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お茶の間国境争い

家族でゴロゴロテレビを見ている時
手が邪魔だ!とか
足のせるのやめて!とか
クッションの奪い合いとか
姉妹間でささいな争いが
ちょいちょい起きる

その度に我が家のくつろぎ空間が
重い空気にさらされるし
そもそも漫才が
聞こえないじゃないか!
オチ聞き逃したやないか!!

うるさーーーい!!と一喝したら
しばらくは静かになるが
ブランケットの下で
火種はくすぶっていて
ささいな寝返りでまたすぐに
国境紛争が勃発するのだ

リビングにおける領地争いは
床面積が変わらない限り
娘たちの成長とともに
さらに激化するにちがいない

ある日私のゴロゴロ領域に
次女の右腕がしれっと侵略してきた

ちょうどテレビ画面と被る位置に

「邪魔だからどけて」
と言っても無反応
しらじらしい
聞こえないふり作戦にイラッ

母親という権力に物言わせ
武力行使してやろうか
兵糧攻めしてやろうか
経済制裁してやろうかー!

いやいやそれでは
娘達の争いと変わらない

ここは次女の右手が
私にとってどれくらい邪魔かを
伝えることにしよう

より具体的かつ体感的に

私はおもむろに
次女の鼻の穴に指を突っ込んだ


「これぐらい嫌やから、
この手どけてくれる?」

次女は撤退どころか
手をますます邪魔な場所に動かした

状況悪化か?

「これはどれぐらい嫌? 笑」と
笑いながら娘が言った

いや欲しいんかーい!
鼻穴ドリルが欲しいんかーい!


国境争いは未解決だが
リビングは陽気な空気で包まれた
多分それが一番大事だから
平和的解決だとしよう

以降、我が家のリビングでは
各国ともに陣地よりも
鼻の穴攻防戦に必死だ

鼻の穴に指作戦は
相互間の血縁関係や信頼関係がないと
難しいかもしれないが

自分の気持ちを
具体的に体感的に
おもしろく伝える手法は

ささいないざこざには
使えるかもしれないなと
まあまあ本気で思っている

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