概念的な世界を地図にするぞ! 〜ビジュアル思考の世界地図ができるまで〜
「ビジュアル思考大全」という本の中で、重要な役割をもっている「ビジュアル思考の世界地図」。この地図は、本の中でインデックスの役割を果たしながら、それぞれの文脈に世界観を与える重要な役割を持っています。
今回は、この地図ができるまでを画像たっぷりに公開します!
まっさきに取り組んだ地図構想
「こんな本を書きたいです!」と、企画を持ち込んだ私。目次の構成や事例などを見せている会議で、編集者の渡邊さんに言われました。
「これ、1枚の世界で表せますか?」
「せっかくビジュアル思考を本にするなら、ビジュアルで見せていきましょう!」と。
たしかに、そうですよね。ということで最初に着手することになりました。
プロトタイプの変遷
載せたい7つの視覚化方法が見えているところから着手。世界の作り方から検討していきました。グラグリッド社の仲間にアイデアをもらいながら、次の3つのパターンができました。
3パターンの世界像
Aは、7つの視覚化法の意味を身体感覚を伴う行動と関係性で表したもの。
Bは、7つの視覚化法の精神世界、状態を3階層のモデルで表したもの。
Cは、7つの視覚化法の世界をテーマパークにたとえ表現したもの。
意味の関係性を純粋に捉えること重視してAタイプを中心に検討することに。
地図の原型ができた!
ジャンプする、潜る、飛ぶ、など身体感覚で思考の世界観を表現するモデルがこのタイミングで完成。
世界の整合性を模索しだす
執筆活動が進むにつれ、7つの視覚化法それぞれの意味がより明確に。地図上でも細かな配置や関係性、メタファの調整が始まります。
大地の標高は何を表す?ここで扱う情報の特性に共通項はあるのか?など、考えながら(答えはまだ出ていない部分もありますが)、それぞれの意味を再確認していく作業です。
メタファで最も苦労したのは、「要約」です。このタイミングでは、まだ「要約」はただの「丸い工場」として描かれており、要約のプロセスで起きていることがブラックボックスのように見えますね。(笑)
地図で描くことで、その世界に登場してくる魔物たちも自然発生的に登場してきています。例えば、湖の中にネッシーみたいな生物が顔を出していたり。湖底には、モアイ像のような古代遺跡が描かれています。
ストーリー性を意識したブラッシュアップ
そして、本を読む人の視点でのストーリー性についても同時に検討していきました。読み進めていく中で、冒険を楽しめるように、どのようなリズムをもって世界を歩いていけるか考えていきました。
角度や見える位置の模索
本の執筆が完成に向かうにつれ、地図の表現についても悩みだします。絵としても魅力的なものにしたい。「どこから見た絵にするか」「どんな表現にするか」も模索しだします。
特に難しかったのが「水面下」部分の表現方法です。上から見たいけど沼の奥深くも表現したい。
水槽みたいに、水を側面から見える絵も描いてみるものの、どうしても閉じた世界に見えてしまう。日常ともつながっている開かれた世界であることも表現したかった。難しいぞ!
「お、これで行けそう!」と思ったモデルができた。これですべての要件を満たす地図にできたか????
7つの視覚化をプロットしてみた…。
あれ?
なんか、完成したと思ったけどなんか違う。
もやもやしたので、改めてこの本でつくりたかった世界観について考え直します。そして気づいた。私が書きたかったのは、冒険の書。地図にはワクワク感が必要だった。「ワクワクしないぞ!この地図。」大事なことに気づきます。
ワクワクするにはディテールが必要だった
古地図やファンタジーものの地図をひっぱり出して、山の描き方、木の描き方を見ながら地図をつくります。そして、デテールに意識がいくように。
「この段差はどうつながっているのか?」
「ここで山が隆起するということは、地盤はどうなってる?」
「人が歩いたら危険だから柵が必要だ。」
「橋をかけるなら主要道路が必要だ。」
「海賊の船がやってくるなら、この海岸かな。」
川があり、沼があり、海へつながる。瀧ができ、沼の底の深さがきまり、水の量や日の当たり方で育つ植物が変わる。そういった自然界のルールを感じながら地図の設計がいっきに進みました。
お、存在感がある地図ができた!
その地図の上を歩いているように、まさに身体で地形を感じることができ、納得のいく地図ができました。
嬉しくなって、夫に見せると、「こわいね。」と言われる。
ちょっと、ゴツゴツしすぎたかもしれないので、オドロオドロしい部分を抑え、整えます。
地図ができた!
「意味の世界地図」という方法、おもしろい!
こんな風に試行錯誤してきた世界地図。ビジュアル思考大全の中でも、P.116で手順を解説してます。 ちょっと難しい方法ですが、できたらおもしろいと思いませんか?
「新しいプロジェクトの企画をたてプレゼンするとき」
「複雑な概念を追究し解明したいとき」
「ビジョンを多くの人と共有するとき」
きっとチームのメンバーをワクワクさせることができるはず。
世界地図をつくることは、新しい世界を想像することになる。
よろしければ、サポートよろしくお願いします。 次の活動にむけた構想に活用させていただきます。