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人体実験「ごめん!」

むかし、むかし、あるところに、白田さんというおばあさんがいました。
白田さんは旦那さんと犬と暮らしていました。

白田さんの旦那さんは朝起きてくると開口一番「ごめん!」と白田さんに言ってきます。
実はこれ旦那さんが何か悪いことをしたわけではなく、白田さんがお願いして毎朝「おはよう」の代わりに「ごめん」と言ってもらっているのです。

えー!なぜ?なぜ?なんで?

皆さんはマントラという言葉を聞いたことがありますか。本来はマントラというのは「言葉」とか「文字」という意味なんだそうです。仏教の「ナンマイダ」とか、インドの「オナモ〜」「サンティ」などもマントラの一つですね。念仏や呪文、本来の意味を知らなくても、それを唱えることで何かしらの効果が得られると言うものです。

日本語の「ありがとう」と言う言葉は世界でも類を見ない美しい言葉マントラだそうです。

「置かれた場所で咲きなさい」こちらの本でもあるように「ありがとう」と言葉を発すると、何故か気持ちがスッキリする時ってないですか?

言葉の持つ力ってすごいなぁって思っています。そこで白田さんはある実験を思いついたのです。

飼っている犬に話しかけるとき、「可愛いね」「好き」「ご飯おいしかった?」など、これらの言葉を全部「ありがとう」に置き換えてみました。
犬を撫でるとき、なでなでしながら「ありがとう」
犬のご飯用意してる時、心の中ではご飯食べる?って思いながら「ありがとう」
「可愛いなぁ」じゃなくて「ありがとう」

一日に何回も犬に「ありがとう」と言っていた白田さんは、なんだか本当に感謝の気持ちが出てきて幸せに感じました。

次に言葉を変えてみることにしました。「ごめんね」 または「ごめん!」「ごめんなぁ」です。

犬に話しかける言葉は全てごめん。

なでなでしながら「ごめん」
「可愛いなぁ」と思った時も「ごめんなぁ」 ぜ〜んぶ「ごめん」

するとどうでしょう。今度は、犬が愛しいのは変わらないんですが、なぜだか謙遜した気分になり、これからもどうぞよろしくお願いします、という気持ちが湧いてきました。

なんやこれ!面白い!言葉の力って凄い!

かける言葉が違っても、犬の方に格別何か変化が見られることはありませんでした。
白田さんに対する犬の反応もいつもと同じ。

これって相手の反応はどうであれ自分が発する言葉で、こちらの気持ちの持ちようが変わるということですよね。

へへー!なるほど。
これに味をしめた白田さんは旦那さんに実験を持ちかけてみました。
「明日から『おはよう』の代わりに『ごめんね』って言ってくれない?」

「は?なんで?」と聞かれましたが、ちょっとやりたいことがあってお願いと言ったら、渋々、快く引き受けてくれました。

最初は慣れてなくて旦那さんは「おはよう」って言ってきましたが、白田さんが頼んだことを指摘すると朝起きたとき「ごめん」と言うようになってくれました。

朝起きてきたら「ごめん」。
「おはよう」の代わりに「ごめん」。

旦那さんに朝「ごめん」を言ってもらって2ヶ月ほど経った頃、白田さんは旦那さんに、どんな心の変化があったか聞いてみました。

「ねー、ごめんってずっと言ってもらってるけど何か変化あった?」

「ん?変化?特にないけど」
えー!そうなんかー!ガビーン。。

「私は犬にずっとごめんて言い続けてたら、なんか遜った気持ちになって、これからもどうか一緒にいて欲しい」っていう気持ちになったよ」と説明しました。

そしたら旦那さんは「そんな気持ち、前から持ってるから、特に今から変わったということじゃないよ」
と言う返事でした。

なんじゃ、オヌシはいい子ちゃんか!

なぁ〜んだつまんない。実験結果への改ざんは良くないので、事実を書きましたが。
なんと、面白みのない回答。

そこで白田さん次に考えたのはただの「ごめん」じゃなくて、「ごめん。すごくごめん」に言葉を変更してもらうことでした。

白田さんは毎朝、旦那さんに「おはよう」の代わりに「ごめん。すごくごめん」と言ってもらっているそうです。


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