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屋久島観光編②

6:30、起床。
今日は部屋の時計に狂いはないよう。
あとの2人は1人は散歩、1人は台所。

台所の友人から、納豆卵かけご飯と、納豆ご飯+落とし卵の味噌汁、どちらがよいか、と卵の食べ方について尋ねられる。
昨日の朝に生卵を食べたのと、落とし卵の味噌汁は好物なのでそちらをリクエスト。
散歩の友人にも連絡、双方加熱卵で一致を見る。

鮭のハラスを焼いてくれる。
(「ハラス」をずっと「ハラミ」だと勘違いしていた。
旅の後も誤りに気付かず使い続けていたため、友人たちより指摘を受ける。
正しいはずの「ハラス」には馴染めず、未だやや使用に不安が残る語である)

ほぐして、昼用に大量のおにぎりを拵える。
島最終日の今日は、お弁当持って島めぐりドライブ。
ハラスを具にするだけではご飯が余ったので、豚味噌をまぶしつけたのも作る。
散歩から戻った友人と手分けして、その他残った食材やおかずをジップロックに詰め、お弁当完成。

【食べたもの】
白ご飯、納豆、屋久とろ、落とし卵の味噌汁、キムチ、大葉、青葱、甘エビのお刺身、鹿肉焼き、メロン

デザート付き
◯にしか握れません
ベランダの靴(干し)も回収


荷物を車に積み込んでチェックアウトし、まずはガジュマルを見に。
上から横から、枝が伸びてめぐらされて、木が家みたい。
キジムナーの昔話を思い出す。

今日もギョサン(2代目)。
軽く観光&ドライブ〜、と思っていたのが甘かった。
土々しくぬかるんだ足元、素足にはね散らかる泥。

包まれる
隙間光
水玉光

ふもとからモッチョム岳を見て、平内海中温泉へ。
名の通り海の中にある温泉、ロケーション抜群。

岩に腰かけ、足湯。
ざっぷり、どーん、押し寄せ来る波。
絶えず海水が流れ込んでいるのに、ちゃんとお湯が温かいのがふしぎ。

「足汚ねえな」

不意に、あまり女子が耳にすることのないであろう言葉が隣から飛び込んできて、我が耳を疑う。
つかる前に洗ったのだが。
ガジュマル林泥、しぶとし。

晴れモッチョム
よき看板
さらよき看板
飛沫のあがる温泉
きれいに見えるのだが

続いて、湯泊温泉へ。
朝から4月とは思えない太陽、お弁当は大丈夫だろうか。
車は日陰を選んで停めてもらう。

駐車場のパパイヤ
これまたよき

ここも、海に臨んだ温泉。
テントのようなもので覆われていて、男女が分かれている。

テントタイプ
脱衣カゴはうれしい

ぬるめのお湯、きれいな湯舟。
女湯は私一人。
お湯が流れ込んでくるところが小さな滝のようで、じっと見たり、手や足を出しては引っ込めたり。

広がる海と空。

以前は湯舟へさし渡した低い仕切り一つあるのみ、テントはなかったそう。
ずっとうんと素敵だったろうな、と思う。

男湯の会話が聞こえてくる。
どうやら町の町長さんが入っておられる様子。
通してすっかり、までは聞こえなかったが、何度か同じ話が繰り返されていた。
(あとで聞けば、あとから入ってくる人にまた最初から話をしていたため、とのことであった)

すぐ海
浸かった目線
念入りに洗いました(つかる前に)
海際湯冷まし

温泉巡りの後は、ガジュマル見物(再)。
島内最大、樹齢300年を超えるという、ガジュマル。
アーチになっているところを下から見上げたり、少し離れたりして写真に収めようとするが、どうにも収まらない。

自然を写す写真はいつもそうだけれど、伝わらない。
それでも、撮ってはみたく。
また伝わらないものを撮ってしまった、と、思う。

友人撮
道ばたの鮮やか
散策
レトロタイル


いよいよ、お待ちかねのフルーツガーデン。
入口からもう、好きである。

肝心なことは目に見えないんだよ
期待煽る立て札

受付と思しき小屋のようなところで、係のおじいさんから入園券を購入。
おじいさんは、小屋の中のさらに小屋のようなところにいる。
早速フルーツの用意に取りかかるおじいさん。
小屋に並べられたものを見たり、辺りの写真を撮ったりして待つ。

ナイスデザイン
パッション飲めばよかった

ひと回りしてテーブルにつく。
小屋の中のさらに小屋のようなところから、はあ、はあ、と漏れくる息遣い。
ラジオだろうか、古き良き、といった風情のアメリカ風オールド・ジャズも。

ややあって、フルーツが運ばれてくる。
オレンジ(違う柑橘類かもしれない)、パイン、バナナ、メロンのようなものが皿に盛られている。
フルーツは、その時どきの季節のものを出してくれる、とのこと。

食べ始めてまもなく、いっとう楽しみにしていたメロンのようなものを下に落としてしまう。
下は土。
土のついた、メロンのようなもの。

指で土を払ってみるが微妙。
すみません...とおじいさんに声をかけ、洗ってもらえませんか、とお願いする。
おじいさんは驚いた様子で、本当に洗うのか? と2度ほど確認される。
本当に、と頷き、無事土の洗い流されたメロンのようなものをいただく。

甘くて酸っぱくて汁気たっぷりのフルーツたち。
フルーツは永遠に食べられる、と思う。

ふと眼下のテーブルに目をやると、果汁が水溜まりを作っていた。
他の2人のところを見ると、全くのきれい。
なぜここだけ...と呟くと「口元が緩いからじゃね」と友人。
知らなかった。ティッシュでテーブルを拭く。

【食べたもの】
カット柑橘、カットパイン、カットバナナ、カットメロンのようなもの

1人一皿でもよい(3人分)

フルーツ後は、園内散策。
おじいさんか誰かがガイドしてくれるのかと思っていたが、NOガイドであった。
「歩けるところを探して歩いてくださいね」とおじいさん。
歩けるところを探す?

探した

おじいさんの言葉のとおり、探さなければ歩けるところは見つからなかった。
ところどころ足元に渡してある板を目印に、顔周りの草をかき分け、歩く。

「ここはこれ以上進めない」
先頭の友人の合図で引き返しては別の道を探し、さっき通ったような気がするところをうろつく。
意外と広いガーデン、いやジャングルで、軽迷子。

温泉虚しく、再び土に侵されゆく足。
他の2人が見逃してくれないだろうかと淡い期待をしたが、やはり見つかってしまう。
結果「口元が緩くて足が汚い女」という世にも不名誉な称号を授かる。
一刻も早く汚名を返上したいところであるが、ジャングルの誘惑が私たちをさらに奥へと分け入らせる。

あれに見えるは
バナナの花
ジャングル
謎のカール枝
ジョジョ感
池に生きるものたち

無事ジャングルを脱出し、再び滝へ。
その姿まだ現さぬうち、川沿いを歩いてゆく道すがら、轟音。
速まる歩。

「おおこ」と読む

おそらく、人生で目にした滝中、最大。
大きくふた筋に分かれた滝は、一方は太い水流のまま滝壺へ落ち込み、一方は縦横いくつもの黒岩に沿って段を織り成し、また分かれ、いずれも壮大な景観を作り上げている。

手を貸してもらいつつ、足元の巨大な平たい岩を渡り、さらに滝へと近づく。
どわっしゃどわっしゃ、どうどう。
巻き上がる風絶え間なく、逆立つ髪。

また伝わらないものを
撮ってしまった

12時半。
そろそろお腹が空いてくる。
近くにお弁当を広げられそうな海岸があったので、そこでお昼。
おしりの下で石がごろごろしているが、まあ座れる。

鮭ハラス(また一度「ハラミ」と書いてしまう)のおにぎりがびっくりするくらい美味しかった。
(好きなものは後に取っておくタイプであるのと沢山握ったので、最初の一つきり食べないで、別のおかずをのんびり食べていた。
次に手を伸ばした時には、ハラスおにぎりはもうなかった。
何も言わなかったがこの旅で唯一の残念な瞬間であった。
売れたのはよかった)

【食べたもの】
おにぎり沢山(鮭ハラス、豚味噌)、鹿肉の竜田揚げ、天ぷら(えのき、大葉など)、ゆで卵×3、たんかん、お茶

雑のようだが
すこぶるうまい

反時計回りに移動し続け、西部林道をドライブ。
早速、猿に遭遇。

続いて、鹿。
次に、滝。
少し走って、また猿。

猿、鹿、滝、の無限ループ。
次は何が出るかと予想して、遊ぶ。

猿は群れで見かける。
白昼堂々と披露される、赤裸々グルーミング。
ヒトも傍から見ればこんな風なのだろうか。
やや赤面。

赤裸々は自主規制

途中、ヒッチハイクの外国青年にも遭遇。
私たちに負けず劣らない、大きなザック。
朝から歩きどおしだった様子、OK、と乗せる。

聞けば「もののけ姫」好きが高じ、フランスはブルターニュから大連休を取って(彼らにとってはごく普通のバケーションであろう)来たのだと言う。
そして、ほぼ同じ日程・同じルートで縦走していたことも判明。(確かに西欧の方も数名お見かけした)

母語はフランス語のはずだが、英語がとても上手。
隣に座っていた私は、何か話さないと、と出てこない英語を必死に呼び起こす。

「日本食は好き?」とベタな質問をしてみる。
「大好きさ! うどん、ラーメン、寿司、天ぷら…。でもね、Japanにはチーズがない。帰国したら、真っ先にワインとチーズとパンを食べるよ」

途中立ち寄った展望台より
雲たれこめる

14時半過ぎ、宮之浦着。
ここでブルターニュの彼とはアデュー。
(当初「永田まで」のはずであったが、「もう少し先のキャンプ場まで」「船が出る宮之浦まで」となり結局、我々のゴールでもあった宮之浦まで同乗。やはり私の英語がまずかったのかもしれない)

帰りの飛行機まで余裕をもって着くようにしたので、ここでお土産タイム。
辺りのお店をハシゴして買物。

【買ったもの】(自分の買ったもののみ、だいたい)
屋久杉せんべい、たんかんボーロ×3、南国ショコラーノ、屋久島フィッシュカレー×3、あごだし(飛魚)のお茶漬け、ようかん3種(たんかん、安納芋、紫芋)×9、青切り塩たんかん(青いたんかんを島の塩で発酵させた調味料)×3、屋久島紅茶のティーバッグ×2、三岳ロックグラス、ステッカー(route77)

お土産の最適解
ビジュ買い

ラストチャンスに賭け、レーズンパンの店の前を通る。
と、なんと、開いている!

お客さんがちらほらいるのが見え、車を降り速足で店内へ。
幻かと諦めかけた、3日間三岳に漬け込んだレーズン入りレーズンパン、はたしてラスト三つ。

いそぎ三つトレイに載せようとしたところ、隣にいた外国人カップルの女性に「Oh,NO」と叫ばれる。
三岳レーズンパン、海を越えてその名をとどろかせているとは。
一つお譲りする。

3人で二つを分けるつもりであったが、1人が遠慮してくれた(させてしまったのであろうか)ので、もう1人と一つずつ持ち帰ることに。

【買ったもの】
三岳レーズンパン×2(一つ分け)、辛口ソーセージパン、あんぱん、ココナツラスク

すべてが好み

16時やや前、屋久島空港着。
ショッピングセンターやパン屋からは近いが、やはりゆとりを持たせて到着。

時間があったので、初日に入山協力金を納めた観光案内所で、ポケット登山マップを購入。
(島の地図は来る前に買っていたのだが、「ポケット登山マップ」のひびきがかわいくて目をつけていた)

自分へのお土産

島での7日間も、もうすぐおしまい。
旅中迷惑のかけ通しであった2人に、お詫びと感謝の念を伝える。
あと2日島に残る友人1人とは、ここでお別れ。

搭乗手続きが始まり、列に並ぶ。
空港の食堂に貼られたメニュー表や地図すら、名残惜しい。

空港とかの食堂好き
入口に貼られていた地図

順番が近づき、スマホから搭乗券にアクセスしようとする。
...繋がらない。
何度リロードしても、Wi-Fiを切ったり入れたりしても、繋がらない。

他にそのような乗客はおらず、あたふたしながら列を外され別のカウンターへ回されるが、やはり繋がらない。焦る。
しばらくして、一瞬だけ電波(なのだろうか)が入り、奇跡的に(そんなことではないはずだが)搭乗券の画面を表示することができた。
係員さんに「スクリーンショットでもいいですからね」と言われ、早く(旅に出る前に)教えて欲しかった、と思う。

何とか列へ戻り、今度は靴を脱ぐように言われる。
そう、さすがにギョサンはザックへしまい、登山靴(紐を上までしっかり締めた)に履き替えていたのだった。
島だし、靴脱がなくてもいいんじゃない? などと友人たちと勝手に話し、その気になっていたのだが、全くそんなことはなかった。
しっかり脱がされた。

手続きにも靴脱ぎにも手間取り(デジャヴ)、時間ぎりぎり。
結局出発間際まで見送ってくれ、あんなにお世話になった友人にロクにお別れも言えない始末。
背後から「バイバイ!」と声を掛けてくれた友人に、振り返りざま「バイバイ!」と返すのがやっとの有り様。

友人撮。よれよれ、ひとりぼっちみある

なんとか飛行機に乗り込み着席。
ほっと息をついたのも束の間、今度はスマホが見当たらない。

手続き時に見せたのだから、そこまでは持っていたはず。
その後、靴の着脱にかかりきりに(心身共)なっていたのでスマホをどこへ置いたやらしまったやら、全く記憶にない。
青い顔で手持ちのショルダーとお土産袋を探る。
非常を察した隣の友人も探してくれる。

と、「あるやん」と指さされた方を見ると、前の座席の網ポケットに突き刺さるスマホ。
手に持っていたのを、真っ先に(無意識に)突っ込んだのだろう。

この時の友人の「勘弁してよ…」には、7日間で起こった(起こした)あれこれへの総括的実感が、こもっていた。

全てにありがとう

どこかへ行った時の帰りしは、いつもあっという間。
飛行機が着陸態勢に入り、眼下いっぱいに街の明かりが見える。
島なら、たとい到着が夜だったとしても、こんな光は見えなかったろう、と思う。

19時頃、伊丹空港着。
ここまで道連れだった友人とも、お別れ。
「転ばんように」と声をかけられる。

20時過ぎ、帰宅。
昼頃からなぜだか無性にカレーが食べたかったので、コンビニでグリーンカレーと缶ビールを買って帰る。

【食べたもの】
グリーンカレー、白ご飯、一番搾り350ml×1本

友人2人に、無事帰ったことを報告。
転ばずに。

+  

島の7日間の記憶。
おしまい。
ここに、とどめる。


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