空を見るときは口が開いていないか気をつけます。
星や雲や夕焼けが好きなので、だいたい空を見上げていることが多い、なんてねです。
こどものときに母から
「口をぽかーんと開けて上ばかり見て、ぼーっとしてばかりだと、アレだから、やめなさい。」
と何度もきつく注意を受けたので、できるだけ口が開いていないか気にしながら空を見ています。
きれいな朝焼けや夕焼けに出会ったときの胸がうずうずするような走り出したくなるような感動をうまくことばにできません。
周りを見回してひとりのときにはこっそりと飛び跳ねたり、腕をわしゃわしゃと振りまわしたり、小躍りしたりしておきます。
ものすごく美しいものや、素晴らしい作品に出会った時にも、やはりうまくことばにできずにわしゃわしゃしたり、小躍りしたりします。
そしたら、ある日、その素敵なものがすぃっと寄ってきて「一緒にあそぼう」って誘ってくれたのです。
あんまりびっくりして、うれしくって、
わしゃわしゃしたり、飛び回ったり、転がったりしました。
尊敬する拝啓あんこぼーろさんと
2月の最初の日にスタートした初めてのコラボ小説
「蝶はちいさきかぜをうむ」が
2月の最後の日に終わりを迎えました。
夢のようなひと月でした。
実際にはその少し前から、たくさんのやりとりをして、一緒に作り上げたお話を少しずつ少しずつ形にしていきました。
打ち合わせから飛び出たスピンオフもわくわくと楽しませていただきました。
そうして打ち合わせていくうちに、
「なんてねさんの世界ですよ」
と言っていただき、
「わたしの世界ってなんだろう?」
と、自分との会議もたくさんしました。
そして、書いていくうちに、私の中で
「伝えたいこと」がむくむくと育っていきました。
ここからは、作品についてのお話です。
「蝶はちいさきかぜをうむ」の世界にお越しくださいました皆さま、本当にありがとうございます。
まだの方はよろしければ是非お立ち寄りくださいませ。
突然、白昼夢のように目の前に広い草原が広がったり、風の匂いがしたり、書いている途中まで考えていた設定の人が急に別人になっていたりと、
とにかく不思議でおもしろい体験をたくさんしました。
洗い屋の少女のキラキラした瞳も、
おばあさんのにっこりと笑う笑顔も、
風飼いの少年の元気のいい笑い声も、
おじいさんのやさしい声も、
街長さんのちょっと得意げな人懐っこい笑顔も、まざまざと思い出されます。
小説を書いたというより、旅行してきたというかロングステイしてきたような気分です。
私の「伝えたいこと」を拝啓あんこぼーろさんが見事にタイトルにしてくださいました。
なんならもう、そこで「出来上がり!」という思いがしましたが、そのタイトルの中身を一生懸命形にしていったというような感じです。
本編には入れませんでしたが、
おばあさんが小さかった頃に、祖母から教わったことをこの場をお借りしてご紹介したいと思います。
「私たちはね、みぃんな胸の中に蝶を飼っているんだよ。
あなたの人生にとって、一番大切なものに出会ったときに、その蝶はサナギから孵って飛び立つの。
そうして、ちいさなちいさなかぜをうむのよ。
蝶のうむかぜなんて、ちいさいなって思うでしょ?
でもね、そのかぜが、世界を動かしているのよ。」
ものすっごく惹かれるものに出会ったとき
やっているとたのしくてたのしくて鼻歌が出ちゃうもの
理由なんかはっきり言えないけど
「そうしたい!」って思うこと
胸の中がうずうずわしゃわしゃとして
いてもたってもいられなくなるような
そんな「自分のよろこび」が
知らないうちに知らないところで誰かを笑顔にしているということ
バタフライエフェクトという言葉を初めて知ったときに私の中に浮かんだ世界です。
私はキャンプが好きで、ひとりでもキャンプに行くことがありますが、それは「ひとりキャンプ」というものを心から楽しんで、動画などで紹介してくれた人がいたからです。
ただ自分が動く絵を見てみたいという理由で
アニメーションを作った人がいるように、
空を鳥のように飛んでみたいと思った人が
飛行機を作ったように、
コンピューターを個人ひとりひとりが持ったら楽しいよね、とパソコンを作った人がいるように、
私たちの生きている世界は、誰かのわくわくやよろこびでできてるなって思っています。
「こうしなきゃ」とか「こうであるべき」
とかに縛られてしまいそうになったときには、
あなたの胸にも蝶がいるということを思い出してもらえたらうれしいです。
私の初めてのちいさな挑戦が、
蝶が羽ばたくくらいのちいさなかぜをうむことを願って。𓈒𓂂𓏸🦋
なんてね。