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福島みずほ議員(立憲)質疑前半 2024年4月25日参議院法務委員会

福島みずほ議員(立憲)の質疑の文字起こし前半です。
※福島みずほ議員は社民党党首ですが、会派により立憲と表記させていただきます。ご了承ください。

福島議員
立憲・社民共同会派の福島みずほです。
共同親権についてなんですが、相談して決めることができそうな人たちにとっては必要がない、相談することができない対立関係にある人ほど強く欲する制度が共同親権になっているんじゃないかと思います。
うまくいってるんだったら問題ないんですよ。
結婚している段階で、子どもの目の前で子どもの養育方針で言い争っていることが子どもにとって良くない。ようやく離婚してそれが解消されると思いきや、そうではなくて、共同親権によってまた続くとすれば、それは子どもの利益にはなりません。
ですから、共同親権を望む人がいることも理解はできます。
しかし、それは選択というのであれば合意でなければ最低限ダメだと思います。不同意共同親権というのは認めない、ということが必要ではないか。
人間は嫌なことを強制されても従いません。それは選択ではありません
婚約的夫婦別姓だって、自己の意思によって選ぶから選択制なんです。
だから不同意共同親権というのは認めない。
父母の同意がないけれども、強制的に共同親権になることが、どういう場合に子どもの利益になるんですか。

小泉法務大臣
不同意であれば、多くの場合、それは単独親権という形になっていくと思われますが、合意がないということだけで自動的に単独親権ですよと進んでいかないと我々は思っています。
一度子どもの利益というものをそこに置いてみていただいて、父母双方が子どもの利益のために我々が共同でできることがあるんじゃないか、ということを考えていただく。
そういうステップを踏んで、それでもなおかつ相当な理由を持って共同の親権行使はできない、困難が伴うということになれば、それは単独親権です。しかし、片方の親がダメです、嫌ですというだけで、単独親権に行く前に子どもの利益というものを考えるステップがあっていいだろう、と、そういう考え方でこの法律は構成されております。

福島議員
だからその場合の子の利益とは何か。
そして、やっぱり間違っていると思います。つまり、うまくいってないんですよ。うまくいってないから離婚したんですよ。それでどうしても嫌だ。相手と一緒に話ができないと思っているとすれば、それはやっぱり何かの理由があるんですよ。
それは何か時間をかけて、あるいはカウンセリングやいろんなことで解消されることがあっても、一方が嫌だって言っているのに、共同親権をやってうまくいくわけないんですよ。これ、一歩間違えると家父長制に基づく父権介入、支配とコントロール、介入する、そんな口実を与えることになる
もしうまくいっているんだったらいいんですよ。そういうケースもあるでしょうし、あります。でも、一方が嫌だって言っているのに、それを強制することは結局うまくいかない。
性交渉だって、本人の同意がなければ性暴力だってしたじゃないですか。
本人の同意がないのにこれを共同親権というふうに無理やり不同意共同親権というのは、子どもの利益にもならない。
子どもは、親の対立の中にもう一回離婚した後も続くわけですから、離婚後の虐待も続くというふうに思っております。これは本当に見直すべきだと思っています。
提案者にお聞きをいたします。先ほども議論になりましたが、19条ですね。
これは今日もすごく議論の一つです。両方が真摯に共同親権を望むということの確認をこれは家庭裁判所がすべきだというのは衆議院で枝野議員が言いました。私もそれはそうすべきだと思いますが、100歩譲ってこの19条措置について検討を加えてありますが、そのことの理由や思いについて語ってください。

米山議員
改正案の附則第19条第1項についてご質問でございますが、改正案第819条第1項では父母が協議上の離婚をするときは、その協議でその双方または一方を親権者と定めるとあります。
今ほど来議論にもあり、また委員からもご指摘があったところですけれども、この協議上の離婚の際の親権者を定めるにあたっては、子の利益を確保するために、例えばDV等の事案や経済的に強い立場の配偶者が他方配偶者に強制的に迫ることによって、真意によらない不適切な合意がなされることを防ぐ、強い必要がございます。
また、親権者をどのように定めるにせよ、父母双方の真意による合意があってこそ、今ほど委員がおっしゃられたことですけれども、父母双方の真意による合意があってこそ、子の利益に適うように親権を適切に行使することができます。
そこで、政府に対して親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するために、どのような措置があり得るか検討を加え、必要な措置を講ずることを求める。このような趣旨でこの規定を提案し、そして各党会派、各派で合意し、衆議院では成立したということになります。
なお、提案者といたしましては、具体的な措置として、例えば離婚届の書式を見直して離婚後も共同で親権を行使することの意味や内容を理解したかを確認する欄を追加すること等を想定しております。

福島議員
どうもありがとうございます。
それで、いろんな人の意見を聞きます。思春期の時に実は父親に会いたかったけどそれを言えなかったとか、いろんな子どもたちがいることは本当にそうです。しかし実はそれは面会交渉の話であると、面会交渉の話と養育費の話と共同親権の話は別です
面会交渉がうまくいかないから親権とればうまくいく、というのはものすごく劇薬であり得ないんですよ。
離婚後の監護、面会交流、養育費については、既に現行民法766条で明文化されています
現行法では解決できない課題があるのでしょうか。具体的に示していただきたい。
養育費の支払い、外国のように罰則つけたっていいと私は思います
養育費の支払い、面会交流などの充実、DVの根絶、ひとり親家庭の支援体制整備などこそ、先決ではないですか。大臣いかがですか。

小泉法務大臣
子の利益を確保するためには、父母双方が離婚後も適切な形で子の養育に関わる、そして責任を果たす。これが望ましいという理念をまず掲げております。
そして、この責任を果たす、養育に関わり責任を果たす、その形でありますけれども、現行民法の下では離婚後単独親権制度でありますので、共同養育では親権者共同養育にはなりますが、そこで親権者でない親は子の養育に関する事項について最終的な決定をすることができず、また第三者との関係でも親権者として行動することはできません
このような状況においては、親権者でない親による子の養育への関与、これは確かに事実上できますが、あくまで事実上のものにとどまり、法的に不安定なものとならざるを得ないため、子の利益の観点からは望ましいものではないと考えられます。
そこで、離婚後の親権制度を見直す必要があるわけでございますけれども、子どもの利益という観点からは、ご指摘のとおり、それ以外に養育費の履行確保、安心・安全な親子交流、こういったことも非常に重要でありまして、本改正案では親権、養育費、親子交流を含めた子の養育に関する制度全般を見直す。そういうことをお願いしているわけであります。

福島議員
単独で行使できる急迫の事情なんですが、これは衆議院の段階でこの定義については、法務省は、「父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時の親権行使をすることができず、その結果として子の利益を害する恐れがあるような場合」というふうに説明をしています。
だったらそのように修文したらどうですかというふうに思います。
というのは、急迫の事情というのはどうしても法律家の立場からすると、急迫不正の侵害、正当防衛の要件、急迫というのはやっぱり急な場合というふうに従来言われていたので、急迫の事情では狭いんですよ。
法務省はこれを広く説明をされていますけれども、それではこの法律が施行された以降、それが一般的に通用するだろうか。
むしろ「子の利益のため必要かつ相当な場合」というふうに直すべきではないですか。

法務省民事局長
一般論といたしましては、子の養育に関する重要な決定について父母双方が熟慮の上で慎重に協議し判断することが、子の利益に資することとなると考えております。
他方で、その協議には一定の時間を要すると考えられることから、本改正案では適時に親権行使をすることが困難とならないよう、「子の利益のため急迫の事情があるときは親権の単独行使が可能である」こととしております。
これらの場合に加えまして、親権の単独行使が可能な場合をさらに拡大することは、子の養育に関し父母双方が熟慮の上で慎重に協議する機会を狭めることとなってしまいますので、子の利益の観点から相当ではなく、ご指摘のような修正も相当ではないと考えておるところでございます。

福島議員
これすごく大変になると思います。
衆議院の議論でもなっておりますが、多くの離婚事件は、家を出ていくときに対立が起きたり殴られたりするから、やっぱり決行日を決めてこの日家を引っ越す、なんてやるわけですよね。
それってDVより少し時間が経っていれば急迫とは言えなくなったり、あるいはもう証拠がない、急迫じゃないじゃないかって言われかねないですよ。
これは、子どもを連れて妻が家を出て行ったら誘拐罪だと訴えるケースとかも今あります。としたら、女男っていうのは変ですが、でも監護は夫と妻、父と母は4分の1以下ですよ、夫の監護。育児の時間は圧倒的に少ない。
多くは女性が子どもを育てていて、その子どもを連れて家を出ることが困難になるんじゃないか。今までより困難になったら困ると思っているんです。
私は朝のNHKドラマの「虎に翼」を見ていますが、まさに明治民法は、子はその家にある夫の親権に服すとなっていたから、女性は子どもを置いて離婚するか、あるいは離婚を我慢して家にいるかしか多くはできなかったわけですよ。そういうふうになっちゃいませんか。どうですか。
このことによって今まで女性たち、多くは女性たちですが、子どもを連れて家を出る、別居する、身の安全を守るために、あるいは夫と諍いしたくないからということは変わらないということでよろしいですか。

法務省民事局長
改正法案の819条7項でございますが、これは裁判所が親権者を決める際の判断基準になっております。
今、ご指摘のとおりご存じのとおりだと思いますが、父母、父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれ、すなわち虐待があるような場合ですとか、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれ、すなわちDV等があるおそれを指しております。
このような場合には必ず裁判所は単独親権としなければならないというような規律としております。
しかも824条2で1項3号で「子の利益のため急迫の事情があるとき」は、仮に共同親権になったとしても、親権の単独行使ができるという規律にしておりますので、DVや虐待からの避難に支障を来すことはないと考えております。

福島議員
DVや虐待がなくても、夫と諍いを続けることはすさまじいストレスだから家を出るんですよ。別居して安心して子育てしたいし、人生立て直すというか、少し冷却期間を置きたいんですよ。
これがDVや虐待などとなっているので、先ほど、牧山さんがDVや虐待のケースを完全に除去できるかと言いましたが、DV・虐待じゃなくても支配やコントロールや多くの諍いから自分は出たいんですよ。だからこれやっぱり狭すぎますよ。問題がある。
急迫の事情に関する今の答弁も納得がいきません。
参議院は共生社会に関する調査会で、かつてドメスティックバイオレンス防止法超党派で全会一致で成立をさせました。プロジェクトチームを作って超党派でやったんですね。2001年です。そして5回DV防止法を改正しました。
DVの根絶に関して、参議院はものすごく努力をしてきた。
しかし、これはまだ続いております。
DVをする人は残念ながら、加害の認識がありません。
自分はいい夫でいい人で、残念ながら、外面が良く地位も高かったり、だからその人が本当に支配とコントロールをする人だってわからない。でも殴るだけじゃないんですよ。モラハラだったり、お金を渡さなかったり、妻をそこに座らせて正座させてこんこんと一晩中説教したり、優愛ちゃんが虐待で反省ノートを書かされていましたが、反省ノートを書かされる妻って結構いますね。
とにかく自分の思い通りにしたいし、そうするっていうことそのものがDVで、みんなが思っているよりもDVは広いんですよ。虐待も広いんですよ。
そういう中では力を奪われるから、そういう結婚生活は地獄なんですよ。
そこから逃げる。そこから子どもを連れて逃げるのは当然で、生きるためのサバイバーなんですよ。
ところが残念ながら、裁判所や色んなところ、まだまだまだまだ法律家の世界も古く、家庭裁判所でもDVやその認定がされないこと、理解されないこと、いい夫さんじゃないですかって言われることがしょっちゅうですよ。
認めてもらえないんですよ。だから、この法案に心配してるんです。
いかがですか。

法務省民事局長
まず先ほど申し上げました819条7項でございますが、例えば2号を申し上げますと、「父母の一方が他の一方から身体に対する暴力、その他の親身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれ」という言葉になっておりまして、身体的な暴力、あるいは身体的なDVに限らず、精神的なDVですとか、あるいは経済的DVのようなものも含む表現になっております。
このような場合には、裁判所は必ず単独親権と定めなければならないという規律になっております。
また、824の2の1項3号の急迫の事情というところですけれども、委員ご指摘のような夫婦の諍いですとか、あるいは喧嘩のような事情で感情的問題が発生していて、そのために適時な親権行使ができないというような事情があるような場合にもこれに当たるものがあると考えられますので、我々といたしましては、委員ご指摘のような虐待のケース、あるいはDVのケースにつきましては、避難等に支障がないというふうに考えておるところでございます。


後編はこちらです


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