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プロローグ

遠い未来、テクノロジーが発達し、人間が働く必要は無くなった。
世界は統一され、食糧をめぐって争う事も、資源をめぐって争そう事も無くなり、みんなが穏やかに暮らせる理想郷がそこにあるはずだった。

ただ、悲しいことに大人数が集まれば、人間は争う生き物だという事をみんなが忘れていた。

人々食糧や資源ではなく、今度は自らの主義主張と相反する者たちと争いを起こすようになったのだ。

これではかつて宗教戦争を起こしていた時代に逆戻りしてしまう。そう危惧した世界政府の人間たちは一つの方針を打ち出した。
それは、同じ主張を持った者たちで村を作り、小さな集団でまとまって暮らすこと。

せっかく統一した世界をまたばらばらにするのかと言う意見もあったが、結局大勢の人間が一緒に暮らすのは無理だという結論に達し、世界中の人々はそれぞれ好きな場所でまとまって暮らすこととなった。

その村をポリスと呼び、世界政府は4つのルールを架した。
1、ポリス同士は干渉しないこと
2、ポリス間の行き来は何人たりとも自由であること
3、ポリス内で大多数の意見の相違がある時は、ポリスを分割する事
4、ポリス内の法に関して、各ポリスで完全に自由に定められる

誰もが主張をすれば、自分の好きなように小さな国を作れる。そんな、”自由”の時代に迷う男が一人

「僕は一体どうしたいんでしょうか」
「旅人さんは今模索中なんだね」
「旅人と言っても今朝からの新人ですけどね」

故郷での自由に反発していたわけでは無いが、納得できたわけでもなかった僕は、自らが求めるものを探して旅立つ事にした。
旅人っぽいという理由で僕は自転車で出かける事にしたが、いきなり一日に何キロも走れるわけもなく、完全にバテていたところを通りがかったおじさんが助けてくれた。

「世界は広い、きっとあんたが求めるものが見つかるよ」
「ありがとうございます」
「最近はあちこちポリスを旅するやつも多いしな、ところで俺の目的地に着いたら本当に降ろして良いのか?行くところがあるなら遠慮せずに言ってくれよ?」
「目的地を決めずになんとなく走っていたので、どこでも大丈夫です」
「行き当たりばったりだな、いい度胸してる。でももうちょっと体力はつけな」
「そうですよね、頑張ります」
「ま、これ俺の連絡先だからさ。なんか困ったことあったら連絡してよ、何かできるかどうかは分からないけど」
「ありがとうございます!」

トラックから降り、目の前の光景に目を見張る。こうして僕の旅は始まった。



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