやっぱりですね、色々様々な具体例を挙げなければ、なかなか現場で対応する方々が分からないというふうに思います。
ちょっと順番を入れ替えまして、今日、中野政務官にも答弁に立っていただきます。どうもありがとうございます。
それで、子の居所、進学、手術などについて、急迫の事情があるときの単独親権の行使は、今後、法務省として限定列挙する予定なのか、それとも例示にとどまるのか、伺いたいと思います。
中野法務大臣政務官
本改正案では、父母双方が親権者である場合には、親権は父母が共同して行うこととした上で、子の利益のため、急迫の事情があるときは、親権を単独で行使することができることとしております。
「子の利益のための急迫の事情がある時」とは、父母の協議や家庭裁判所の手続きを経ていてはて適時親権を行使することができず、その結果として子の利益を害する恐れがある場合のことを言わせていただいております。
急迫の事情に該当する例としましては、これまで国会の審議の中で、入学手続きのように一定の期限に親権を行うことが必要な場合や、DVや虐待からの避難が必要であるような場合、 緊急の医療行為を受けることが必要な場合があることを説明してきたところでありますけれども、いずれも例示であり、急迫の事情が認められる場合は、これからさらにこれらに限定されるものではございません。
今後も、この法案が成立した後にも、その趣旨を正しく理解されるよう、関係省庁とも連携をして、適切かつ十分に周知を進めてまいりたいと存じます。
道下議員
私の問に対する答えということは、例示ということだというふうに思います。 この例示に関しても、これは 特にDV被害者の方も含めてなんですけども、本当に離婚している父母の方々、全体的にですね、こういった場合はどうなるのかっていうのが、非常にまだまだ分からないところがたくさん出ています。
今、質疑、答弁で少しずつ、例えばワクチンはとか、または海外への修学旅行だとか、いろんな場合分けでですね、答弁が色々返ってきてますが、ただですね、これもう1つ、その当事者のみならず、自治体や病院や学校現場でこういった時どうするのかっていうのは、もう今回、単独親権のみならずだったものが単独親権と共同親権という2つができるわけであって、それで非常に複雑化していくわけですね。そうした中で、現場が今もどうなるんだろうということで不安に思い、そして早くガイドラインという何か色々なものを提示してもらいたいと、設定してほしいというような声を受けております。
そこで、今日、総務省政府参考人にお越しいただきました。どうもありがとうございます。そこでですね、離婚後共同親権を持つ同居親と子が転居する際、転出元と転入先の自治体は別居親の同意の有無を確認しなければならないのか、確認は不要なのか、伺いたいと思います。
総務省大臣官房審議官
住民基本台帳制度におきましては、住所は、客観的居住の事実を基礎とし、 これに当該居住者の主観的意思を総合して決定することとされています。
その上で、住所に関する市町村長への転入または転居届は、転入または転居した日から14日以内、転出届は、転出することが確定した後その住所を去るまでの間にその事実を届け出る取り扱いとされております。
未成年者にかかる届け出につきましては、転入、転出などの事実や、現に届け出を行っているものの代理権等を確認し、転入、転出等の処理を行っておりまして、 共同親権者である父母双方の同意は求めておりません。
今回の民法改正後における転入、転出等の届け出につきましても、現行の共同親権である婚姻中における取り扱いと同様と考えておりまして、基本的には現行の事務の取り扱いを変更することは想定していないところでございます。
道下議員
今のご答弁で考えますと、どちらか一方の親が子どもと転居をした、その届け出をした、それを受理した。その一方で、別居親は、その話は聞いてないと言って、それで自治体を訴えるということはないと、訴えられてもそれは自治体側には非はないということでよろしいですね。
総務省大臣官房審議官
先ほど申し上げました通り、住民基本台帳制度におきましては、住所は、客観的居住の事実を基礎として、これに居住者の主観的意思を総合して決定することされております。
未成年者にかかる届けにつきましても、転入、転出の事実と、それから現に届け出を行っているものの代理権等を確認し、転入、転出等の処理を行っているところでございまして、共同親権者である父母双方の同意は求めておらないところでございます。今回の改正後におきましても、この取り扱いについて、基本的には現行の取り扱いを変更することは想定しないというところでございます。
道下議員
別居親がどうやったんですかとか、そういう確認はしないということであり、別居親からなぜ受理したのかと訴えられても、それは総務省というか法務省というか国として、そういう受理をした自治体は非はないと、改めてちょっと明確に答えていただきたいんですけども、これ総務省では無理でしょうかね、
総務省大臣官房審議官
先ほど来申しました通り、住民基本台帳制度におきましては、住所は客観的居住の事実を基礎として、これに居住者の主観的意思を総合して決定すると いうふうにされております。従いまして、今回の民法の改正後におきましても、この届け出につきまして、客観的居住の事実とそれから届け出者の代理権等の確認をした上で届け出を取り扱うと いうことを想定しておりまして、現行の取り扱いについては変更するということは想定しないということでございます。
道下議員
ちょっと明確な答弁がないので、これ改めてですね、総務省と法務省でこの 事実確認等含めて、法制度上の整理をしていただきたいと。今度、後日また伺いたいと思います。
時間が参りましたけども、婚姻中もしくは離婚後共同親権に合意した場合のDV避難の行政手続きについて、DV避難してきた場合、住民登録の移動は制限なく、本人、これは子どもを連れたDV被害を受けた一方の親の主張で可能だということは先ほどの答弁の通りですね。よろしいですね。
総務省大臣官房審議官
先ほどから答弁しております通り、この届けにつきまして、共同親権者である父母双方の同意は求めてないというとこでございます。
道下議員
はい、ありがとうございます。 で、もう1つ、総務省参考人に伺いたいと思います。民法改正案が成立、施行された場合、自治体が行政事務において、離婚後共同親権を持つ父母双方の同意を得る必要、義務が発生した場合、条例や規則等の改正が必要になる可能性はあるのでしょうか、伺いたいと思います。
総務省大臣官房審議官
総務省は、自治体が行う行政事務全般については所管しておりませんので、行政事務全般についてお答えすることはできないところでございますけども、 住所の居住関係の交渉など住民に関する事務処理の基礎となる住民基本台帳事務に関して申し上げますと、先ほどお答えしました通り、今回の民法改正後におきましても、転入、転出等の事務の取り扱いについて、基本的にはこれまでの取り扱いを変更することは想定しないところでございまして、 現時点では住民基本台帳関係事務において各自治体が条例や規則等の改正を行うことは想定しないところでございます。
道下議員
はい、ありがとうございます。ただ、全般は承知してないということでありますので、もしかしたら条例や規則の改正等が起こる、そうするとまた時間かかって様々な議会での改正などをやらなきゃいけない。
これ、非常に時間がかかると思います。そういうことを考えると、私は、この公布後2年以内に施行するというのはあまりにも拙速ではないかというふうに意見を申し上げまして、質問終わります。ありがとうございました。
以上
誤字脱字がありましたらすみません。