テーパリングのすすめ
こんにちは、じんです。
陸上競技は早くて7月から大会が再開。
今後はピーキング能力が鍵になってきそう。
ピーキング能力にはカーボローディングやテーパリング、体重の管理能力が試されると僕は考えています。
今回はこの長い鍛錬期で蓄えた実力を発揮するための「テーパリング」をテーマとしました。
そもそもテーパリングって何??
一般的には「徐々にトレーニングの負荷を減らしていくこと」と定義づけられています。
1.科学的根拠に基づくテーパリング
Bosquetらのレビュー論文では
競技別(ランニング含む)のトレーニングの「量」「強度」「頻度」をどのように減らすとパフォーマンスの向上効果が高いかが調べられました。
ランニングにおけるテーパリングは
・量を21〜40%少なくする
・強度はそのまま
・頻度をそのまま
・テーパリング期間は8〜14日間
↑がパフォーマンスの向上効果が最も高いことが示されています。
2.僕の失敗例
〜昨年の日体大記録会(10/5)〜
10000m29′30を目指したが、30′14かかり撃沈。
<直前の試合・練習状況>
2週間前 3000mSC 8′50
1週間前 1000×10(r200)
2′59-2′58-2′57-2′58-2′58
2′57-2′57-2′53-2′51-2′47
1000×10(r200)の結果単体で見ると10000m30分切は達成出来そうでしたが、、
3000mSCと10000mレースの間隔が狭く、1週間前に急ピッチで10000mの練習を行ってしまい、当日まで疲労が抜けず。
もちろん他の影響(LT水準を引き上げるトレーニング不足や、昇熱環境下でのレース戦略の失敗)も考えられましたが、私の感覚ではテーパリングの失敗が原因のように感じました。
翌月の日体大記録会では、(しっかりトレーニングを積んだ上で)10日前には追い込みを終了。
段階的にjogの距離を落とすことで5000m・10000mのPBを更新。
もうすぐ30のおじさんながら、直前に追い込み過ぎるのは良くないことを実感。
3.テーパリングの実際
科学的にトレーニングの量・強度・頻度・期間が明示されていますが、具体的なトレーニング事例までは報告されていないのが現状。
ここからは自分の経験を元に
テーパリングの実施例を。
〜A君の場合(5000m 14分台が目標)〜
・1日あたり平均15km走っている
・継続的に練習を積めており、テーパリング次第では自己ベストが出せる状態
<レースの前の週>
月曜日 15kmjog
火曜日 15kmjog
水曜日 実戦向けの練習
⇒2km×3(r400) 6′00-6′00-free
木曜日 テーパリング開始(9日前)
⇒12kmjog(距離を20%:3km↓)
金曜日 9kmjog(距離を40%:6km↓)
土曜日 腹八分目の練習
⇒10km+1km(3′20/km→2′58)
日曜日 rest
<レースの週>
月曜日 12kmjog
火曜日 9kmjog
水曜日 レースペースで刺激
⇒2km+400×3(2′59/km→70″)
木曜日 12kmjog
金曜日 9kmjog
土曜日 試合(14′58″00:2′59/km)
※これらの調整メニューは一例です
☑︎10日前に実戦向けの強めの練習を入れて、1週間前は余裕を持った練習を行う
☑︎9日前からはjogの距離を20-40%少なくする
(jogのペース・行う頻度はいつも通り)
☑︎1週間前のポイントはいつも通りのペースで。距離を少なめにする(20%程度↓)
刺激のタイミングは疲労が抜けるタイミングであれば、2日前や前日でも良いと思います。
(こだわりは捨て過ぎないように)
⚠︎トレーニング頻度を極端に減らす(完全休養を沢山入れる、2部練を一律1部練にする)ことは、良い時の感覚が失われる可能性があるのであまり推奨しません。
4.テーパリング時の注意
◯テーパリング時に疲労が少ない場合
(試験等で走れなかった/故障明け)
程度にもよりますが、テーパリングをするとさらに体力が落ちることも。7-8割の練習を継続し、極端な調整はしないでレースに臨んでも良いかもしれません。
◯テーパリング時に過度な疲労がある場合
(合宿明け)
テーパリング期間を長めに取ることをお勧めします。(2週間程度)ただ、一気に落とし過ぎず、徐々に量を落として経過をみていくと良いと思います。
最後に
上記のようなテーパリングが必ずしもその人に合うとは限りません。
仮にテーパリングが成功したとしても、目標が高すぎたり、戦術ミスでレースは失敗に終わることもあります。
今回の記事が、ピーキングを合わせることが苦手な選手の一つの参考になれば、幸いです。
人に言う前に自分も気をつけます。。
ではでは!
【参考文献】
・Bosquet L,et al(2007)Effects of tapering on performance:a meta-analysis