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井坂信彦議員(立憲)質疑 2025年2月14日衆議院予算委員会
井坂議員(立憲民主)がハンガリーの邦人殺害事件について質疑してくださったのでお知らせします。
(個別事案によるところが大きいので迷いましたが、共同親権の制度下で起きたDV殺人事件ということで文字起こしすることにしました。)
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井坂議員
続いて、ハンガリーの日本人女性殺害事件について外務大臣に伺います。
ハンガリーで日本人女性が外国人の元夫にDVを受けて、先月29日に殺害された事件であります。被害女性は、少なくとも2回ハンガリーの日本大使館に相談に行ったが、大使館は手助けをしてくれなかったと、現地の友人の声が報じられております。
外務大臣は一昨日の会見で、2022年6月に大使館は被害女性から相談を受け、警察に相談することを促すなど支援を行ったと答えています。
しかし、外務省のホームページには、「DVや離婚問題への対応として、安全が懸念される場合には、現地警察に通報し、保護を求めます」というふうに書いてあります。
大使館が現地警察に通報してくれることと、警察に相談してくださいとたらい回しにするのとは雲泥の差があります。
実際に被害女性は、自分で警察に行ったが相手にされませんでした。
大臣に伺いますが、大使館は最初の相談の際に、なぜ警察に通報しなかったのでしょうか。
岩屋外務大臣
本件については、今委員ご指摘がありましたように、在ハンガリー日本国大使館は、2022年6月に当該邦人女性から元夫との関係等について相談を受けております。
大使館としては、当然のことながら、ハンガリー国内で公権力の行使ができるわけではございませんので、もしDVの被害があるようであれば、現地警察に相談されるが良いというアドバイスと言いますか、それを行ったところでございます。
井坂議員
公権力の行使ではなくて、ホームページに書いてあるように、現地警察に通報しますと、そうやって邦人を守りますと書いてあるのに、なぜ通報すらしてくれなかったんですかということだけお答えください。
岩屋外務大臣
やっぱりこう、切迫度にもよると思うんですよね。
DVの被害があって困っているんだと、それはぜひ、現地の警察に相談されるが良いということをアドバイスをしたということでございますので、対応としては必ずしも不適切なものではなかったというふうに考えております。(いやいやいやいやという大きなヤジ)
井坂議員
大臣、一昨日の会見でこうおっしゃってます。
被害女性には警察に相談することが良いということを説明し、また必要な支援を行ってきたとおっしゃってますが、具体的にどんな支援をされたんですか。
外務省イワモト領事局長
ただ今、大臣からもご説明ございましたけれども、当該邦人からご相談があったのは2022年の6月ということで、その際には全体的な関係、元ご主人との関係、全体的な関係についてご相談があったということで、そのご相談の内容を踏まえて、その当時におきましては、もし今後そういうDVのようなことがあれば、警察にご相談されることが適切であるという具合にご説明をしたということです。
その後、どういう経緯があったかについては、大使館としては、具体的にご相談があったという具合には聞いておりませんので、もちろん、もしそのDVについて具体的なご相談があれば、その状況に応じて、適切な支援をしていくということでございます。
井坂議員
いや、はっきりお答えいただきたいんです。会見では、警察に相談したら良いよと説明し、また必要な支援を行ってきたと。警察行ったらいいよというのと、他にまた必要な支援を行ったとおっしゃっている。
その必要な支援は何を行ったんですか。
外務省イワモト領事局長
この当該女性からは、このご主人との関係以外にもですね、様々な、色々なその手続きについてもご相談を受けておりますので、そういった手続きについてどういう書類が必要かとか、そういうことについてもアドバイスをさせていただいたりしておりますので、そういう点も含めてですね、必要な支援を行ってきた、そういう趣旨でございます。
井坂議員
実は、大使館が被害女性を救うチャンスはもう1回あったと思います。
被害女性は、その2022年のあと離婚をし、そして昨年8月に大使館に子どものパスポートを発行できないかと相談をしました。
しかし大使館は、元夫の同意がなければパスポートは発行できないと答え、被害女性はパスポートを申請できず、ハンガリーから子どもを連れて逃げられないまま元夫に殺されてしまったわけであります。
子どものパスポートは、普通、どちらか片方の親のサインがあれば請求できて、発行されます。
外務大臣に伺いますが、元夫のサインがなくても旅券を発行、パスポート発行できなかったのか、お答えください。
岩屋外務大臣
我が国の法令上、未成年者は自ら法的な行為を行うことができず、原則として法定代理人がこれを行うこととなっております。
さらに、当該未成年者に両親がいる場合には、民法上、子の両親は共同親権者とされ、その親権を共同で行使することが原則でございます。未成年者の旅券発給につきましては、同様に双方の共同親権者の同意が必要でございます。
その上で、未成年のこの旅券申請にあたりましては、申請者側の利便性に配慮いたしまして、一方の親権者が法定代理人団に署名をしていることをもって他方の親権者も旅券発給に同意していることを事実上推定をしているところでございます。
ただし、一方の親権者の同意を得ない子の連れ去りに伴うトラブルを防止する観点から、一方の親権者が未成年の子の旅券の発給に同意しない場合には、あらかじめ未成年の子に対する旅券発給の不同意書を提出できることができるようになっておりまして、不同意書が出ている場合に、未成年の子の旅券申請が行われた際には、不同意書を提出していた親権者が引き続きそのまま不同意ですかということを確認する必要があるわけでございます。
井坂議員
この不同意書の話っていうのは、被害女性とそれを支援していた弁護士との間のやり取りでは一切見当たらないというふうに聞いております。
もし不同意書が当該案件で出されていなかったのに、大使館が元夫の同意が必要と被害女性に伝えていたら、これは発行できるパスポートを発行しなかったということで大問題だと思います。
逆に、これ参考人に伺いますが、不同意書が出されて、当該事件で出されていたとしたら、これは元夫の同意書がなければ絶対にパスポートを発行できないんでしょうか、伺います。
外務省イワモト領事局長
この個別の案件でございますので、プライバシーの問題もございますので、具体的に出ていたかどうかということは控えたいと思っておりますけれども、ただ今大臣からありましたように、こういう手続きになっております。
その上で、もしその差し迫った状況があれば、当然それが総合的に判断して日本側の対応を判断しますけれども、ただ今回、この2024年8月の時点では、この旅券の発給の手続自体について当該女性からはご相談はございましたけれども、それ以上について具体的な状況についてご相談があったわけではありませんので、私どもとしては、その手続きのあり方について丁寧にご説明をした、そういうことでございます。
井坂議員
総合的に判断して、差し迫っていれば、不同意書があってもパスポートは発行ができるわけであります。
それで、実際、不同意書の話は弁護士さんと被害女性の間ではやり取りがされていないので、本当にそれがあったかどうかも私は疑わしいと思っておりますが、ただ、それは個別の事案で、プライバシーなのでお答えはできないということであります。
ただ、もうこれ一般論で、また参考に伺いますが、要は、もうどうやっても同意が得られないという強い訴えがあれば例外的に発行するというふうに事前にも伺っておりますが、被害女性にこれ頼まれて元夫が同意するぐらいなら、これは元夫は最初から不同意書など出さないわけであります。
絶対に同意しないというのをあらかじめ意思表示をするものが不同意書でありますので、要は、不同意書が出てるということはそういう状況、一方でそういう状況だということであります。
伺いますのは、被害女性は結局、その大使館に行った同じ去年8月に警察にも行っています。その時すでにもう要は警察沙汰に実際なっているわけで、元夫から同意書をもらえるような関係でなかったことは明らかであります。
同意書がなくてもパスポートを発行できる道があるなら、なぜ同意書が必要と言って発行を断ったのか。
不同意書が仮に出ていたとするならば、これは不同意書が出ているんですけども、何かやっぱりトラブルあるんですかと。まして、前も一度来てるわけですから、何か大変なことになってるんじゃないですかと、そういう発想があって当然だと私は思いますが、こういう状況で大使館は適切な対応をしたと、一体何を根拠に言えるのでしょうか。お伺いをいたします。
外務省イワモト領事局長
まず、この不同意書の扱いでございますが、先ほど大臣からもありましたけれども、不同意書は事前に提出していただくことになっております。
その上で、旅券が実際に、正式に申請がありましたら、その不同意書がですね、有効かどうかを確認するようになっております。
これ一般的にですね、こういった例たくさんあるんですけれども、場合によっては、その旅券が申請あった時点で確認をしますと、この不同意書は撤回しますという方も中にはいらっしゃいます。
ですので、そういった状況について、私どもはそのケースごとにですね、丁寧に手続きとしてはご説明をしております。
で、その上で、もし、そのDVを含めてですね、具体的なご相談があればですね、それはその状況を踏まえて、先ほど申したように総合的に判断をしていくものですが、残念ながら、この昨年の夏の時点では、女性からはその具体的な状況について私どもの方にはご相談がなかったいうことでございますので、それを踏まえて適切にご案内をしたと、そういうことでございます。
井坂議員
ちょっと参考人に伺いますが、初めて会った人ではないんですよ。
その前に1度DVの相談を受けていて、その後離婚をして、子どものパスポートが、要は夫に預けてるからないので、取得したいと相談に来てるわけですよ。
そこで仮に不同意書が出てたとしてもですよ、もうそれはもうどういう状況か明らかではないですか。
相談がなかったから、ただの一般論で同意が必要ですよって説明しました、で済む話はないと思うんですが、それ、さっきご答弁された必要な支援をしたということになるんですか。
外務省イワモト領事局長
もちろん、実は色々なケースございます。一般論で申し上げますと、当初DVでご相談があった場合も、その後ご夫婦の関係ですので、日時によって、当然こう状況は変わってくるいうことで、もし先方から具体的なご相談があれば、私どもはきちんと対応していくんですけれども、ただ、そのプライバシーの問題ですので、こちらから、根掘り葉掘り、その時々の状況についてお聞きするということは控えておりますけれども、当然、向こうからご相談があれば、これは適切に対応するようにしてきております。
井坂議員
ちょっと今日AIで結構まとまった質問用意してたんですが、もう時間的にもうAIはまた次に回しまして、これ、要は、原則論はわかるんですよ。両方の同意が必要であるし、ただ署名欄は1人分の署名欄しかなくて、片方の親の署名で発行がされます。ただ、不同意書が出ていれば、それは片方の親だけのサインではダメなので、もう不同意書を出したもう1人の親の同意書が必要だ。ここまでも原則論はわかるんですが、ただ、邦人保護のために、あるいはDVから守るために、結局、そうは言っても、さらに例外的な措置として、相手から同意書が取れなくてもパスポートを発行することもあるわけですよ。
で、そういうやり方があるのに、それは説明をしないんですか。
もう原則論だけ説明をして、いや相手の不同意書が出てるから相手の同意が必要です、とだけ説明して、もう同意書取ってくださいというだけで追い返してしまうんですか。
いや実際、被害女性と友人のやり取りを見てる限り、本当にもう絶対に取れないと聞かされて帰ってきたという反応なんですよ。頑張ればとか、ちゃんと状況を説明すれば取れるかもしれないっていう反応にはなってないようなんですね。
ちゃんとそういう説明されたんでしょうか。例外的に同意書がなくても発行ができるということは説明されたんですか。
外務省イワモト領事局長
私どもも今回の件を受けまして、大使館の方に当時の状況を確認しましたけれども、先ほど申し上げたような状況だったわけですけれども、当然ですね、私どもの、こういう手続きになっている、こういうことが必要だということは、この件を含めてその都度丁寧にご説明をしてきているところでございます。(場内不規則発言複数)
井坂議員
ちょっともうぼやかしましたけど、要は、例外的に同意書がなくても発行できるとちゃんと説明をしたんですか。
外務省イワモト領事局長
その点含めてですね、このケースにつきましても、この旅券の手続きについては、きめ細かにご説明をしたということでございます。
井坂議員
最後にちょっと大臣に一言だけ伺いますが、やっぱり日本人女性が海外で殺されてしまったわけです。で、大使館には2回救うチャンスがあった、ここまでは厳然たる事実であります。
今みたいな話で、正しい対応でしたと言い張るのであれば、今後も日本人が同じ流れで海外で殺されてしまうことを私は防げないと思います。(そうだの声)
邦人保護のために今回を検証して、今後の対応を改善する、ぐらい答弁して当たり前だと思いますが、いかがですか。(場内から拍手)
岩屋外務大臣
改めてですね、邦人女性がご逝去されたことに心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
その上で、今般の事案というものも踏まえまして、邦人保護ということについてですね、さらに在外公館でしっかりと対応できるように指示を私から出したいというふうに思っております。
井坂議員
終わります。
2026年5月から日本でも共同親権制度が始まります。
しかし、その内容(ガイドライン等)については決まっていないのが実情で、今後もDV被害者支援や共同親権の国会審議について注視が必要です。
これからもスキで応援していただけましたら幸いです。