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古庄玄知議員(自民)質疑 2024年5月9日参議院法務委員会

古庄議員
自民党の古庄です。大臣がいらっしゃらないということで、基本的に民事局長の方にお伺いしたいと思います。
今回の民法の改正に関しましては、色々改正点は多岐にわたると思うんですけれども、一番争点になってるのが離婚後共同親権を導入することの是非ということだろうというふうに思っております。
私、離婚当事者が合意する場合、これまで共同親権にしてはならないということは行き過ぎではないかなと考えておりますが、各委員の方々からご指摘がありました、合意がない場合に裁判所が共同親権というふうに認める場合もあるという点の法務省のご説明ですけれども、ちょっと私、この点についても何点か問題性があるんではないかというふうに考えておりますので、ちょっとその点について、今回の法案の条文等を照らしながら、まず自分の意見を言わしてもらいたいんですが。
まず今回の法案、子どもの利益という極めて抽象的かつ曖昧な概念を多用しています。私が数えただけで、今回改正法案、14回、子どもの利益という言葉が出てくるんですね。
子どもの利益っていうのは非常に耳障りのいい美しい言葉だけど、じゃあ一体何が子どもの利益なのか、そこにはやっぱり判断する人間のその価値観、 主観というものが大きく介在してくるのではなかろうかというふうに思います。判決を書くのが裁判官でしょうから、裁判官からしてみると、一定の事実認定をして、かくかくしかじかでこれが子どもの利益なんだよというふうに言えば判決は書きやすいと思うんですけれども、果たしてそれが子どもの利益と言えるかどうか。
その意味では、川合委員が何度も指摘していましたように、子どもの利益って一体何なのと、ある程度の客観的な目安というか基準というか、これがないと非常に分かりにくいと思います。
これが例えば刑法の条文であれば、例えば子どもの利益を犯したものは懲役10年に処すみたいな判決になれば、明らかに罪刑法定主義違反で、憲法違反の条文ということになろうかと思います。
今回は民事なのでそこまでは厳しく言わなくてもいいかもわかりませんけれども、ある一定のその価値基準というか、基準を示してもらわないと、判断者が判断に困るんではなかろうかということで、こういう曖昧な文言を条文の中で対応するということは条文の作り方としていかがなものかなというのが第一点。
第二点が、この離婚後単独親権、77年間変わってこなかったと。それが今回77年年目にしてこれを変えようとしているわけですから、これは大きな転換になるわけですね。
であるんであれば、それ相応の具体的な根拠がなければならないんじゃないかと。立法事実と言いますかね。
今までの 大臣のご答弁や局長の答弁を聞いてても、あまりそこに具体性が認められないと。こういう例もあるからと言うんだけど、それが一体何件ぐらいあって、どれくらいあるのかわからない、そういうふうなことで立法事実としていいんだろうかと。
確かに共同親権、2人から生まれた子どもなので2人で育てるというのはこれは理想だと思いますけれども、現実にはそうはいかないのが常なので。だからこれを変えるんであれば、きちんとした具体的な立法事実、それ相応の根拠が必要だろうというふうに思います。これが二点目。
で、三点目。 裁判所に下駄を預けすぎじゃないかなというふうに思います。わからん時は裁判所に決めてもらえっていうのがこの法案の骨子みたいですけれども、それほど裁判所が信用に値する存在だと私は思っておりません
とともに裁判所っていうのは国民から見たら非常に遠い存在で、近寄り難い存在だと思います。あたかも富士山と同じように、遠くから見れば綺麗だけれども、近くに行くまで遠いし、登るのが高い。もう途中でみんな富士山がおるのやめてしまいます。それと同じ存在が裁判所じゃないかなというふうに私は思っております。
もうちょっと具体的に言いますと、まず問題があった場合、その一般の人はどうするかというと、まず自分一人ではわからないので、誰かに「弁護士知らんですかね」というふうに聞きます。あまり弁護士と親しい人というのはそんなにおりません。だけど、運良くどこかの法律事務所にたどり着いたと。「実は、こうこうこういう案件があるんだけど、なんとかなりませんか」という時に、その相談者の方が聞くのは、まず第一、私は勝てますかというのを聞きます。次に、時間はどのくらいかかりますかと。その時間、どれくらいかかりますかと聞いた時に、多分2年ですかね、3年ですかねという答えをしたら、そんなにかかるんですかと。今度、じゃあお金はどれくらいかかるんですかと聞かれて、これくらいですかね と言ったら、そんなにかかるの。私月収10万ちょっとのパートしかやってないんだけど、そんなに払えないわよと言ってもう法律事務所に来なくなる、そういう人がかなり、大半いるんですね。
だから、裁判所までたどり着く人というのは極めて少ない。なるべく裁判所に行かなくてもいいような解決がいいのではないかと。 そういうことを様々考えますと、総合的に考えると、今回の法案は、メリットとデメリットを比較した時に、メリットよりもデメリットの方が多いんじゃなかろうかと、そういうデメリットが多い法案を作って果たしていいんだろうかというのが私自身素朴な感情であります。
あんまり抽象的な話ばっかして分かりにくいと思うので、何十件か何百件かわかりませんけど、やった事件の中で私が記憶に残ってる案件をちょっと紹介させてください。現実はこういう感じなんです。

資料1、Aさんの場合。2002年に結婚、2003年に長女出産、2年後に次女出産、2005年頃夫婦仲が悪化したので、夫の用意した離婚届に署名し、家を飛び出しました。子どもを置いたまま自分1人で飛び出して、そのうち帰ってくるというつもりだったみたいですね。
ところが、その離婚届には、親権者の欄に父親ということが書かれていましたと。その飛び出した時は、早く離婚したいということで名前だけ書いて飛び出しましたと。内容をよく見ていなかったと。
家を出ている間に、夫は仕事がありますので、和歌山の実家から夫の母親が来て、子ども2人を連れて、あんた大変でしょうから私が連れて帰るわと言って、和歌山に子ども2人を連れて帰ったということです。で、その後その妻の方が面会交流の申し立てをして認められました。しかし、夫は会わせてくれません。 その後、夫は和歌山に戻りました。そこで妻の方が親権者変更の申し立てをしましたけれども、 離婚届で父が親権者になることを認めているじゃないかという裁判所の理由で負けました。その後、申し立て人は宮崎に、申し立て人はこの女性の方ですね、宮崎に帰ったので、宮崎の法テラスに依頼しました。若い女性弁護士が担当しました。間接強制という、履行しなければお金払えっていう制度があるんですけど、それがあるんだけれども、その女性弁護士は、相手が会わせてくれないならもうこれ以上は無理よというふうに言われて、それで会うことを諦めました。その後、別れた夫は再婚し、新しい妻との間に子どもができました。 再婚相手に2人の子どもに対する愛情は感じられませんでした。そこで、次女が小学生の頃、お母さんに会いたいというふうに連絡があったんですけれども、会いませんでした。で、2016年に親権者変更の調停を起こそうとしたんですけれども、その時、元旦那さんの方は東京に住んでたみたいですが、子どもさんが東京にいたいというので、調停を取り下げました。もう子どもさんもかなり今大きくなってるので、instagramかなんかで子どもさんを探して、現在は連絡は取れていると、だけど再婚はしていないと、そういう状況です。で、この人に 連絡を取って、その後どうなったのっていうふうに私聞いたら、今、国会の方で離婚後の親権の問題が論じられているんだけど、どう思うのって聞きました。
そしたら、この人は、「離婚後共同親権になれば子どもと自由に会えるので共同親権がいい」と。いいと言ってるんですね。「面会交流を強制できるとは知らなかった。養育料は払ったことがない、取り決めもしていない。子どもの親権がないし、会えないのに払う必要はないのではなかろうか。 相手の方から請求もされていない。国会で離婚後共同親権が争いとなっていることは聞いたことがある。 共同親権になれば子どもに自由に会えるし、養育費も払わなければならないと思っていた。」こういうふうに私に答えたんですね。これに対する評価はまた後で 言わしてもらいます。

今度、その次のBさん。これ、2000年に妻が子ども、女の子2歳を連れて佐賀の実家に戻りました。 Bさんは子どもに会わせてくれと言って妻の実家へ行きました。で、子どもを抱っこするやいなや車に乗り込み、自分の実家に帰ってきましたと。以後、妻や妻側の人間を全く寄せ付けておりません。その後、妻が子ども引き渡しの仮処分を申請しました。裁判所はそれを認めました。しかし、Bさんは渡しません。今度裁判所が、執行官が何度も説得に行くんですが、Bさんは追い返して会おうとしません。妻が間接強制の申し立て、要するに引き渡さなければ1日3万払えという申し立てをして、それが裁判所で認められました。 しかし、Bさんは引き渡しをしていません。 その後、妻が離婚・親権を求めて調停の申し立てをしましたけれども、これは不調に終わりました。その後、本裁判を妻の方が起こしました。
裁判所の一審は妻の訴えを認めました。Bさんが高等裁判所に控訴しました。 そしたら、二審・高等裁判所は、もう紛争が発生してから4年経っていると、だからもうBさんの方を勝たせると。その理由は、もう子どもの生活環境がBさんの下で出来上がっているからだと。今更環境を変えて女性の方に子どもを移動させることはできないというのが高等裁判所の理由でした。
妻は上告しましたけれども、最高裁は上告棄却しました。その時点で間接強成金は3000万円以上になっていました。その時のBさん、「あんな女に絶対に子どもをやらん、なんぼ金を取られても構わん、逮捕されても構わん」というのが、その時のBさんの私に対する気持ちの吐露というか、こういう状況でした。
こういうのが現実の離婚とか、夫婦が別れる時の現実なんですね。
だからそういう現実を見てきてると、離婚した後、夫婦が仲良く子どもに関して親権を行使しましょうと、あるいは、裁判所が見て、この夫婦は仲良く共同親権行使できるから本人たちは嫌だと言ってるけれども、裁判所がなんとか共同親権を認めさせようというのは、かなり難しいんじゃないかなというふうに思います。

先ほどの具体例のA、Bの2つ例を挙げましたけれども、この中には、離婚するときの様々な問題点がわかるんですね。
まず、離婚する時は冷静な状態じゃないと。それから、お互い憎しみ合っていると。それから、もう離婚用紙に名前さえ書けば離婚できると思い、親権のことまでそんなに考えてないという人もかなりいるんですね。
それから、難しいことは弁護士頼まんと分からんという人もかなりいます。弁護士費用が高いんじゃないかということを言われます。
そこで資料3、これ、弁護士費用。 そこに、弁護士の費用は、最初に着手金と言って事件を受けるときいただくお金と、成功報酬といって一定の成果をもたらした場合にいただくお金、2種類があるんですが、着手金と言って、例えば任意交渉が受任して22万、それから話ができなかったんで離婚の調停を申し立てて11万、それから調停が成立しなかったんで一審二審三審と3回裁判やりましたという場合で、それで結果的に勝ちましたという場合。
それでいくと離婚訴訟を三審で終了した場合124万、 それから任意交渉だけで終了した場合でも69万で、これ大体うちの田舎の方は相場的な金額なんですけど、こういうふうにお金はかかる、そこでもう諦めるっていう方がかなりたくさん、多いのではないかなというふうに思っておりますので、なんかトラブルがあれば裁判所に来りゃいいじゃないのという発想は間違ってるんじゃないかなと、なかなか裁判所はたどり着けないところであるというふうに私は認識しております。
その意味で、今回の法律が、 裁判所が判断する・裁判所が判断するというのは果たしてどうなのかなというふうに思っております。
今までは、私の個人的な意見ですけれども、では竹内さんにちょっと質問させてください。今回、法律改正をしようとしてるわけですけれども、 これは子どもの利益に資するから実施すると、そういうふうな理解で我々はよろしいんですかね。

法務省民事局長
委員ご指摘の通り、本改正案は子の利益を確保することを目的とするものであります。

古庄議員
子の利益というのがですね、非常に分かりにくい。
例えばですよ、医者の夫婦が離婚しましたと。その旦那さんの方はもう3代続く大病院のお医者さんです。奥さんの方は、そのお医者さんがもう何人も何人も彼女作るんで、それにもう耐えきれずに子どもを連れて離婚したと。仮にそういう例があったとしますね、仮定の話。
そういう時に、お医者さんは医者の4代目を作りたいから医学部系に絶対やりたいんだと。 だけど、奥さんの方は、医者になるとまたどんなことになるかもわからんから、もっと綺麗な芸術家の道にやりたいんだとか、そういう進路を巡って対立があった時に、そのどちらが子どもの利益にとっていいのかっていう判断を裁判官が果たしてできるんだろうかと。
特に家裁の裁判官というのは若い裁判官が多いですから、まだ独身だったり子どもさんがいなかったり、当然離婚したことないとか、そういう人がたくさんおるので、そういう人たちにその小さい子どもの進路を判断させて果たしていいんだろうかなと。ちょっと荷が重すぎるんじゃなかろうかなというのが、まあ私の意見です。竹内さん、何かあります。

法務省民事局長
具体的な子の利益が何であるかにつきましては、それぞれの子が置かれた状況によっても異なるものでありまして、一概に定義することは困難でありますが、本改正案は子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、心身の健全な発達が図られることが子の利益であるという理念に基づくものであります。
子の進路の決定のような具体的な場面での親権行使のあり方を判断するにあたっては、例えば子の年齢及び発達の程度や子の意見など、様々な事情を総合的に考慮されて判断されるべきものであると考えます。
委員ご指摘のようなケースにおきましても、その子を取り巻く個別具体的な状況を踏まえて判断されるべきであると考えております。
この法案が成立した際には、国会審議の中で明らかになった解釈も含めまして、適切かつ十分な周知・広報に努めたいと考えております。

古庄議員
そういう答弁になるだろうと思っていましたけれども、ただ判断者の価値観によって大きく左右に行くと思うんですね。
判断者が、いや医者の方が絶対いいと、人の命も救えるし経済的にもいいんだと、だから医者の方がいいと、芸術家なんかなれるかなれんか分からんと、そんな危ない博打みたいな人生を歩ませるのは良くないと判断者が考えれば、医学の方に行くのが子の利益だと。あと何となればというのを色々理屈か理由をつけてそういう選択をするでしょうし、今度地裁に負けた方が高裁に持っていって高裁の人が芸術の方がいいんだと、医者はあんまり良くないと、そういう医者に対する悪い印象を持ってる高裁の裁判官になったら、もう一審判決は棄却して、判決を次の通り変更するということで芸術家の母親の言う通りに行けというふうになるかもわかりません。
結局それでもわからんねとまた最高裁に持ち込まれるというパターンが仮にあったときに、大体何年ぐらいかかるとご認識ですか。

法務省民事局長
事件にどのくらいの審理期間を要するかというのは、その事件の中身と個別の事情に応じて様々であるかと考えます。

古庄議員
すいません、突然の質問だったかわかりませんけど。
離婚した後に別れた夫婦がずっと裁判をしているということ、そういう事態も想定されるわけなんですけれども、これは子どもにとって利益なんでしょうか、不利益なんでしょうか。

法務省民事局長
個別具体的な事情にもよりますので一概にお答えすることは困難ではございますが、父母間の紛争に起因して子の心身の健全な発達を害するような場合には、子の利益を害する場合もあると考えられます。
また、父母の感情的問題等によりまして親権の共同行進が困難である状態は、子の利益を害すると考えております。

古庄議員
この前、沖野参考人でしたかは、「裁判やったとしても、それによって裁判が解決した時にいい結果が生じるかも分からないから一概に裁判が悪いとは言えない」みたいな、なんかそういうふうな発言だったと思うんですけれども、裁判をやること自体、別れたお父さんと現在一緒に住んでるお母さんが
何か月かに一度裁判所に行く。家に戻って、今日の裁判は、だったこうだった、それで裁判所から調査官が家までやってきて、今どういう感じとか聞かれること、要するに、裁判をやってること自体が、子どもにとって決して利益じゃないというふうに私は考えております。
離婚した後、共同親権で夫婦の意見が異なった場合、その手続きの流れとすれば、どういうふうになりますかね。

法務省民事局長
本改正案では、父母が共同で親権を行うべき事項について、父母間に協議が整わず必要がある場合には、家庭裁判所が父母の一方を当該事項についての親権行使者と定めることができることとしております。

古庄議員
今回の法案は、その離婚後も共同親権を認める場合があるということなんですけれども、その共同親権を認めることによって、子どもにもたらされる利益というのはどういうものが考えられるんでしょうか。

法務省民事局長
子の利益を確保するためには、父母双方が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが望ましいと認識をしております。
現行民法の離婚後単独親権制度のもとでは、親権者でない親による子の養育への関与は事実上のものに留まりまして、法的に不安定なものとならざるを得ないため、子の利益の観点から必ずしも望ましいものではないと考えております。
そのため、離婚後の父母双方を親権者とすることは、法的に安定した、より望ましい状態で、子の利益の観点から父母双方が適切な形で子の養育の責任を果たすことができるようになる点で意義のあるものであると考えております。

古庄議員
そういう答弁を何回もやってるんですけど、具体的によくわからないんです、今の答弁は。具体的にどういうメリットがその子どもにもたらされるのかというのを説明してもらいたいんですよ。 具体的に。例でも構いませんから、こういう場合は共同親権にした方が絶対いいんだという具体的な例を答えてもらえませんか。

法務省民事局長
法制審議会の家族法制部会におきましては、子に関する重要な事項が父母双方の熟慮の上で決定されることが子の利益にとって望ましい場合があるとの指摘もされたと承知をしておるところでございます。

古庄議員
では今度逆に、離婚後の共同親権を導入することによってデメリットもあると思うんですけれども、このデメリットは具体的にどういうものが考えられますでしょうか。

法務省民事局長
一般論といたしましては、離婚後の父母双方を親権者とすることへの懸念点といたしまして、例えば、父母の意見対立時に子に関する事項を迅速に意思決定することができず、子の利益に反する事態が生じかねないこと、婚姻中にDV・虐待がある事案において、離婚後もその被害が継続するおそれがあることが指摘をされております。
この他、家族法制部会の委員からは、親権行使をめぐる父母間の紛争に子が巻き込まれ続けることで子の利益を害するおそれがあるとの懸念をお示しいただいたと受け止めたところでございます。

古庄議員
メリットもあればデメリットもあると、そういうことですね。
そうすると、ちょっとメリットというのはちょっと抽象的で私よく分からなかったんだけどメリットもあると、そういう見解でしょうが、 そのメリットとデメリット、どっちの方が大きいんですか。

法務省民事局長
離婚後の父母双方を親権者とすることができる制度を導入することのメリットとデメリットにつきましては、各事案における父母と子との関係や父と母との関係等の諸事情によって異なると考えられますので、一概に比較することは困難なところがございます。
その上で、本改正案は、離婚後も父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことによって子の利益を確保しようとするという理念に基づくものであります。
令和3年に実施をいたしました世論調査では、父母の双方が離婚後も子の進路などの未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることについて、どのような場合でも望ましい、望ましい場合が多い、特定の条件がある場合には望ましいとの回答が多数、合計9割以上ですが、これを占めております。
その結果によりますれば、多くの国民が離婚後の父母双方が親権者となることのメリットを感じているものと理解をしておりますが、本改正の趣旨が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知・広報に努めてまいりたいと考えております。

古庄議員
これ、法律ができれば日本国民全員に適用されるわけですよね。
そうした時に、その個々の事情も当然あるかもわからないけれども、その対象となる日本国民の中で、どれだけの人たちがメリットであり、またどれだけの人たちがデメリットであるかという比較が必要で、その根拠として今世論調査を出したと思うんですけれども、今回の法案ができてから、この法案に関する世論調査というのはあるんですか。

法務省民事局長
今のところはそのような調査予定はしておりません。

古庄議員
そうすると、共同親権の方が、こういう言い方悪いのかもわからんけれども、耳障りはいいんですよね。2人から生まれた子どもなんで、2人で育てましょうというのがいいから、一般の人はそれは共同親権の方がいいなというふうに思ってる人多いかも分からないけれども、その辺のアンケートを根拠として出されてますが、そのアンケートが具体的にどういう内容だったのかということをちょっと私把握していないので、その点についてはちょっとこれ以上コメントは控えたいと思います。
次の質問にいきますけれども、今回の改正法案の条文見てもよくわからないんですけれども、その単独親権と共同親権のどちらかが原則で、どちらかが例外であるという、そういう原則か例外かという、そういう関係はあるんですか。

法務省民事局長
お尋ねの共同親権を原則とするという表現は多義的に用いられておりますので、これを一義的にお答えすることはなかなか困難なところがございますが、本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものでございます。
その上で、離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかにつきましては、個別具体的な事情に即して子の利益の観点から最善の判断をすべきであり、本改正案もこのような考え方に沿ったものでございます。

古庄議員
そうすると今の回答は、どちらが原則、どちらが例外という、そういう関係性にはないという、そういうお答えでよろしいんですかね。

法務省民事局長
例えば裁判官が、共同親権がいいのか単独親権がいいのか判断がつきかねるというようなところで判断に迷ったというようなところを考えますと、どのような定めをすべきか判断がつかないという場合に、共同親権を選択すべき、あるいは単独親権を選択すべきといったルールはありませんで、あくまでも子の利益の観点から最善の判断をすることが求められることとなると考えております。

古庄議員
また話が振り出しに戻るかもわかりませんけど、その子の利益っていう概念が、もう判断者によって右に行ったり左に行ったりするような概念だと思うんですが、そのどっちがいいのか判断しかねるというケースっていうのはあると思うんですよね。
そうした時に、裁判官が 右に行こうか左に行こうか迷ってる時に、原則がなくってどっちでもいいと、子の利益に合致すると思えばどっちでもいいんだというふうになると、もう判断者の恣意的な判断を呼びかねないので、 むしろある程度原則的なものを作ったらいいんじゃないかなという、そういう意見もあります。
これ質問なんですけど、裁判の場合、一般原則で立証できなかったら原告敗訴っていうのがあるじゃないですか。
これ本件の場合にも、そのさっきの例で、医者の方が子どもの利益に合致するのか、芸術家の方が子どもの利益に合致するのか判断つきかねた場合は、原告、すなわち訴えた側が負けるという、そういう理解でよろしいんですか。

法務省民事局長
家事事件手続でございますので、厳密な立証責任が定められているものではありません。
したがって裁判所といたしましては、当事者の主張のみならず、審議に現れた資料から判断するということになろうかと思われます。

古庄議員
判断するっていうのは、要するにどっちかの結論を出せということですね。

法務省民事局長
審判を求められているという前提で考えますと、裁判所としては何らかの結論を出すということにはなろうかと思います。

古庄議員
それで、大臣のご答弁にもあったんですけれども、合意がなくても裁判所がこの夫婦については離婚後の共同親権の方がいいというふうな審判を出すこともありうるということだったんですが、具体的にどういう案件であればそういう審判が出る可能性があるんでしょうか。なるべく具体的にお願いします。

法務省民事局長
父母の合意がない理由には様々なものが考えられますが、父母の協議が整わない場合でありましても父母双方を親権者とすることが子の利益のため必要なケースといたしまして、 法制審議会家族法制部会における調査審議の過程におきましては、弁護士である委員・幹事から、同居親と子との関係が必ずしも良好でないとか、同居親の子の養育に不安があるために別居親の関与があった方が子の利益に適うと考えられるケースなどがあり得るとの指摘があったところでございます。
また、裁判所の調停手続におきましては、父母の葛藤を低下させるための取り組みも実施されていると承知をしておりまして、高葛藤であったり合意が整わない状態にあった父母でありましても、調停手続の過程で感情的な対立が解消されて、親権の共同行使をすることができる関係を築くことができるようになるケースもあり得ると想定をされております。

古庄議員
時間が来たので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。


以上
誤字脱字がありましたらすみません。

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