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“らくがき”という自分との対話法のすごい効果

「なんて言っていいか分わからない……」
「なんだかもやもやする……」

ということ、ありますよね。なんとなくはわかるけど、認識できていないもの、伝えられなないもの。明確な概念を持たないものは、言葉にするのにちょっと時間がかかることもあるのではないでしょうか。

そんな時、考えていることや状態を表出させるのに「ビジュアル思考」はとても役立ちます。今回は、“らくがき”のような自由な形(意味を持たない形)を描くことで、広がる世界をちょびっとご紹介します。

自分の感覚をとりもどすワークショップ

「今日の給食はどんな味でしたか?」
「この空間にいるひとたちは、今どんな状態だと思いますか?」
「今のこの場はどんな状態だと思いますか?」

このような問いに対して、自分の思うとおりに色と線をつかって抽象的に表現してみよう、というワークショップをこれまでたくさん行ってきました。

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ビジネスパーソン、小学生、大学生、学校の先生。最初は「抽象的ってなんだろう?」と考えるのですが、ちょっとしたヒントがあることで、ひとりひとり自由に描き始めます。

状態を表す抽象絵

「正解があるわけじゃないんだ」「どんな表現をしてもいいんだ」、と気づいたら、自分の考えたことを説明する楽しさ、面白さに夢中に。
そして、「自分はこんな風に感じていたのか!」と、自分自身の感覚を発見していきます。

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「意味のない形」だからこそ、拾い上げられる

このワークで大事なのは、自分の身体感覚に意識をむけて「どんな感じかな〜」と深く考えることです。

そんなとき「言葉」や「意味のある形」を使うと、自分の本当の気持ちに気づけないことがあります。それは、「うまく表現したい」「みんなに伝わりやすく表現したい」という気持ちが勝ってしまい、汎用的な表現になってしまうからです。(たとえば、カレーを食べたから黄色かな、という思考が先行してしまい、カレーの味で感じた懐かしい家族のぬくもり?のようなものまで表現が及ばないということがあります。)

自分の感覚を取り戻すワークでは、自分でも意識できていなかった、身体の感覚や気持ちに注目し、意味のない形を描きます

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「意味のない形」のような、色や線を自由に使う、いわゆる抽象画は一見何を描いているかわからない。だからこそ、その意味について考えることができます。書き出してみて、それについて考える、という2段階の思考プロセスがあることで、それまできづかなかった些細なことや、ちょっとした違和感などに気づくきかっけを与えてくれます。

教育の現場で注目されはじめている“らくがき”の効果

このように、描くことをきっかけに自分について考えたり、対話していくワークは、小学校の道徳の授業に変化をもたらしているようです。新宿区の落合第六小学校の先生からも、効果を聞いています。

道徳の授業で、文章で表現することができなかった子供たちが
絵をきっかけに自分たちのことを考えたり表現したりできるようになった

その反響が伝わり、先生たちの注目が集まり、120人を超える新宿区の小中学校の教員が集まったこともありました。

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その時に解説用に描いたグラフィックサマリー↓

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五感や状態を感じとり、意味のない形で描き出すことで、隠れた意味を見つけ出す方法を解説しています。そしてこれは、新しいことを生み出す態度を身につけるための方法にもなりうるのではないか、という提言です。

らくがきを効果的に使うことで、見えなかったことが見えてくる!?

今回、noteを書くにあたり、改めてらくがきの効果、意味を発見していくメカニズムを図にしてみました。

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自覚のためのらくがき。観察のためのらくがき。抽象化のためのらくがき。

何を描いても良いからこそ、戸惑いやすいらくがき。

でも。らくがきは、創造の根源的な活動に寄り添うことができる、すぐれたビジュアル言語だと言えると思います。

まずは、自分の対話で。自分の身体や気持ちをひもとくきっかけに使ってみてはいかがでしょうか。

カラーダイアリーというメソッド

今回解説してきた、「意味のない形」をつかい自分の深層心理をあぶり出す方法。「ビジュアル思考大全」の中でも、「カラーダイアリー」というメソッドで解説してます(P.92)。
 だれでも気軽に実施することができる方法です。

「自分のことを考えるきっかけ」
「感性表現のトレーニング」
「心のリハビリ」

自分の感性センサーがうごきだすかもしれません。

カラーダイアリー

あいまいな状況や気持ちを捉えることで隠れているものが見えてくる




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