大椿ゆうこ議員(立憲)質疑 2024年5月14日参議院厚生労働委員会
本日の厚労委員会で、大椿議員が共同親権に触れてくださったので文字起こししました。
※大椿議員は社民党副党首ですが、立憲民主党と会派を組んでいることから、会派名でご紹介いたします。
大椿議員
もう一つ質問がありますので次に行きますけれども、この会計年度認用職員に関わって、今法務委員会の方で審議されている共同親権について質問させていただきます。
衆議院通過後、共同親権について取り上げるメディアも増えましたけれども、今本当に人々も関心を持ち始めています。とりわけ、共同親権導入に反対されている方々から、様々お話を聞かせていただく機会がありました。
夫からDVを受け、何とか離婚が成立し、現在は子どもとともに安心した暮らしを手に入れられることができている女性やそのお子さん、現在も係争中の方、そういった方々を支援してこられた行政の職員や民間の支援団体の方から、この法案の問題点や不安のお気持ちを色々と聞かせていただきました。
DV被害者の支援に関しては、女性支援事業を担う厚生労働省も無関係ではありませんので、厚生労働省の管轄である女性相談支援センターも大きな役割を担っています。そういった現場から懸念の声が上がっていますので、それに基づいて質問させていただきたいと思います。
DVは必ずしも男性から女性だけに行われるものではありませんが、多くの場合の被害者はやはり女性です。本日はその女性支援の観点から質問をさせていただきます。
まず、この4月1日から困難女性支援法が施行されましたけれども、この法律に基づく支援制度の整備と現状について全国の進捗状況を簡潔に教えてください。
厚生労働省社会援護局長
本年4月より施行されました女性支援新法におきましては、新たに各都道府県において基本計画を策定することとされまして、この計画に基づいて施策に取り組んでいくことになっています。
この各都道府県が定めた基本計画においては、例えば困難な女性を抱える女性の早期把握の観点からアウトリーチの実施やSNSの活用であるとか、あるいは相談体制の充実として女性相談支援員の市町村における配置の促進や支出の向上、あるいは女性相談支援センターの体制強化などに取り組んでいく旨が盛り込まれております。
国としては、引き続き地方公共団体の取組を支援すべく、必要な助言を行うとともに、研修の実施等に努めてまいります。
また女性相談支援員は、困難な問題を抱える女性にとって最初の窓口として相談に応じるなど、女性支援における重要な担い手でございますが、令和5年4月1日現在1,595人の女性相談支援員が配置されており、うち非常勤職員は1,315人、約82.4%となっております。
大椿議員
はい、次に質問しようと思う部分まで答えてくださいましたけれども、圧倒的に8割強が、やっぱりこの困難を抱えた女性たちの相談にあたっている職員の8割方が女性であり非正規、という実態が明らかになってきているわけです。
さっきの話に通じる部分ではありますけれども、そういった現場からですね、困難女性支援法第9条3項2号には、女性相談支援センターが困難な問題を抱える女性の緊急時における安全の確保及び一時保護を行うことを定めています。
例えばある夫婦が離婚は成立したものの、夫のDVが認定されず、共同親権となったとします。母と子は夫からの暴力を恐れ、女性支援センターに保護を求めました。それを受け、センター側は緊急措置をとったとします。
夫は親権者である自分の合意を取ることもなく、子どもの居所を変更したことなどが親権の侵害に当たるとしてセンターを訴える可能性があるんじゃないか、という懸念が現場にはあるんですね。
支援現場は委縮し、緊急措置が必要である人でもかかわらず躊躇してしまうのではないかということが考えられます。
民法改定案においては、子の利益のため急迫の事情があるときに該当すれば子の居所の変更等を一方の親権者が単独で行うことができるとされているが、急迫の事情の有無が訴訟で争われ、それがないと判断された場合、センターが行った緊急時の措置まで不当なものとして扱われないかと、現場ではそういったケースを想定して不安になっているということなんです。
センターが相談を受けた時点における事態の緊急性を認めた場合、親権の単独行使が可能な急迫の事情があるかないかにかかわらず、困難女性支援法に沿って緊急時の措置を取るべきことが必要であると考えますが、その認識で差し支えありませんでしょうか。
厚生労働省社会援護局長
民法の所管省庁であります法務省より、DV被害を受けている場合には、今般の民法改正案に規定されております、子の利益のため急迫な事情があるときに該当する旨が示されておりまして、また、急迫な事情があると認められるのは暴力等の直後のみに限られないと考えているとの見解も示されています。
このため、女性相談支援センターにおきましては、DV被害者の立場に立って相談に応じ、その相談内容に基づきDVから保護することが必要であると判断した場合には、子の利益のため急迫な事情があるときに該当するものとしてためらうことなく必要な支援を行う必要があると考えております。
厚生労働省においては、こうした考え方について女性相談支援センターとの関係機関に対し、研修会等を通じて周知を行い、引き続きDV被害者への支援が適切に行われるよう努めてまいります。
大椿議員
大臣に改めて確認したいんですけれども、DV被害者の支援に携わっている方々からは、先ほどのような不安の声が出ています。
保護すべき緊急性のある女性や子どもは躊躇せず、あまねく保護をしたい。
これが支援に携わっている方々の思いだと思うんですね。
相談員の皆さんが安心して職務を全うできる環境を整えるために、大臣どのようになさいますか。
武見厚生労働大臣
今事務方からも答えましたけれども、厚労省として関係省庁としっかり連携しながら、この改正案の趣旨を女性相談支援センター等に周知をして、DV被害を受けておられる方などへの必要な支援が普通に行われるように努めたいと考えます。
その上で、この女性支援新法等において、女性相談支援センターというのが、DV被害など困難な問題を抱える方の立場に立って相談に応じるとともに、困難な問題を抱える方及びその同伴する家族の緊急時の安全の確保及び一時保護などを行うこととされておりまして、相談内容から支援が必要と判断したい場合には、ためらうことなくこの一時保護等の必要な支援を提供していく必要があると考えます。
大椿議員
現場の方々、不安な声が上がっていますから、そういう人たちの不安をどうしていくのか、やっぱり運用方法がきちんと定められていない中でこの採決だけ進められようとしているということがやっぱり大きな問題ではないかなと思います。
最後にですね、昨年9月1日、日本産婦人科学会・日本法医学会・日本法医病理学会・日本小児学会4団体の連名で、前の齋藤法務大臣に対して、家族法制の見直しに関する中間試案への要望を提出されたと思います。
要望書は民法改定の趣旨・理念は理解するとしながら、両方の親権者の同意を得る必要があれば生命・身体の保護に必要な医療を実施することが不可能あるいは遅れることを懸念しているとし、共同親権導入に当たっては適宜医療者の意見を聴取し、上記のような懸念にも対応できる仕組みを検討するようにと求めています。
宛先は法務大臣でしたが、共同親権導入は医療現場にも大きな混乱・負担をもたらすことが十分に考えられます。厚労大臣として、このような現場の声をどう受け止めていらっしゃるでしょうか。
武見厚生労働大臣
この医療現場での適切な医療が提供される必要性がございます。
仮に民法の改正法案が成立した場合には、委員ご指摘のような懸念が生じないように、制度趣旨の周知、これらをしっかりと図っていくことが重要だと認識しています。
大椿議員
また、この件については質問をさせていただきます。
これで質問を終わります、ありがとうございます。
以上
誤字脱字がありましたらすみません。