今の「ナナメの関係」の所在地
現代は、昔の近所のお姉ちゃん的な「ナナメの関係」が失われつつあるということをサザエさんの相関図を使って説明していただいてとても納得した。私にも、近所のお姉ちゃんはいない。最近ご近所付き合いが希薄になったという話も上の世代の人々から聞くことがあるのでそうなのだろうなとも思いました。私は最初からそういう近所付き合いがない環境だから実感はわかないけど。あと、今の時代に「ナナメの関係」がなくなってきているというのには、正直疑問を抱いた。
私自身、「ナナメの関係だ」と意識したことはなかったけど振り返ってみたら「ナナメの関係」の人はいた。それは、中高時代の学校の司書さん達だ。中高一貫校に通っていたので、とても長い付き合いで、卒業後も彼女達に会うためだけに学校に行くこともある。きっかけは、「図書館」という場所だ。中学生の時、私は本を読むのが大好きで本を借りるために頻繁に図書館に行っていた。図書館のあの紙と木のにおいがすごく好きでもあった。その時から貸し出しをしてくれる司書さん達と面識を持った。高校に入り、大学受験を意識し始め、本を読む余裕がなくなっていった。でも、私は、毎日お昼休みに図書館にいき世間話や相談をしていた。その時間は、私にとってとても大切な時間だった。
この経験から相手は変わっているにしても今でも「ナナメの関係」を作ることが難しいとは思えない。昔も今も、「ナナメの関係」は、自分が自発的に作ろうとしなければできないが、作ろうとすれば出来ると思う。だから、ナナメの関係を作るのが難しくなったというのはピンとこなかった。今は、ネットもあるのだから人とつながるのは容易になったはずで、だから逆に作りやすくなったのではないかとさえ思う。ただ、もしかすると、よく知らない人に対する警戒心は上がったのかもしれない。なぜなら、子供の頃から授業で知らない人に関わる危険性を教えられ、成長する間に実際に自分も何度かそのような状況に遭遇したことがあるからだと思う。
でも、昔も今も「信頼」できるつながりがあった時に「ナナメの関係」になることが出来ると思う。昔は、それが「近所」という同じコミュニティに所蔵していることだったのではないだろうか。実際、私の場合も「学校」という共通のコミュニティがきっかけになり「ナナメの関係」築けた。
これらのことを考えると、正直「カタリバ」の高校でのイベントでの「ナナメの関係」づくりはとても難しいんじゃないかな。他の参加者の方々の話を聞いて、高校生本人が必要だと認識していなくても偶然の出会いが彼らに良い影響を与えることが出来るということは理解した。でも、全くの初対面の人間に、自分の話を出来るのだろうか、私自身は無理だと思った。また、「ナナメの関係」を築こうとして築くのではなく無意識に築いているものだから「ナナメ」の良さが生まれる気もする。
これらの事を考えると、「ナナメの関係」というのは、誰かが生み出すものでもなく、本当に必要としている人は、知らずのうちに得ているものなのじゃないかと思うし、形は変わったが、今が昔よりも失われているとも思えなかった。まあ、もしかしたら、昔を知らないからこう思ってしまうのかもしれないとは思いつつ、今の環境が私にとっては「当たり前」なので仕方ない。だが、私自身「ナナメの関係」によって助けられた経験も多いので今の高校生で「ナナメの関係」が必要な人がいたら、その子だけの「ナナメの関係」を築いてほしいとは思う。