電話
まだ家の電話は黒かったりして、
ダイヤルをじーころころじーころじーころろろと回していた頃の話です。
電話は各家庭に一台しかないのが主流なので、お友だちに連絡を取りたい時にはおうちに電話して「なんてねと申します。〇〇ちゃんいらっしゃいますか?」と呼び出してもらうのが当たり前でした。
ここで、先方のお父さんが「もしもし」と出るとナカナカ緊張したものです。
お友だちとの連絡手段はいまよりも限りがありました。
①おうちに電話する
②お手紙を書く
③直接家に赴いて玄関のチャイムを鳴らしてみる
その頃、違う学校にどうしてもどうしても連絡を取ってみたいお友だちがいました。
②のお手紙は、学校で直接渡すなんてこともできますが、違う学校の子であれば住所が必要です。
そして、住所なんて知らなかったのでお手紙を出すことはできません。
③の玄関チャイムはお家を知っていなければ鳴らしに行くことができません。
住んでる街が違うというのは小学生にとっては外国のような遠さです。
そこで、頼みの綱の①電話なわけですが、
電話番号を知らないのです。
困り果てた私は、同級生の子たちに相談しました。
「電話番号がわからない人の電話番号ってどうやったらわかるかなあ?普段、会えないから直接聞けないけど、電話してみたいんだ。」
みんなでうーんうーんと考えていたところ、
とある子が自信たっぷりに教えてくれたのです。
「電話して聞けばいいじゃん」
ん?
「えーっとね、電話番号がわからないんだ」
「うん。だから、電話して、電話番号教えてって聞けばいいじゃん」
ん?
謎が謎を呼ぶってこういうことか…
と、小学生ながらに、そっと胸にしまったお話です。
学校での笑ってしまったお話として、
献上させていただきます。
いまでは、連絡手段って多様になりましたよね。
あの頃のもどかしさも良き思い出かな。
なんてね。