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屋久島観光編①

6日目。

目が覚めて、ひとつ向こう部屋の時計が目に入る。
10時15分。
...10時15分?

よっとまん部屋同様、ここの時計も出鱈目なのだ。

友人1人はもう起きていて、朝ご飯の支度をしてくれている。
寝る前まで放置されていた食器が、洗いカゴに伏せられていた。

冷蔵庫を開ける。
ドアポケットに4本のヨーグルッペが並ぶ。
...4本?

昨晩めいめい2本ずつ買い求め(2×3=6)、あっつき温泉上がりで1本ずつ飲んだ(1×3=3)のだからして、残りは6-3=3本。
のはず。

いぶかしみながらいちご味を手に取り、ベランダへ出て飲む。

快晴

もう1人の友人も起きてくる。
ヨーグルッペの本数がおかしい、と話す。
そんなはずはない、と信じてもらえない。
つい今しがた、この目で見たことすら信じてもらえないところをたゆたう、私の信頼度。

証拠写真

誰かが小玉すいかを育てている。(テレビ)
詳しい解説付きであったので、自分にもできそうな気。
にわか小玉育て欲がむくむくするうち、できあがってくる朝ご飯。
それらはいずれも、昨晩から驚きのメタモルフォーゼを遂げていた。

お刺身は漬けへと変わり、屋久とろと卵を添えられ、丼に。
ピーマンは何かしらの肉(今思うと鶏のたたきであったろうか)と甘辛く炒めつけられ、きゅうりは梅入りゆかりと浅漬けにされ、いずれもご飯のお供に。

有り難いとはこのこと...と、皿におさまったあれやそれやをゆっくりと咀嚼。
と、お茶が飲みたいなあ、と思う。
するとまあ、なんと、本当に、熱いお茶が出てきたではないか。
宮之浦下山に次ぐ、2度目の涙を流しそうになる私。

【食べたもの】
漬け刺身とろろ卵丼、伊勢海老の味噌汁、ピーマンと何かしらの肉の甘辛炒め、きゅうりとゆかりの浅漬け、キムチ、海苔、熱いお茶

もはや旅館のそれ
メタモルフォーゼ
冷凍とは思えないHQ屋久とろ

お昼前。
予定通り海に繰り出す。
大好きな水場、上がるテンション。

タイドプール(潮だまり)がある海
魁‼︎ 海開

早速入ると、さすがに冷たい。
心臓が止まりかねない、と用心する。
水底がごつごつとしていて、サンダルを脱ぐと危ないのでは、と指摘される。
が、履いたままでは脱げてしまいそう。
入ってすぐから水が深く、背泳ぎしかできない私は怖くなる。

やむなく、入り際の石段になったところ(膝くらいまでが浸かる)を、サンダル履きで歩く。
友人(泳げる)は先の岩場で魚を見たりしている様子。うらやましい。
と、1匹、南国っぽい魚が泳いでいくのを見つける。
縞の入ったカラフルな魚。うれしい。

2歩目から深い

上がって、タイドプールを探索。
海藻や苔やらでぬめぬめした岩に、足を取られながら歩く。
が、めぼしい生物は見つからない。

と、突如、いつの間にか、石積みが始まっていた。
(今思うと、ということだが、『不思議の国のアリス』のドードー主催、体乾かしレースを思い起こさせるくらい「いつの間にか」であった。私の中では)

ひたすらにその辺の石を積む。それだけ。
なのだが、妙に楽しい。集中。
謎に石積みが得意な友人。ひとしきり盛り上がる。

石積み
珊瑚を拾った

泳いだ(と言えるのかどうか)後は、ジェラート屋さんへ。
お目当ての三岳ミルクシェイクが提供休止中であったので(時間がかかるので繁忙期はお休みしているそう)、ショーケースを前に真剣に選ぶ。

一つは甘夏ココナツに決める。
が、もう一つ(当然ダブル)が決められない。
友人らがとっくに注文し終わり外へ出ても、一人ぶつぶつ言いながら悩むこと数分。
結局、映えを意識したグアバを選択。
(が、後から友人にもらったたんかん味がとてもおいしく、こちらにすればよかった、と思う。グアバもおいしかったのだが。)

惑わしのショーケース
ピンクと白

ぽん・たん館(ぽんかんとたんかんの館)へ。
たんかんジュース(ずっと飲みたがっていた)と島のバナナを買う。
耳の後ろがぎゅっとしてきゅっとなる、たんかんジュース。おいしい。
車に戻り、友人が買っていた口永良部特産がじゅつ飴をもらう。
ずっとうっすらと粉を食べているような、感じ。

サンドイッチおいしそう
たんかんジュース

トローキの滝、千尋の滝と、滝めぐり。
滝を見るのは好き。
千尋の滝で展望台があったので行ってみる。
良い眺め。

トローキの滝
千尋の滝
そこここで守ってくれている
登山バッジget
展望台より

そうこうするうち、早や16時前。
フルーツのたくさんあるところへは行けるのだろうか、と途中から心配になっていたのだが、それは明日、と言われてしまう。

夜は何を食べるか(自炊)という大事な話になり、天ぷらが食べたい、と主張する。
天ぷらかあ、油の処理さえ何とかなればありやな、と友人たちもわるくない感触。
(だのに、その後何度か天ぷらが忘れられそうになっている気配を感じ「天ぷらね、天ぷら」としつこく念押ししていた)

昨日と同じ魚屋へ行き、やはりエビを購入。
レジの人と談笑しながら、ありがとうございました〜、と店を出ようとして、すみません、お金...と呼び止められる。

奪うでも、脅すでもない。
普通にお金を払わずに、立ち去る。
笑顔で。

大胆かつ斬新な犯行を、犯してしまうところであった。

その後払いました

鹿肉も食べたく、あちこち探し(と言っても2か所なのだが何せ場所が離れている)、営業時間にも翻弄されつつ何とか購入。
島ではとかく営業時間には、振り回された。

初日にトライして敗れたレーズンパンのお店の前をこの2日でいく度か通ったが、一度も開いているところには行きあえなかった。

どうしてもアボカドを天ぷらにしたくてスーパーをハシゴするも、見つからず。
最後の頼みの綱ことコープに電話、あった!
と、歓喜の声をあげたのも束の間、その日に限って閉店時間が早いことが判明。(車内に響く悲鳴)

お風呂に入ろうと向かった楠川温泉(下山後に入浴したところ)、休み。(これは我々の下調べが甘かったのかもしれない)
77号線を永遠に往復し続ける我々。

【買ったもの】
甘エビお刺身、車エビ、有頭赤エビ(2日連続2度目)、鹿肉300g×3(シンタマ、ロース、ランプ、ヒレ、もも、のいずれか3種。お店の人が丁寧に説明してくれたが、買ってすぐから分からなくなる)、えのき、舞茸、茗荷、大葉、玉ねぎ、サラダ油、油凝固剤、三岳

鹿肉3種
ジビエカットチャート

お風呂は、結局田代別館へ。
浴場は広くてきれい。
湯舟の縁と続いた窓から、安房川とカヤックのボートが見える。

上がると、友人2人はまだ出てきていない。
自動販売機でコーラを買い、川沿いを散歩。

口永良部で見た桑の実を発見。
採取、食べる。
甘酸っぱくておいしい。
橋から友人らが手を振っているのが見えた。
戻って、2人にも桑の実をあげる。

安房川
桑の実
手のひらが赤く染まった

宿に戻る。
買い忘れたものがある、と出ていった友人がなかなか戻ってこない。
と、「ただいま~」とふわん、とした声に振り返ると、焼酎の瓶を3本かかえた友人が帰ってきた。
酒屋さんで丁寧に薦めてもらい、おいしかったので買ってしまった、とのこと。

普段、毎日は飲まないという彼。
ついさっき寄ったスーパーで、もう1人の友人と私の買い込むお酒の量に、そんなに買うか、と驚いていた、その舌の根の。

ずらり

20時。
昨晩は映えを意識するがあまり、全ての品を食卓に並べてから食事、にしたので開始が遅くなってしまった。
今日は作りながらどんどん食べてゆくことにする。

鹿担当と天ぷら担当に分かれ(除く私)、ビールに三岳と順調に開けながら(何せたっぷりある)、いただく。

鹿担
天担
鴨(絵)鍋

念願天ぷら。
まずは、玉ねぎと車エビ。
熱々。
甘い。玉ねぎも、車エビも。
恍惚。

昼間買ったバナナも揚げてみたが、食べごろには早かったのか、どれだけ揚げてもあまり柔らかくはならなかった。
えのきの天ぷらがおいしくて驚く。
ざっと分けたかたまりのまま揚げてくれる。
進む三岳。

鹿肉は焼いて山葵を添えたものが供される。
初めての鹿肉、柔らかく臭みなど全くなく、とてもおいしい。
せっかく油があるので竜田揚げにもする。
これまたうまい。
進む三岳。

【食べたもの】
ぴーなつ豆腐、汁漬けの貝、有頭赤エビ焼き、天ぷら各種(玉ねぎ、車エビ、茗荷、大葉、えのき、舞茸、島バナナ)、鹿肉焼き山葵添え、鹿肉の竜田揚げ、ビール、三岳、その他土地の焼酎諸々

玉ねぎ天、車エビ天
えのき天
赤エビ焼き再び
やわらか鹿
これを
こうする
揚げ祭!

口の中は何となくずっと甘い。
頭はほわっと、お腹はまるい。
身体の隅々まで、よい食事とよいお酒が行き渡っている。感じ。

今日は早めに休むことにする。
旅の、最後の夜。
明日がとうとう島の、最終日。


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