「初心者ほど成功しやすい」という常套句

 大概の副業商材のLPにはQ&Aのコーナーが設けられています。
 LPとは、特定の商品を売るための全力の宣伝ページだと思っていれば大体正解です。そして、そこのQ&Aにはまず間違いなく「初心者でもできますか?」というクエスチョンがあり、アンサーは概ね「初心者の方でも安心して取り組めます。むしろ、初心者である方が成功しやすいです」といった内容です。他には「サポート体制が整っています」やら「成功された方の多くは初心者です」やらとことん初心者を誘導しようとしてきます。それもそのはずで、副業商材というのは元より“初心者”を狙ったものだからです。少し考えれば当たり前で、初心者というのは、表現は悪いですが基本的に無知なので引き込みやすいのです。

本当に初心者ほど成功しやすいか?

 そして、問題の「初心者ほど成功しやすいか?」という点について、否定はしませんが語弊はあります。まず第一に、副業を始めたいと思って商材に手を出すのは基本的に初心者です。その理由は、既に実践中であったり成功を収めている人が、新たに別の商材に手を出すとは考えづらいからです。
 
 初めて副業に挑戦する人を「初心者」、そうでない人を「経験者」と仮に定義しましょう。そもそも別の商材に手を出す経験者というのは、即ち以前にやろうとしていた副業を挫折しているからで、そう頓挫してしまう原因は根深く、結局は同じ末路を辿ってしまうのです。商材に手を出す人の殆どは初心者で、比較的少数の経験者は逃げ癖負け癖がついている、従って「初心者ほど成功しやすい」という結論に至るのです。以上のことを商材の中では「経験者は他での知識があるため、素直にマニュアルやアドバイス通りに実践できなかったりする」というニュアンスでしばし語られます。その通りだと思いますが、本質とはいえません。

初心者と経験者の差

 たしかに、中にはマニュアルを無視して自分勝手にやろうとする輩もいるでしょうが、基本はマニュアルに忠実に実践するはずです。私もそうでした。しかしながら、この"教えられている通りに作業する"という行為の見え方が初心者と経験者では大きく乖離しているのです。
 
 初心者にとっては、全く知らない道を導かれるまま歩んで行くようなものですが、経験者には、道の至るところに挫折した自分が見えるのです。そう遠くない未来を案じているようで、そうならない確証が持てなくなってくるのです。一度挫折を経験してしまうと、初めての純粋さは失われ、失敗を繰り返すたび次第に影は濃くなっていきます。経験者というのは、"副業の"ではなく"挫折の"経験者なのです。

蔓延る誤謬

 副業にもよりますが、初心者であろうと実際に成功するのは少数です。少なくとも過半数は挫折することでしょう。挫折とまではいかずとも、いつまで経っても鳴かず飛ばずの方も出るはずです。「初心者ほど成功しやすい」という甘い言葉に誘われ、半数以上が"経験者"に成り下がってしまうのです。「しやすい」という言葉尻がどんな現実を隠しているのか、初心者は今少し冷静になるべきなのです。さもなければ、脱出困難な負のスパイラルに陥ってしまうでしょう。
 
 あなたが初心者で、なにか副業をしようと思っていてとりあえず商材を買ってみるなら、しっかりと吟味した方がいいです。そのようなことは注意されなくてもわかっているとは思いますが、経験者にとって初心者が持つ“初心”は非常に尊いものなのです。ぜひ、それを理解した上で挑戦していって欲しいものです。

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